ユーザー(教育現場)に近い距離でプロダクトを開発するQubenaのこだわり
こんにちは!株式会社COMPASS 取締役の常盤です。COMPASSは「新しい学びの環境を創り出す」をミッションに掲げ、小中学生に対してAI型教材Qubena (キュビナ)を提供している会社です。
COMPASSでは創業以来、ユーザーと近い距離でプロダクトを開発することをとにかく大切にしてきました。学習塾向けにサービス提供をしていた頃は、オフィス内にQubena Academyという直営の学習塾を設置し、いつでもユーザーがプロダクトを使っている様子を観察できるようにしていました。
2020年度よりCOMPASSは公教育向けに事業を集中させています。ともなれば、公立の小学/中学を自分たちで運営することは難しく、以前とは別の工夫が必要です。このnoteでは、公教育向けに事業をしながら、どのようにしてユーザーとの距離を近く保っているか、またそれによって得られている効果について紹介したいと思います。
※現在 Qubena Academyは運営を停止しています
COMPASSと公教育の関わり
COMPASSと公教育との関わりは、2018年の麹町中学校での経済産業省による「未来の教室」実証事業まで遡ります。Qubenaを用いて個別最適化された授業を実現し、その学習の効率化によって捻出された時間を活用して、最先端のテクノロジー(ドローン、VR、3Dプリンタなど)を使ったSTEAM教育を行うというものでした。
この実証事業は見事に成功し、本来単元62時間で行う中学1年生の数学を34時間まで短縮し、それによって捻出された時間でSTEAM教育のワークショップや中学2年生で学ぶ単元の先取り学習を行いました。
この実証事業を通じて、麹町中学校の先生・生徒の皆さんと多くのコミュニケーションの機会に恵まれ、また授業やワークショップの企画・運営に携わるなかで、公教育が抱える課題や学校現場でのICT教材のユースケースを身をもって理解することができました。社員の中には、学校に下駄箱を用意頂いたり、卒業式に参加させて頂いたりと、非常に近い距離で伴走させて頂くメンバーもいました。
ここで得られた知見は、公教育向けにプロダクトを開発する上で、非常に役立つものでした。しかし、この実証事業に対しては「これは麹町中学校だから出来ることだ」という声が挙がることは珍しくありませんでした。麹町中学校は政治の中枢である永田町に最も近い公立中学校です。たしかに地方の公立小中学校と比較すると異なる事情も存在するかもしれません。そこで、全国の学校にサービス提供することを見据えて、複数の学校と意見交換をしながら開発が進められるように、活用モデル校を募りつつ事業を進めていくようにしています。
活用モデル校とサテライトオフィス
Qubenaの提案をしていくなかで、いくつかの学校に活用モデル校となって頂くことをご相談し、ありがたいことに様々な協力を得られています。例えば、先生とのICT教材の活用方法の意見交換、プロダクトへのフィードバックなどはその最たる例で、非常に勉強になっています。以下は実際に先生へ提案をした資料の一部です。
このように、我々が考えるICT教材を用いた授業内容を先生に提案し、議論を重ねる上で「こういう授業をするには◯◯の機能が必要だ」「△△というコンテンツがもっと欲しい」などのフィードバックを頂きます。
また、実際に授業の様子を見学させて頂き、授業を進める上でのプロダクトの使いづらさがあれば、それを社内に持ち帰ってすぐに改善に取り組みます。COMPASSはこのユーザー(教育現場)との距離の近さにとにかくこだわりを持っています。
会社としても、なるべく学校現場に社員が行きやすい環境を整えるために、よく伺う学校のすぐそばにサテライトオフィスを設置しています。サテライトオフィスと言いつつ、実はマンションの一室だったりするのですが、学校との距離にこだわって徒歩数分圏内で物件を抑えています。学校を訪問すると、1時間目と3時間目に予定が入って2時間目は空きがある、ということも珍しくありませんので、ちょっとした空き時間はここで待機や仕事ができるようにしています。
授業見学をしているからこそ、気がついた改善点
ここで一つ、ユーザーと近い距離で開発をしているからこそ気がついた改善点を紹介します。Qubenaには先生用のQubenaマネージャーという生徒が行った学習結果を確認するアプリケーションがあります。
Qubenaマネージャーでは、正答率や解答の解説を読んでいる時間など様々なデータを見ることができるのですが、その中の機能の一つに実際の生徒の解答時のプレイ画面を確認できるというものがあります。
開発時は、この機能のユースケースを「先生が生徒の学習結果をより詳細に分析する」と想定をしていたのですが、実際の現場ではこの画面を教室にある大きなモニターに描写し、生徒がよく間違えている問題を授業の中で解説するという使い方をされていました。
この使い方はとても素晴らしいものですが、開発側で想定できていないユースケースであったため、そうした使い方をする上で別の機能がとある問題を起こしていることに気がつきました。それが下記の問題ごとの解答数・正答率を確認する画面です。
どこが問題点かわかりますか・・・?答えは、誤答した生徒の欄です。これは、問題に対して誤答した生徒をリストアップすることで、それぞれの生徒の解答時のプレイ画面を確認する為の導線になるのですが、教室にあるモニターに描写することによって、誰が間違えたのかクラス全員がわかってしまうという状態になっていました。
多感な思春期の子供たちに対してこの状態はよくありません。先生もこの画面のときはモニターの描写をOFFにして...などのオペレーションで回避をしてくれていたのですが、明らかにUIUXとして問題がありました。そこで誤答した生徒の名前の表示・非表示を切り替えられるように改善を行ったのがこちらです。
これは授業見学をしているからこそ気がつけた改善点でした。そして、Qubenaのプロダクトチームでは、役割や立場に関わらずメンバーが現場に行くことが推奨されているため、同じ現場の景色を共有することができているので「たしかにあのモニターに自分の名前が誤答した生徒として表示されると恥ずかしい」と、オンラインミーティングであっても議論がスムーズに進むことが多いです。これも授業見学をしていることのメリットの一つです。
終わり
以上、ユーザー(教育現場)に近い距離でプロダクトを開発するQubenaのこだわりについてでした。正直に言えば、Qubenaにはまだまだ改善点が残っています。ユーザーと近い距離でモノづくりをすることはやりがいはある一方で、直接ご要望やご指摘を頂く機会も多く、大変さもあります。それでもCOMPASSはこの開発のスタイルにこだわりを持ち、新しい学びの環境を創り出すというミッションに立ち向かっていくつもりです。
もし、こうしたプロダクト開発にご興味のある方がいましたら、COMPASSでは引き続き積極的に採用活動を行っていますので、ぜひご連絡を頂けますと幸いです!
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