YMのピッチ資料をチラ見せ!素人でも出来る資金調達資料の作り方
こんにちは、久保 拓也(@takuya__kubo)です。
明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いいたします。
年始1週目も怒涛の様に過ぎ去っていきましたね。
緊急事態宣言の発令によって判断や対応を迫られた方も多かったのではないでしょうか?
こういった揺り戻しが続く中での事業運営は難易度がどんどん上がっていきますが、だからこそ今までにないやり方を通じて非線形成長を生み出していきたいですね。
今週は、そんな「exponential(指数関数的)」な成長をスタートアップが生み出していくのに必要な「資金調達」について資料の作り方について紹介したいと思います。
資金調達の素人がどのように作っていったのか
以前の記事でも書きましたが僕は営業キャリアが長く、クライアントとの事業開発や、事業戦略なども多少取り組ませていただきましたが、多くは営業周辺の内容でした。
つまり、資金調達については凡そ何もやったことはない、正真正銘の素人さんです。
とはいえ、ユアマイスターに入社した際に期待されたのは、「中長期における経営課題の解決」。入社して1か月ほどが過ぎたタイミング(2020年8月頃)に任された資金調達についても、何とか食らいついてやろうと考えていました。
当時(というか今も)ユアマイスターには代表の星野はじめIRや経理の経験者はいるものの「資金調達のプロ」はいませんでした。そのため、過去の調達資料も比較的内容が簡素なもので、0から作り直す必要がありました。
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実際の作成は下記のステップで進めています。
①自社の中期経営計画策定を通じた「やりたいこと」の明確化
②「成長可能性に関する説明資料」を基にベースライン構築
③専門家のレビューによるブラッシュアップ
順を追って説明いたします。
①自社の中期経営計画策定を通じた「やりたいこと」の明確化
ここはとにかく自分たちが「やりたい」を強めていくことに終始していました。
ディスカッションを通じ、達成したい事業計画、生み出していきたいバリュー、目指すプロダクト解像度などを明らかにしていきました。
特に、プロダクト解像度についてはこの時に前に進み始めた感覚があります。
久保が入社した当時のプロダクト組織は、Bizチームの決めた事業計画を達成するために「やりたい企画」を作っていくことにリソースの90%がとられており、「プロダクトそのもの」を磨く時間は非常に短い状況でした。
そんな中、相方であるVPoEの星と軽く雑談していたところ、「本当はやりたいこと」がどんどん溢れ出てきました。
僕自身も単なる「マッチングメディア」ではなく、「業務支援」の領域に踏み出すべきだ、入社した当時から「SaaS作ろう」と念仏のように話していました。
(何故そう考えたかについては、今後リクルートの経験を踏まえ別途noteを書きたいと思っています)
そういった想いもあり、事業計画に加え戦略やプロダクトの方向性など、取り組みたいことが明確になり、エクイティストーリとも呼べるものの概観が見えていきました。
今思うと、この頃から少しずつ事業計画優位だった経営がプロダクト中心に変わっていったように思えます。
②「成長可能性に関する説明資料」を基にベースライン構築
資金調達の資料といっても如何せん作ったことがないので、まずは頭の中にフレームをインストールすべく、世の中にある情報をたくさん入れました。
そのうちの一つが「成長可能性に関する説明資料*」を読み漁ることで、直近上場した有名なスタートアップの資料を50社分ぐらい読み込み、そのうち参考になるなと感じた5社のものを見せ方やストーリーを参考に作成していきました。
「成長可能性に関する説明資料」とは
IPOする際に、投資家に自社のポテンシャルをアピールして出資してもらうための資料のことです。各社、上場時の株価や時価総額にも影響するので気合の入ったモノを作っています。概ね資金調達を目的とした資料になるので、アウトラインは参考になると想定しました。
実際に参考にさせていただいた資料は下記です。
良かったら参照くださいませ!
