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本の紹介29冊目 『アメリカ黒人の歴史』
今回私が紹介するのは、本田創造さんの著書『アメリカ黒人の歴史』です。
本書は、アメリカの独立前から南北戦争を経て公民権運動、そこから現在までの長い苦闘の歩みを歴史的発展とともにたどった一冊になっています。
以下で著者についてと、本書で特に勉強になったことを紹介しています。
【本田創造さんについて】
著者は日本の歴史学者、専門はアメリカ社会経済史であり、一橋大学名誉教授です。
東京大学経済学部卒業後、1954年一橋大学経済研究所アメリカ経済研究部門で、都留重人教授(ハーバード大学名誉学位保持者)や小原敬士教授(元アメリカ学会会長)の下、助手として就任しました。
1988年には、岩波ジュニア新書『私は黒人奴隷だった : フレデリック・ダグラスの物語』で、第35回サンケイ児童出版文化賞を受賞しています。
【アメリカ黒人とは】
国勢調査をはじめとする各種の人口統計において、人種による大別がなされる場合、「白人」「黒人」「その他の人種」の3つのグループに分けられてきました。
しかし、黒人とその他の人種は一括して「非白人」と示されます。
また、32分の1以上の黒人の血が混じっている住民は黒人とみなされ、出生、結婚、死亡などの証明書に明記されます。
【植民地時代の奴隷制度】
1606年に、当時はイギリスの国王ジェームズ1世から得たチャーター(国王からの特許状)に基づいて、1050人からなる植民地の一団を北アメリカ(ヴァージニア)に送りとどけたことが始まりです。
これが、北アメリカにおけるイギリス最初の植民地ヴァージニアの発祥地になりました。
そこから「黒人奴隷」が植民地労働力として、1619年にヴァージニアに「輸入」されます。
一隻のオランダ船がジェームズタウンにやってきて、20人のアフリカ黒人を陸揚げして売り渡しました。
また、最初の奴隷取引の歴史はきわめて古いです。
1441年にポルトガルの「アンタム・ゴンサルヴェス」の指揮のもと、旧スペイン領西サハラ海岸あたりで、新たな大陸の「土人」を襲撃して、男女・少年合わせて12人を生け捕りにしました。
これがアフリカとヨーロッパとの最初の出会いの場面であり、そこから奴隷貿易が発展していきました。
【黒人革命】
1960年、人種差別撤廃闘争が4人の黒人である若者によって始められました。
それは、全米各地に支店を持つ大手雑貨チェーン・ストアで、
「店内にある白人専用のランチ・カウンターで自分たちが飲食物を注文し、要求が受け入れられるまでそこに座り込みを続ける計画を実行する」
というものです。
これは、長年にわたってこの町で行われてきた人種慣行だけでなく、「白人優越=黒人蔑視」にもとづく、南部の伝統的価値に対する真っ向からの挑戦であり、市民的不服従の実践でした。
まず、ウェイトレスから事情を聞いて駆けつけてきた店長と4人の学生とが会話をしている間に、あたりは黒山のような人だからに囲まれます。
とにかく口汚く相手を罵ったり、暴行を加えながらも、4人の学生はじっと耐えて、閉店まで坐り込みをつづけ、終始、非暴力による抵抗を貫き通しました。
翌日ほかの学生たちが集まり、同じ講義活動を繰り返して、講義運動が他店のランチ・カウンターでも行われていきました。
そこから、
・黒人解放団体として「NAACP」が結成
・自由のための乗車運動
・ワシントン大行進
などが行われました。
1964年には、「リンドン・ジョンソン」大統領によって「公民憲法(アメリカで人種差別を禁止する法律)」が成立しました。
【最後に】
本書は、アメリカ黒人の歴史から、現在に至るまでを学ぶことができます。
ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!