直営店出店を決めた理由。
みなさんこんにちは、muracoの村上です。もうご存知の方もいるかと思いますが、僕たちmuracoは東京都立川市にあるGREEN SPRINGSに商業施設への出店としては初となる直営店をOPENさせます。グランドオープンは2月18日(金)です。是非とも多くのお客様に足を運んでいただきたいと思っています。
今回のnoteは、最近受けさせていただくメディア様からの取材で、多く質問された内容を書いてみようと思いました。
その質問は
「なぜ直営店を出店されるのですか?」
「なぜ立川だったのですか?」
です。ですが、その答えの前に現在のmuracoを取り巻く概況を書いてみます。
卸先様との関係
muracoは現在、多くの卸先様とお付き合いさせていただいています。現在約90店舗程の卸先様のお取引の売上合計は、直販の売上に比較して多く、これまでの事業成長に直接的に作用している最重要チャネルです。
muracoは2016年のブランドスタート時から現在でも、新規開拓営業を行なっておりません。現在お取引いただいているほぼ100%の卸先様がお取扱いの打診を頂いた卸先様です。いわば、バイヤーの方が、muracoを気に入っていただいて仕入れていただいています。(何故、積極的に新規開拓営業を行わないかというのには訳があるのですが、これはこれで長い話になるので、また別の機会に。)
ですから、この卸先様との関係性は、人的リソースが少なく、営業力の乏しい我々がブランドの土台を築くのに非常に重要な関係性です。
卸先様に依存していることと依存できないこと
直販チャネルと比較してより多くの売上を、卸先様との取引に依存している我々ですが、その関係性は、その直接的な売上だけではなく、アウトドアに興味のある方がmuracoを認知するチャネルにもなっていると考えられます。例えば他ブランドの商品を目当てにお店に行って、muracoのロゴを見かけるなどです。この部分に関しては多分に影響力があり、売上だけを伸ばすのではなく、できる限り多くの売場面積をmuracoに使っていただきたいと思ってくるものです。
しかしながら、muracoが好きで取り扱いの打診をいただいたバイヤー様だったとしても、我々は何十何百という取り扱いブランドの一つに過ぎません。それを考えると、あまりこの部分に関して強くお願いするのも難しい所です。それでも、幾つかの卸先様では、muracoのコーナーを設けていただいている大変ありがたいお店も存在します。しかもそれらのお店は、muracoのプロダクトの中でも、お世辞にも売れ筋とは呼べないようなものまでお取り扱いいただいていることが多いです。
直販チャネルの状況
次に我々がエンドユーザー様に直接販売させていただいているチャネルはというと、ECサイトと、工場直営(埼玉県狭山市)のFACTORY BRANCHと、今回のmuraco TACHIKAWAです。
WEBサイト
まずECに関しては数年前にフルリニューアルを実施してから、売上も伸ばすことができて、メーカーとしてエンドユーザー様のアクションをダイレクトに感じる事のできる大変貴重なチャネルです。色々と課題が山積していますが、muraco事業部全体の売上管理・分析ツールとしても運用していて、これからもヴァージョンアップしながら活用し続けていきたいチャネルです。
muraco FACTORY BRANCH
当社の所在地である埼玉県狭山市の会社敷地内に併設された小さな店舗です。SNSなどでmuracoを認知している方を中心にご来店いただいており、毎年2回開催しているmuraco WEEKEND SPECIALというイベントや、工場併設の立地を活かしたイベントなども定期的に開催している(今後もしたい!)店舗です。売上規模は非常に少ないながらも、muraco関連の打合せなどでご来社された方々に、muracoの商品をご紹介するショールームのような機能も持っております。売上は相当の改善が必要な状況です。
muraco TACHIKAWA
それでは直営店を立川に出すにあたって、よく聞かれた以下の質問を軸に muraco TACHIKAWAについてお話ししようと思います。
なぜ直営店を出すのか?
正式にmuraco TACHIKAWAのopen情報をリリースする前、何名かの深い付き合いをしているお取引先様や友人には出店を決めた事を報告していました。その内の何名かからは、「コロナ禍によく決断したね」とか「経費が掛かるのに良く出すね」などと言われました。
アウトドアの総合ブランドを目指している我々としては、プロダクト一つ一つの魅力だけでなく、ブランドそのものから滲み出る世界観を大切にしていて、我々が表現したい世界観を全て表現できる空間の必要性を強く感じていました。
公式webサイトは視覚情報しかありませんし、FACTORY BRANCHは狭い店内ということで主力商品のテント類を展示した状態での表現ができません。またSNSに完全に依存していたブランド認知の手法をブレイクスルーする決定的な仕掛けが欲しいとも感じていました。
muracoを認知している方はもちろん、認知していない不特定多数の人々に対しても、我々が表現したいmuracoの世界観をお見せできる空間を作りたいと思ったのが出店を決めた理由です。
なぜ立川なのか?
