LOG ENTRY: SOL 7
いよいよ新天地での仕事が始まった先週、吸収することが多すぎて疲れがたまったのか、週末は寝てばっかりだった。本当は車を買いに行かなければならないのだが、そんな体力も気力もなかった。おかげで昼夜が見事に逆転し、徹夜で月曜を迎えることに。幸い今日はミーティングがひとつも入ってない。同僚にもらった資料をひたすら読み込んで、火星ローバーの勉強をする(と勝手に決めている)日だ。
朝、デスクで資料を読んでいると、コーヒーをもった初老のおじいちゃんが現れた。「君がTakか。どうだい調子は?」。一瞬誰かわからず困惑していると、彼はH.H.と名乗った。あ、僕に電話でジョブオファーをくれた人だ。
僕の今の上司J.H.は、僕の入社直前の人事異動でスーパーバイザーになったばかりだった。そして今目の前にいるこの人が、前のスーパーバイザー。僕がグリーンカードを取得してJPLに電話すると、開口一番ジョブオファーをくれた、僕を雇った張本人だ。彼は長年務めたJPLを引退して、J.H.にスーパーバイザーを引き継がせ、自分はパートタイムで週に1日だけ来るようにしたのだそう。インド系の穏やかそうなおじいちゃん。
そもそも僕を雇うことに決めた人間が、僕が入社した時にはもういないって、どんな状況だよ、と思っていたが、週1来るのね。ちょっと嬉しい。H.H.は、僕がMIT時代からお世話になっている窓口的存在R.S.と家が近いからか、毎日相乗り通勤をしていたそうだ。僕の話をR.S.から細かく聞いていたそうで、僕がグリーンカードを取ったタイミングで、すぐジョブオファーを出す準備ができていたのだろう。そしてそのあとすぐ引退してスーパーバイザーの座を退いた。ということは、僕のグリーンカードがもう少し遅れて、H.H.が引退していたら、同じように話は進まなかったかもしれない。相変わらず強運というか何というか。
一方、今の上司J.H.も良い人そうだ。スーパーバイザーになりたて、ということもあってか、いろいろ丁寧に教えてくれるし、どんぶり勘定なところはウマが合う。明日の午後ちょっと興味のある学会をのぞきに行ってもいいか、と聞くと、なんなら朝から1日中行けば?と言う。そして予定していた別のプロジェクトのミーティングを次の日にずらしてくれた。僕の自宅と彼の自宅が近いこともあり、学会会場からの帰り道が混雑するからと、複数のルートをホワイトボードに描いて教えてくれたりした。
そんな、二人の上司の優しさと自分の運の強さを再確認した1日でした。そういえば、J.H.が自分のコンピューターを注文していいよ、と言っていた。引き継いだコンピューターは少し遅いので、本当に新しいの買ってもらおうかな。。ネットワークプリンターの設定は、またもや失敗。ITオフィスにヘルプを要請して、オフィスを後にした。
日本食スーパーで買ってきた、かんぱちの刺身を肴に、弟・妹にもらった獺祭 磨き二割三分を、妻にもらったタンブラーで飲むなど。旨し。
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