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「インポッシブル・アーキテクチャー:もうひとつの建築史」
19.02.11(Mon.)
「インポッシブル・アーキテクチャー:もうひとつの建築史」@埼玉県立近代美術館
五十嵐太郎さんと建畠館長のクロストークを拝聴しに.
ImpossibleはUnbuiltを包含しつつ,よりスリリングで様々な価値も含意している.加えてpossibleすらも内包しており,それはポスターの否定線に端的に現れている.
展覧会の枠組みはタトリンの第三インターナショナルを入口とし,ザハの新国立案を出口としたもうひとつの建築史.建築史は建たなかった建築も含む事で初めて立体的に把握できるとはまさしく.建つために捨てられた純粋さにこそ,価値があるのではないだろうか.敗者の歴史の中にヒントがある.
かつてないほどに,建築家はアーティストとしての側面を放棄して,リアリズムへの応答に専念しているように思う.一方で,社会を変える建築の困難さは,本展が如実に現わしていることも事実である.その二項対立的関係性を超克するSpeculativeな建築という文脈が在り得るのではないだろうか.
本展の魅力は,何といってもザハの新国立案の模型とおぞましい実施図面の厚さ.「建築可能であった」という文言が重くのしかかる.この展示がもつ日本建築界への批評性は凄まじいものがある.他にも沢山の良質な出展作品ばかりなんですが,マーク・フォスター・ゲージの作品を入れているのも重要だと思う.
建築はCGを導入することでようやくゲームの領域に辿り着いた.しかし,そこで取り入れられているモチーフはゲーム世代の我々からするとどこか見慣れた,過去のモノのように感じる.建築は「建てない」ことを選択した時に,ゲーム分野に圧倒的に遅れているという事実を突きつけられる作品.
瀧澤眞弓の「山の家」とか川喜田煉七郎の諸作品あたりの渋い部分を押さえてるのもこれまでに無くて感動的だし,今村さんの研究室が制作したテラーニのダンテウムも素晴らしいし,コンスタントやセドリック・プライス,ジョン・ヘイダック,リベスキンドといった物好きには堪らないラインナップだし,荒川さんの橋の模型はデカすぎて圧巻.
とにかく,非常にヴォリュームがあって見応えたっぷりなので,機会があったらまたゆっくり観に行きたいところです.
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