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バッファを差し込もう
時間は有限でだからこそ、その時間を最大限活用しようとして、ついスケジュールをぎっしり詰め込んでしまいがち。もし予定に空白があると、「何か無駄にしているのでは?」という強迫観念に襲われる人もいるのは想像に難くない(というか中本はその類の人)。
しかし、それでは逆に物事がうまくいかず、悪い方向に進むことが多々。だからこそ、適度なバッファ(余裕)を持つことが欠かせない。今回、台風と線状降水帯の影響で交通が遮断され、静岡に数日間足止めされ、多忙な日々から一転して“バッファ王”となった中本の経験を交えながら、バッファが持つ価値を伝えていきたいと思う。
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一つ目のバッファの価値は、予期せぬトラブルに対応できること。急な打ち合わせや、公共交通機関の遅れ、プライベートの緊急事態など、自分たちが想像もしなかった斜め上から飛び込んでくることが多い。
例えば、静岡でバスや鉄道(ローカル線や新幹線)すべてが止まってしまったとき、次の打ち合わせまでに少しバッファを設けていたおかげで、帰宅を諦めてホテルにチェックインし、その後も余裕を持って仕事に取り組むことができるように。
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二つ目のバッファの価値は、人とのコミュニケーションが増えること。時間に余裕があると、誰かと一緒にお茶を飲んだり、近況や時事について雑談をする時間が生まれるように。こうしたささやかな会話が、関係性を柔らかいものにし、相手への親しみを増す瞬間へと繋がっていく。
静岡に滞在していた間、普段はオンラインでしか会えなかった静岡在住の方々と直接お会いする機会を持てただけでなく、オンラインMTGにも余裕が生まれ、冒頭や最後に雑談でのコミュニケーションが充実することに。
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三つ目のバッファの価値は、中長期的な思索ができること。平たく表現すると、未来に思いを馳せる時間が取れること。目の前のタスクに追われていると、どうしても目前のことに集中してしまいがち。けれども、バッファがあれば、少し先の未来を見つめ直し、それに向けた行動を再構築する時間が生まれるように。
静岡での足止め期間中、「今年の終わりまでに何を成し遂げるべきか?」と考える時間が取ることができ、その結果として、少なくとも電子書籍を4冊出版し、「アイデアをカタチにするヒントシリーズ」を25項目×4冊の計100のヒントとしてまとめる!という目標を明確にすることができた。その結果として急ぎ執筆を進めて一つ目の出版へと辿り着くこともできた。
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スケジュールにバッファを持たせることには価値がある。予期せぬトラブルに柔軟に対応でき、関係性を深める機会が生まれ、中長期的な視点で物事を考えられるように。時間は有限だからこそ、フルに活用したくなる気持ちは心の底から共感するものの、時には一息ついて、ところどころにバッファを持たせていこう。