RettyのPMがプロダクトのWhy作りに注力した話
Rettyでプロダクトマネージャー(以下PM)をやっている神山です。アドベントカレンダー10日目を担当しております。
Rettyでは「Rettyお店会員」という飲食店向け(toB)にネット予約や広告出向機能を提供しており、そこのPMをやっています。
このnoteで話すこと
このnoteでは、我々toBのPMが最終的にプロダクトディスカバリー(プロダクトの問題発見)ができるチームになるべく、これまで明確ではなかったプロダクトのWhyを作る過程で取り組んだことを話したいと思います。
取り組みの背景
私がPMになりたての2018年頃、私が所属しているtoBのPMチームはほとんどディレクションチームでした。プロジェクトをいかに周りを巻き込み遅延なくリリースできるか?をミッションに取り組んでいました。
しかし、PMになってから2,3年ほどたった2020年頃、プロジェクトマネジメントにも慣れてある程度大きな規模のPJも回すスキルが身についてくると、
飲食店さんは何に価値を感じて使っていただけているのか?
今取り組んでいるプロジェクトはプロダクトの理想の状態につながっているのか?
こんなような疑問が浮かぶようになってきました。しかし、これまでPJを回すことしかしていなかった我々は開発要望をいただいても、工数がかかりすぎるからこっち(他施策案)の方がコスパ良さそうです、くらいしか伝えることができませんでした。
担当するPJはどちらかというと点の施策でプロダクトの戦略に基づく線の施策が打てていない感覚がありました。
課題:受託開発っぽくなる構造的問題
なぜこのような状況になっていたかというと、我々toBのPMチームはセールス部門から来る開発要望や提案に対して、開発するべき/開発するべきではないを判断するための基準がなかったからです。
開発要望を受けることしかできず、どうしても受託開発っぽくなります。
プロダクトのあるべき状態(Why)が明確でないまま、WhatやHowの話をしていたのでこの状況を変える必要性を感じていました。
取り組み:プロダクトのWhy作りを行う
このような状況を打破するべく、我々はプロダクトのWhyを作ることにしました。
仮説のミルフィーユを参考にし、プロダクトのCore,Why,What,Howの筋を通すことを目的に営業企画や分析チームのメンバーと共に下記のステップでWhyの明確化に取り組みました(まずはSTEP1まで)。
この取り組みでよかったことは、私自身が弊社プロダクトの営業出身ということもあり、どんな飲食店がどのような集客課題があるかはある程度想像することができたことです。
ある程度飲食店のことを知っていたので、飲食店が置かれた環境やスペック(箱の大きさや立地)などの変数から、どのような集客課題を持っているかのタイプ分けをすることができました。
このような仮説を営業企画と認識をすり合わせてから仮説検証的にN=1インタビューを行い、以下のように大きく3つのセグメントの分解とKA/KJ法で行い価値のまとめました。
私自身UXリサーチという手法を取るのは初めてだったので、営業企画と共にKA法やKJ法を用いてまとめる作業はとても新鮮でした。PMだけでなくビジネスサイドとセグメントや提供価値をまとめるプロセスを共有することができてよかったです。
やってみて思いましたがKA/KJ法で価値をまとめるプロセスをビジネスサイドと共同で取り組むのはオススメです。プロセスを共にすることで同じレベル感で理解度が深まります。
Why作りに着手してよかったこと
セグメントを分解したことでこれまでよりも様々な飲食店の傾向が見えてきました。例えば、
これまでは飲食店を一括りにして現状を把握することが多かったですが、上記のように同じ集客課題を持った飲食店セグメントを分けることにより、解像度高く飲食店のことがわかってきました。
今後もセグメント毎にさらに定量分析を行いながら自社の状況や競合の状況をさらに分析し、セグメント毎の事業性を判断していきたいです。
今後の展望と期待
STEP1のセグメント&提供価値の整理ができたら、今後はSTEP2のソリューション仮説の検証に着手していきたいと考えています。
当初はいきなり注力セグメントや提供価値を決めてしまうことも検討していましたが、ソリューションに有効性や実現可能性がある程度担保されていないとせっかく作ったWhyが絵に描いた餅になってしまうからです。
またソリューションの検討段階では、有効性/実現可能性の検証を行うためさらにtoCのPM陣やエンジニアさんたちも巻き込んで推進していきたいと考えています。
最後に
いかがでしたでしょうか。RettyのtoBのPMチームはプロダクトマネジメントをインストールし、挑戦している最中です。上場もしてから改めて理想のプロダクトを描くこのプロセスは大変ですが、超楽しいです。
またこんな感じで神山と一緒にプロダクトの方針から決めていく仲間も絶賛募集中です。