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小中教育の最前線

コロナ禍で社会が大きく変容しています。
企業では在宅勤務を行い、大学ではオンライン講義を行うなど、人々は工夫してこの難局を乗り切ろうとしています。
しかしながら、小学校・中学校の教育現場は対応に苦慮しているように見えます。
今回は、うちの子どもたちの様子から、小中教育の現状のご紹介と、最後に今後、中小塾が取り得る戦略を考えてみたいと思います。

公立小中学校

3月上旬から現時点まで休業中です。
私の住んでいる市では、授業の代わりに学校が作成した教材を家庭でこなすことになりました。
いわば、夏休みの宿題と同様です。
市が作成した全小学校共通の映像授業はあります。プラットフォームとして一般のサービスを使っているようですが、学校のクラスでIDとパスワードを共有して使うという、ちょっといまいちな状況です。
また、ネット接続環境が無い人向けに、ローカルテレビ局でも授業を抜粋して放送しています。
ただし、週1~2回で1教科10分程度の授業となっており、通常の授業からはだいぶスケールダウンしています。

ネットワークの環境など、個々の家庭の事情は異なりますので、公平性を考えるとZoomで双方向授業するなど積極的な施策は難しいようです。またYoutubeなどオープンなサービスに動画をアップロードすることなども躊躇されるのでしょう。

教育業界はIT化が遅れてている、と言われることがありますが、今回の件で実感しています。

市で各家庭にタブレット端末を配布するなんて話も出ているようですが、今回には間に合わず、来年度以降になるようです。

学習塾

続いて学習塾の状況です。3月中旬頃はまだまだ授業があったのですが、3月下旬くらいから休校となっている塾が多くなっています。
基本的に教材を家でこなすスタイルですが、小中学校と異なり、苦しみながらもITを活用した対策を始める塾が出てきました。
ここでは2つの塾を紹介します。

塾Aの場合
基本的には配布された課題をこなしていくのですが、これに加えて動画配信システムを使って、3月から授業の配信を使っています。ただしそもそもが塾の欠席者のための補習的なシステムだったようで、全授業を全生徒が見る想定ではなく、開始当初はサーバがパンクしていました。現在は改善されています。
また、モチベーションアップを目的に、Zoomによるホームルームを開催しています。本来塾がある日に20分程度、連絡事項と先生からの雑談(クイズなど)を行っています。

塾Bの場合
4月から授業のサマリ動画をYoutubeにアップロードするようになりました。
動画は非公開にしておりYoutubeの検索にはかかりません(URLを知っているとダイレクトに行くことは可能なので問題点はあります)。
また、5月からZoomによる双方向授業(短縮版)が開始されました。
授業では、生徒からの会話や、参加者一覧を見ることさえ禁止することで、なるべく先生対生徒一人一人になるように交通整理しています。子どもがN対Nで話し始めると収拾がつかなくなりますからね。
親の方といえば、Zoom自体のインストール方法や、塾から招待を受ける設定などに難儀しているようです。塾側が授業マニュアルを作成し丁寧に説明していますが、それでも分からなくて問合せが続くようで、しばしばマニュアルが改訂されています。

中小塾が取り得る戦略

今回のコロナ禍で大きく変わったことは、リモートでも教育を受けられるのでは?という可能性を親が知ったことだと考えます。つまり今までは伝統的な対面スタイルの教育しか眼中になかった人々に、強制的に新たな世界を見せた点が大きいと思います。
ここに、中小塾の参入チャンスがあるのではと考えます。
リモート塾なら、夜遅い授業でも子どもの帰宅を心配する必要かったり、塾に弁当を持っていく必要がなくなる、などのメリットもあります。

今でもスタディサプリをはじめとしたオンライン授業はあります。しかし、これらのオンデマンド型の授業は自ら学ぼうとする姿勢が出てくる、ある程度年齢が上がった層がターゲットなのではと考えます。子どもが小さいうちはモチベーションアップ策が大切で、勝手に映像を見て教材をやってください、ではなく、定期的に刺激を与える策が重要だと思います。
そのためにはリモートで先生や他の生徒(ライバル)の存在を感じさせる施策が大切だと感じます。
Zoomなどの環境構築にはそれほどコストがかからないので、あとはどれだけ工夫するかの勝負になるでしょう。

これから塾業界に注目していきたいと思います。

※続きを書きました。こちらです。


IT系企業に所属する企業内診断士です。