超個人と没落する国際組織
今日は雨が降り続いた。
アメリカでは、ベゾスの個人資産が近い将来、人類初の1兆ドル≒100兆円規模に到達するかもしれない、というネットミームが出現した。
この予測の精確さはともあれ、驚くべき時代である。
一方、WTO(世界貿易機関)の事務局長が任期満了前の辞任を発表し、WTOが事実上崩壊しかけていることを示唆した。
日本のネット上の意見は、なんだテドロス(WHO)じゃないのか、という程度のものが多かった。
しかし、このWTOの機能不全も、中共(中国共産党)の横暴を牽制し続けてきたアメリカの計算のうちである。
2001年に中国がWTOに参加してから、彼らは参加時の条件(ルール)を全く守らず、トランプ大統領の言い回しを真似るなら、世界筆頭の金持ち国家が、途上国のフリをして規制を逃れてきた。
その摩擦が、今日最高潮を迎える「米中貿易戦争」の発端であり、トランプ政権が中共潰しをする表向きの大義名分である。
アメリカはWTOの中で、唯一単独拒否権を持っている。
そして、アメリカは、2018年頃からWTOの上級委員会(最大7)の委員選出を拒否し続け、2019年時点で上級委員会を構成するのは、わずか3名だった。
簡潔に言えば、WTOが、問題に対処し最終決定する際、最低3名の上級委員の判断が必要となる。
しかし、2019年時点の3名のうち、2名の任期は2019年の12月10日までであった。
つまり、2019年12月11日以降、WTOの上級委員は、たった1名(中国人)で、実際的に何も決定できない状態に陥っていたのだ。
つまり、WTOでも、現在WHOが世界から糾弾されているように、中国との断ち切りがたい癒着があり、それを保護主義を貫くアメリカから、強く非難されていたわけだ。
そのアメリカの計画的な制裁が、今日、事務局長の敵前逃亡的辞任発表で、明るみになったというわけだ。
現在トランプ大統領は、中国との関係の一切を断ち切れる、と威嚇し、さらにそのことにより米国が受ける経済的ダメージへの懸念を払拭する意味合いで、中国との国交断絶により、約54兆円の節約ができると提示した。
さて、トランプ政権の対中(中共)路線は変わらず、徹底した経済制裁で中共を破綻させ、そこから芋づる式に現代世界の諸悪であるグローバルエリートたちをも一掃しようというわけだ。
これはこれとして、だいたい流れは掴めるが、実力行使による対立は、果たして完璧に避けられるのだろうか。
そんなはずはないだろう。
どちらも先に手を出したくはないが、相手が手を出せば、必ず反撃する。
中共が追い込まれた時点で、どのように彼らを制圧するプランなのだろうか。
トランプ政権の立役者であるスティーブ・バノンは、中国の善良な市民の解放と、中国共産党の排除を掲げ、政権を去ったあとも反中共の活動を通して、グローバリズムのエリートたち(特にキッシンジャーなど)を国際社会の場で追及しているが、果たしてそれは100%正義から来る行動力なのだろうか。
どの立場にたって考えても、疑念は残る。
台湾も、アメリカの手厚い後ろ楯を受けて、中国から提示されたWHO議会参加の条件を拒否したそうだ。
戦う準備は、もちろんあるだろうが、台湾が中国対アメリカの最重要戦線になることは、もはや避けられない。
台湾には独立という目的があり、アメリカはそれを手助けし利用する立場と力がある。
日本の現政権は、親日である蔡総統の支持を表明し、日台の基盤体勢を制御する意味でも、台湾のWHO参加を早い段階から後押ししていた。
しかし、中国(中共)への忖度も忘れてはならず、春節の中国観光客の流入は事実上断れなかった、ということだろう。
とにかく今の日本には、中国の実力的脅迫を牽制するだけの軍事的能力がないのだ。
最低限、自衛隊を自国防衛のための戦力として正当に扱われるようにしなければならず、そうしたところで核を保持しないわけだから、状況はなお難しい。
そのため、いかなる外交も、アメリカ、中国の板挟みの中で、うまくはいかない。
憲法は、もう少し国民が納得する形で、改正されるべきだ(怖いから小声)。
まぁ、国民が納得する形とかの悠長な時間はもうないが。
左翼右翼というが、日本では、それらはただ互いを排斥しあうだけで、何も建設的な議論が展開されないわけだから、このような対立は無意味だ。
要するに、どちらも同じくらい盲目的に見て見ぬふりをしている部分がある。
しかし、議論をはじめ、問題に取り組むにはそこから始めるしかないのだから、お互いもう少し大人になるべきだ。
と、何も知らない若輩者が独り言をごねております。