令和の米騒動に地域差はあるのか
※2024年10月23日、答え合わせ編を投稿しました。こちらです。
2024年の夏は、オリンピック、猛暑、台風がすごかった、などいろいろなことがありましたが「米騒動(米不足)」も大きな話題でした。
関東地方の一部のスーパーでは、米が買いにくい状態がずっと続いています。
一方で、実家(長野)の親に聞いてみると、米の不足感はないようでした。
もしかしたら、米不足は地域によって差があるのかもしれません。
そこで、今回は、夏休みRAIDA特集の第2弾(?)として、米不足が地域によって違いが見られるか、RAIDAを使って見てみました。
RAIDAについてはこちら。
本ブログの出典は以下の通りです。
出典:RAIDA『物価高騰・円安』を加工して作成(2024年9月4日に利用)
■ 米の販売価格を調べる
RAIDAでは、物価高騰・円安というテーマの中で、品目毎に消費者物価指数の経年変化を2019年から地域別に見ることが出来ます。
米不足の地域では、需要が増えて米の価格が上昇しているはずです。
困ったことに、RAIDAには「米」という品目はありません。
米を含む中分類として「穀類」を選択することが出来ます。
「穀類」の中は、米、パン、麺類、他の穀類(小麦粉、餅など)が含まれますのでこれで代用します。
ちなみにRAIDAは総務省「家計調査」の中分類に対応しています。
詳しい分類は以下のページを参照ください。
RAIDAでは以下の地域を選択可能です。
地域全国を10のブロックに分けた地方
政令指定都市
県庁所在地
さらに、都市階級(都市の人口規模)でグルーピングされた統計も取ることが出来ます。
具体的には以下の通りです。
大都市:政令指定都市及び東京都区部
中都市:大都市に分類された市以外の、人口15万以上100万未満の市
小都市A:人口5万以上15万未満の市
小都市B・町村:人口5万未満の市及び町村
■ データを取る
RAIDAで品目と地域を選択するとグラフ表示が出来ます。
ただし、地域は一つずつしか選択できません。
複数の地域を同時表示し比較するためには、データをダウンロードして自分でつなぎ合わせます。
具体的には次の通りです。
RAIDAの「課題特定に向けた詳細な分析」右下のCSVアイコンをクリックしてデータをダウンロードします。
データを1行ずつ別のシートにコピーしつなぎ合わせます。
■ データを見てみる
2020年を基準としたときの消費者物価指数の地域別のグラフは次のとおりです(残念ながらこのブログを書いている時点で2024年7月までのデータしか取れませんでした)。
地域差があるかどうか見るために、全国平均からの差分(乖離)を地域毎にグラフにしました。
2024年7月の値をピンポイントで抜き出すと次のとおりです。
■ 地域別の推移
2024年7月の穀物の消費物価指数には地域差がありそうです。
では、この乖離がいつものことなのか特別なことなのかを見るために、過去からの推移をみてみましょう。
結果は下の通りです。
グラフは、2019年1月から2024年7月までの値と、平均値と標準偏差(σ)を計算し、±2σの図を重ねています。
この±2σの点線より上下にはみ出していたら、統計的には普段と違ったことが起こっていると言えそうです。
上の結果から、2024年7月近辺の状況として以下のことが言えそうです。
全国10地方でみてみると、
九州地方、沖縄地方は、全国平均より明確に高い状態になっている
続いて、関東地方が全国平均よりも比較的高い状態になっている
北陸地方、中国地方、四国地方は、全国平均より明確に低い状態になっている
(東北地方で3月4月が全国より乖離しているのは謎です)
都市階級でみると
都市階級(都市の人口規模)が大きくなるほど、全国平均より明確に高い状態になっている
■ まとめ
今回は、米の需要が増えて価格が上昇している地域が、米不足の地域であろう、として調べてみました。
本当は米価格で調べたかったのですが、穀物価格という大枠でみてみました。それでも、意外と地域差が出ていることが分かりました。
米騒動にはどうやら地域差がある、と言えるのではないでしょうか。
穀物価格で調査したことで、小麦価格もついでに調査したことになります。
九州地方、沖縄地方、大都市で、製パン業なども影響が出ていることが心配になります。