「成長可能性に関する説明資料」は非常に勉強になるので、ビジネスパーソンの方は誰でも読んでみると良いかなと思います。
ビジネスモデル、プロダクト、ビジネス上のキードライバー、ピッチの見せ方など学びが多いです。
(あくまで投資家向けのものなので、眉唾な部分があるのは含んだうえで読まねばではありますが。)
これらを基に概ねのエクイティストーリは見え、資料の内容はほぼこの段階で出来たと言っても過言ではないです。
ちなみに具体的なやり方としては、下記の手順で進めました。
・自分たちの伝えたいことをスライドのタイトルに記載
・それらを話している各社のスライドを一旦コピペして記載
・各社スライドと自社のアウトラインを比較し、過不足ある部分をアウトラインに追記
・それらを参考にしながら自社の言うべきことに変換&スライド構築
今採用ピッチ資料のリバイスもしているのですが、この「イケている各社のスライドを並び替えて自社オリジナルなスライドパッケージを作る」というアジャイル手法は結構お勧めです。
空のパッケージだけだとイメージが沸かないものの、一旦埋まっていると「このメッセージが言いたい」ということははっきりするので思考が一気に前に進みます。
(デザインも中身もそのままではまるで使えないので完全に作り直しですが、格段にスピード上がります)
③専門家のレビューによるブラッシュアップ
最後に星野の知り合いのGSの方にレビューいただき、構成についてアドバイスをもらいました。
なぜここでわざわざレビューをもらったかというと、投資家の「コンテクスト」を踏まえるためです。
①②の過程を経て、「自分たちの伝えたいスライド」というのは完成し、一定満足していました。(嘘です。僕に絞って言えば「かなり」満足していました。笑)
一方、それはあくまで「自分たちの言いたいこと」であり、必ずしも「VCや投資家の方々に伝わる内容か」というと怪しい側面が多分にありました。
どんなものにも「コンテクスト」があります。例えば、営業には営業の、経営者には経営者なりの「前提となる文脈」がありますし、資金調達に於いてでいえば「投資家のコンテクスト」が不可欠なわけです。
それをきちんと資料に落とし込むには、「投資サイドに回っている方」の思考の流れに沿って資料が作られる必要があります。
もちろん「成長可能性に関する説明資料」は投資家向けに作られているのでそれだけでも対応しているのですが、あの資料は「個人投資家向け」という要素もあります。
それらを踏まえるとVCや機関投資家の方にレビューをもらうことで、より磨かれると思います。
こうしてレビューをいただき、約2週間でピッチ資料を完成させました。
(レビュー前資料で1週間、レビュー後資料で1週間という中々に高速スケジュールで作っていった形)
完成した資金調達資料のアウトライン
たぶん一番知りたいのはこちらだと思います笑
最終的なアウトラインは下記の様になりました。
0.タイトル
1.会社及び事業概要
└会社概要
└ミッション
└実現したい世界
└経営陣紹介
└数字で見るYOURMYSTAR
└サービス紹介
└ビジネスモデル
└競合サービスの比較と競争優位性
2.カンパニーハイライト
└ユアマイスターが創るプラットフォームの独自性
└魅力的なユニットエコノミクスの実現
└市場規模とTAM拡大の可能性
└成長スピードと実現可能性の高い戦略
└豊富なマネタイズポイントと各種サービス
※各章ごとに3~5コンテンツ記載
3.財務ハイライト
└ユアマイスターの重要指標(メトリクス整理
└GMVおよび売上・営業利益
└営業利益とマーケティング費用
└パートナー数
└サービス開始月別の月額利用料
└今後の事業計画
Appndix
上記の合計で、最終的にはAppendix含まず50枚ほどのスライドになりました。
肝心のカンパニーハイライトのところが抽象度高くなってしまう点は機密事項多く申し訳ございません。
少しその部分をお伝えすると、ここでは「投資家の皆様が何故投資するべきか?」を明らかにするためのポイントを記載します。
・ユーザー/サービスプロバイダー双方にとってのユニークな価値訴求が出来る
・ペインのポイントが明らかであり、pmf出来ている
・魅力的なエコノミクスが生まれている
・業界のトップランナーである
・TAMが非常に魅力的である
・他社にはまねできない技術などのアセットがある 等
なのでこの部分は比較的自社の魅力を明示することが重要になります。
もし、「もっと知りたい」など気になられる方がいらっしゃったら、個別にご連絡くださいませ。可能な限りお伝えさせていただきます!
ユアマイスターの実際の資金調達資料※一部抜粋
実際の資料はこんな感じで作っていました!
今後採用ピッチ資料やSpeaker Deckにも載せるであろう差支えないものではありますが、参考になれば幸いです。
この資料作成はいろんなメンバーと知恵を絞ったり、データを出してもらいながら作った1つの作品でした。
一方、9月10月ぐらいには「かなりいいな」と思っていた部分が3か月経過して既に陳腐化しており、そろそろ次のアクションに向けてリバイスしないとなと思い始めております。
未熟ながらVPoPをやらせていただいており、プロダクトを起点としたエクイティストーリーの構想は日々深まっていくばかりなので、次の調達時には全然異なる世界観のものが出来ているだろうなと思っています。
スタートアップは1週間1週間でプロダクトの全体像やペインの解像度が激上がりするので、驚くことばかりです。笑
最近よく話しているのが、本当にボトルネックが「人材」になりつつあるなと思っています。ペインは見えており、プロダクトをローンチすれば価値に変わるにもかかわらず、着手しきれないというジレンマ。
それこそ今年1年で50人の組織が確実に2倍3倍と伸長する余地があると思っており、そのためには、プロダクトを生み出すエンジニアとプロダクトマネジャー、それらをマネタイズする事業開発といった人材が不可欠です。
本当に心から切望しておるので、少しでも気になる方がいたらお声がけください。
何よりも優先してお話するお時間作らせていただきます!。
是非DMやリクルーティングサイトからご連絡お待ちしております。
今回は以上です!
また来週の更新をお楽しみに!