この答えは、主に以下の3つの要素になります。
立川の地域性とキャンプユーザーの関連性
まず立川は人口約420万人の多摩地区の中でも最も上品に都市開発が進んでいる印象で、立川駅周辺には、商業施設や伊勢丹、高島屋などのデパート、IKEAなど、商業だけを見ても非常に洗練された街区が広がっています。また多摩地区は、通勤では電車を使っている人でも、自家用車を持っている率が高いということは容易に想像できるところで、キャンプユーザーはもちろんのこと、これからキャンプを始めたいという潜在顧客層も、自家用車が既にある事で趣味としてキャンプを始めるのに障壁が低そうな点もポイントとして挙げられます。
また、都心から立川駅へのリーチも比較的容易な点も大きいです。
GREEN SPRINGSの持つ魅力
muraco TACHIKAWAが出店する施設のGREEN SPRINGSは2020年に「well being」を掲げオープンしました。美術館、コンサートホール、ホテル、保育園、オフィスなどと共に、こだわりを感じる飲食店や、小売店が連なるオープンエアー型の施設で、一番の魅力は2階のフロア中心部に広大なビオトープがあり、その解放感の中で四季を感じられる素晴らしい環境が広がります。
店舗の外は屋外ですので、アウトドアを軸にした商材を扱っている我々としては、外の天候や気温をある程度感じとりながらお客様がmuraco製品を見ることができる環境は非常に魅力的でした。
GREEN SPRINGSを歩いている人々は、居心地の良い空間に身を置き、ゆったりとした上質な時間を楽しんでいるようにも見えます。
本社、狭山市 ⇆ muraco TACHIKAWA
GREEN SPRINGSは埼玉県狭山市の当社所在地から、車で約1時間程の距離です。当社には、新しく立川店スタッフとして迎えたメンバーも含めて、ブランドの側から、新店舗開発を経験した人間は1人もいません。その状況下で、自分達の世界観を表現し、それをお客様と共有できる空間に育てる為には、そのブランドを伝えていく「熱量」が必要です。程よい距離感は、本社スタッフも全方位的に運営に関与できる位置関係です。
どんなお店を作るか 〜谷尻さんとの会話〜
直営店出店のニーズで触れた、「muracoの世界観」を形にしていく作業は、言わばブランドのロゴを作るような作業で、僕たちが表現したい世界観と言っても、それをお店に置き換えた時に、どのように表現すべきかわからない状態でした。
これをしっかりとした形でアウトプットする為には、ブランドを理解し、且つ店舗デザインの経験値のある方との協業が必要だと感じていました。
内装デザインはSuppose Designの谷尻さんに相談しました。
muraco TACHIKAWAの内装デザインをお願いしたSuppose Designの谷尻さんは、muracoを愛用いただいているヘビーユーザーで、お店を出そうと思った時に真っ先に相談したい人物でした。しかしとにかくアクティブで忙しい人なので、muracoのような小さなブランドの相談をするのは難しいだろうと思って、相談するのを躊躇していました。
とある日に谷尻さんとLINEで会話していた時に、仕事の話からフワッと世間話のような流れになった瞬間があり、このタイミングしかない!と感じて意を決して「実はお店を出そうと思っているのですが、内装デザインをお願いすることはできますか?」と打ち込んだところ、間髪なく「やりましょう!」と返信をいただきました。
後々谷尻さんとお会いした時に、このLINE上での会話の事を話していたら、谷尻さんは、このように話してくれました。
「もし村上さんがうち以外の設計事務所に内装を依頼したとして、その事を知った時の僕の感情は、例えば僕がスノーピークとかと何か面白いプロジェクトを始めた時に、村上さんが感じる感情と一緒ですよ」
僕はこんな風に考えてくれる人に、muracoを通して出会うことができて、5年間死に物狂いでやってきて本当に良かったと思いました。
Factory and Gallery
muraco TACHIKAWAのお店のコンセプトは「Factory and Gallery」です。
デザインコンセプトは谷尻さんが、僕のnoteを夜な夜な読んでいただいたり、吉田さんと共に工場を見学していただいたり、また何よりプロダクトを通して感じたところなども含めて作り上げてくれました。
僕は主張の強いタイプの人間なので、どこかで「んー」となる部分があるのではと危惧していましたが、初回のプレゼンを見て、ただただOpenまでの過程が楽しみで仕方なくなりました。その後様々なディスカッションを経てプランが完成し、什器は当社設計・制作とするなどが決まっていきました。
そしていよいよ明日、2022年2月18日、muracoのフラッグシップストアであるmuraco TACHIKAWAはOpenいたします。僕らの事業規模からはかなりチャレンジングな一手で、本当にやりきれるのか不安ばかりが募りますが、ぜひ多くの方にお越しいただき、皆様に愛されるお店づくりを目指して行きます。
そして何より、このお店をハブとして、多くの人々がmuracoを通じてアウトドアの楽しさや、ものづくりの面白さを感じていただけるようになればと思います。
皆さんのご来店お待ちしています!
(読んだら絶対きてね。)
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