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本の紹介22冊目 『チョコレートの世界史』
今回私が紹介するのは、武田尚子さんの著書『チョコレートの世界史』です。
チョコレートの主原料であるカカオは、原産地の中米では飲み物であると同時に薬品であり、貨幣にもなりました。
当時ヨーロッパに到来したときも、カカオの食用について激論が交わされましたが、19世紀にはココアパウダーや固形チョコレートが発明・改良され、爆発的に普及していきます。
本書は、チョコレートの起源からいかに現代で庶民にも普及するようになったかを学ぶことができます。
【著者の武田尚子さんについて】
著者は社会学者であり、早稲田大学の教授でもあります。
2000年に東京都立大学で社会学の博士を修了後、武蔵大学教授などを経て、2013年より早稲田大学で教授をしています。
主な著書として、『海の道の三〇〇年』(河出書房新社)、『もんじゃの社会史』(青弓社)、『マニラへ渡った瀬戸内漁民』(御茶の水書房)、『20世紀イギリスの都市労働者と生活』(ミネルヴァ書房)などがあります。
【チョコレートの起源】
チョコレートの主原料は「カカオ豆」であり、カカオ豆の原産地は中米のメソアメリカ(現在のメキシコ南部)であり、使われ始めたのは、紀元前11世紀に起こった「オルメカ文明」の頃でした。
それから、メキシコ地方からスペインへと渡り、中世ヨーロッパでは貨幣として扱われました。
そのカカオはヨーロッパによって、アフリカの奴隷が南北アメリカに送られ、カカオ生産のために働かされるという時代もありました。
【すてきな飲み物ココア】
カカオを加工して飲む習慣は、16〜17世紀にスペインから他のヨーロッパ諸国へと広がったと言われています。
当時はココアを巡って、「薬品か食品か」「液体か固体か」という宗教的論争が起こり、約100年も続きました。
17世紀のフランスでは、カカオ消費の主役は聖職者や貴族などの階級が高い人たちが「薬」として利用していました。
【チョコレートの誕生】
チョコレートが生まれたのは1730年にイギリス人が固形のココアをかじった事から始まりです。
その後、固形の食べるチョコレートが作られたのは、1847年で当時は大西洋三角貿易で栄え、海外との交易で、物資の流通が活発だったブリストルの町で誕生しました。
【イギリスのココア・ネットワーク】
イギリスにおけるココアが広がりを見せたのは19世紀でした。
ここで宣伝戦略やココアの製造業で産業革新になったことで生産も飛躍的に伸ばし、庶民の間でも愛されるようになりました。
【戦争とチョコレート】
時代は明治維新になり、日本でもチョコレートが食されるようになり、1920年代には、日本でもチョコレート製造が始まりました。
当時は戦争があったこともあり、チョコレートは民間への配給品、軍需物資として2度の大戦を生き延び、潜水艦向けに溶けにくいチョコレートの開発が進められます。
またこの時に兵士食としてのチョコレートとして、今も有名な「キットカット」が誕生しました。
キットカットは当時の労働者が、工場でお酒を飲むとアルコール中毒になり、作業効率が下がるために、糖分とエネルギーを手っ取り早くエネルギーを摂取する手段として生まれました。
【チョコレートのグローバル・マーケット】
第二次世界大戦が終わり、冷戦の時代に入ってきたときには、軽食としておやつとして食べられるようなチョコレートが誕生します。
チョコレートはバリエーションが広がり、さらには全世界で流通し、グローバル・マーケットとなっていきました。
【最後に】
本書は、チョコレートの起源から現在の世界中で庶民に普及した歴史を学ぶことができます!
ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!