大学生活に最高のセルフマネジメントを!早稲田出張授業レポート
みなさま、こんにちは。”最強のアクティブラーニング”デザイナーを目指す吉野匠人です。本日は、2022年5月20日に実施した早稲田大学社会科学部における出張授業の様子をお伝えし、大学1年生にとって初年次教育の中で何が必要なのかの視点をお伝えできればと思います。
この授業に関して、学生にアンケートを取ったところ、30人の受講者の平均点が96.7点、63.3%が100点と回答してくださいました。
授業の概要
今回の授業は、早稲田大学社会科学部1年生の必修授業である「ラーニング・コミュニティー」で行いました。受講者は30名。
授業の目的
この授業は、次の目的をもって行いました。
ショートレンジ(2年春まで)とミドルレンジ(3年秋まで)の大学生活の計画を立てる
大学生活を本人が最適化しようとするように方向づける
つまり、最高の大学生活に向けて適切な計画を立て、そしてその遂行・改良を自分でできる動機付けを行うというのが目的です。もっと簡単に言えば、学生のセルフマネジメント力を鍛えることです。
最高な大学生活を支えるもの
そして、この「最高の大学生活」は、次の3つが大きく影響します。
その人にとって魅力的な人との出会い
怠惰を断ち切る力
学問の積極的な活用
この3つです。大学生は、社会や他者、学業をネガティブに捉えがちです。「社会は怖い」「勉強は面倒くさい」。そして、自分の殻とでもいうべき心理的安全を追求する人も多いです。
しかし、私は伝えたい。社会や他者、学問こそ学生の味方。そして本当の敵は弱い自分自身ですと!社会の様々な人と触れることで大きな成長を得られます。そして学問はよりよい思考を支える糧ともなるし、興味を形にする足がかりともなるのです。
授業で行ったワーク
この目的を果たすには、アクティブラーニングは欠かせません。今回、次の3つのワークを行いました。
①ソロワーク:こんな人に囲まれたい!
こちらは、自分がどのような他者から影響を受けたいのか、積極的にデザインするというものです。人は、周りにいる人から強い影響を受けます。その影響を与える存在である「周りの人」を受動的に決めてはもったいない。積極的に、どんな人に囲まれたいのか考えるワークを行いました。
これにより、魅力的な人との出会いを促進させることが狙いです。魅力的な人に出会うためには、どれがどのような人なのか明確にする必要があります。
②グループワーク:佐藤くん(仮)をコンサルしよう
このワークは、大学2~3年生に特有な悩みを抱える架空の人物、佐藤君が抱える悩みを解決してあげようというものです。
大学生は、(良くも悪くも)とてもプライドが高く、自分の本当の弱い部分をさらけ出すのが苦手です。なので、「自分はこんなに怠惰だ」といえる人は多くはありません。言っている人も、聞こえがいい部分だけ、「ネタになる」部分だけを切り取って言っています。否定されるのが怖いのです。
そんな背景から、ここはスケープゴートを用意して、その人の改善策を考えてもらうことにしました。
③グループワーク:社会科学者になりきってみよう
これは少し早稲田大学社会科学部に特化した内容になっています。
社会科学部は、学際的な学習・研究を推進しています。しかし、その学際性が学部1年にはピンときません。学際性を考える一つのアプローチとして、イシュードリブンがあると考えます。一つのビックイシューに対して、それぞれの分野の見解を統合してより説得力のある説明を試みる。そうすることで、分野を超えた、つまり学際的な学習・研究の必要性が理解できます。
今回は、それに近いものとして、社会科学のそれぞれの分野の専門家がコロナのパンデミックに対してどのようなコメントをするか(しそうか)を考えるワークを行いました。
このワークの一つの特徴は、インターネットの使用を推奨していることです。それを通して、学際的なリサーチの感覚をつかんでもらうことも期待しました。
学生のコメント
この3つのワークを通した講義は、とてもよく学生に理解されたと思います。初めにも書いたように、学生への事後アンケートでは30人の受講者の平均点が96.7点、63.3%が100点となっています。
他にも、次のような意見をいただいています。
初年次教育で必要なこと
最後に、初年次教育で重要なことを3点指摘したいと思います。これら3点を通じて、学生のセルフマネジメント力を高める必要があります。
まずは、様々な場所での成長を総合的に計画させること。
学生の主な生活フィールドは人により異なります。大学の教員は、大学での学びが大学生の学びだと思う傲慢さは真っ先に捨てなければなりません。大学生が様々な場所で成長していくことを、大学の講義は支える立場にあるのです。そのような総合的な計画をサポートする必要があるでしょう。
次に、学問がどう人生に貢献できるか考える。つまり、その大学生活の一要素である講義やゼミを通した学習・研究が、一人ひとりのどのような成長と繋がるのか。それを考えさせる機会を設けることが必要です。自分の力で導くように支えることが必要でしょう。そうでなければ、その計画は持続しにくいです。
最後に、学問の効果的な学びのデザインという点から考えましょう。初年次教育でアカデミックなことについて専ら重要なのは、教科書の向こうの景色をどう自分事として考えさせるかです。(多くの)研究は、問題意識から始まります。私が後輩のゼミ生と接していて感じることは、問題意識が弱いことです。したがって、研究の道すじも立てづらく、モチベーションも維持できません。学部1年生には、教科書の向こう側の問題を自分事としてとらえ、様々な問題意識を持たせることが極めて肝要です。
さいごに・初年次教育でお困りの先生方
初年次教育は、学生にとって極めて重要な時間です。その時間を最大限活用できるように適切なコース・クラスデザインが求められます。
初年次教育を学生の成長への起爆剤にしたいと考えている先生方、ぜひ私にご相談いただけますと幸いです。学生目線で学生主体の授業を提案・実施いたします。
連絡はこちらまでお願いいたします。
takuto1818@g.ecc.u-tokyo.ac.jp