【#20】退社した元社員のヨーロッパ1人旅<トゥールーズ編>
これは、拓匠開発に新卒で入社した社員(みほ)が会社を辞めて、2ヶ月間のヨーロッパ1人旅に出る壮大な(?)物語である。
みほは会社員時代に叩き込まれている(はず)の「拓匠力」を旅の中で活かし、人間として大きく成長することはできるのか?!
最初の記事はこちら↓
前回の記事はこちら↓
唯一の相棒を失う
ストックホルムの次の行き先は、フランスのトゥールーズという街です。
この街では素敵なアパートメントに泊まるので、「今日の夜ご飯は地元の野菜を使ってアヒージョを作ろうかな〜」とか「またワイン飲んじゃおうかな〜」とか胸を膨らませながら飛行機から降り立ち、キャリーバッグの到着を待ちました。
しかし、私のキャリーバッグは待てど暮らせど流れて来ません。
そして30分後、ついにベルトコンベアは停止しました。
どういう状況なのかよくわからなくて、誰もいなくなったベルトコンベアの前でしばらく呆然としました。
でも、これ以上ここにいても仕方なさそうです。
思い返すと自分でもびっくりするくらい冷静にカスタマーサポートセンターへ向かい、「受託荷物紛失届」の申請を済ませました。
そして空港内をフラフラ歩きながら、自分が今どういう状況なのか、ゆっくり考えました。
・・・そういえばマロンくんのお姉さんは、空港会社の手違いでキャリーバッグがどこか遠い国へ行ってしまったことがあって、2ヶ月後に中がカビだらけの状態で家に届いたと言っていたなあ。
・・・私のキャリーバッグはもう、戻ってこないかもしれないなあ。
パンツもコンタクトの洗浄液も洗顔も着替えも、何もなくなっちゃった。
少しずつ、みんなへのお土産を買ってたんだけどな・・・。
考えているうちに、キャリーバッグが手元にないことが現実味を帯びてきて、悲しくなってきました。
重すぎるキャリーバッグに対し、これまで何度も「こいつがいなかったらどんなに楽なことか」と思ってきましたが、いざいなくなると、寂しさが溢れてくるものです。
思いがけず念願のバックパッカーになってしまった私は、旅の大事な相棒を失った悲しみに暮れつつ、とりあえず市内行きのバスに乗り込みました。
それでも、バスに揺られながら悶々と考えるうちに、私の得意技である投げやりなポジティブシンキングが発動。気がつけば”むしろ自分はラッキーである”という結論に至りました。
「無くしたものを数えて瞳閉ざすよりも、あるものを数えた方が瞳輝き出す」と絢香さんだって歌っていたじゃないか。
あ〜、リュックサックに貴重品を入れておいて良かった。
よくよく考えるとこれまでの旅が順調すぎたから、キャリーバッグが無くなったくらいじゃまだラッキーな方だよな。今が旅の終盤で本当によかった。
そもそも、この旅で起こり得る最悪の想定は「襲われて財布もスマホも取られた後に銃で撃たれ、現地の病院で手術して入院し、莫大なお金を失い、帰国しても後遺症に苦しみ、身内に迷惑をかける」ことなので、それに比べればこんなことは屁でもささくれでもないです。
気持ちがすっかりポジティブに切り替わり、ゲストハウスに到着した後はバナナを片手にひとり作戦会議を始めました。
調べたところ、受託荷物の遅延にあって2〜3日で荷物が届いた人もいるし、数ヶ月届かなかった人もいるみたいです。
どちらの場合も想定しておこう。「いつも隣に、サードアンサーを(※)」ですから。
まず、もし荷物がこのゲストハウスに届く場合に備え、ゲストハウスの隣のケバブ屋さんに事情を説明、荷物の受け取りのお願いをし、配達業者宛に書いたメモを玄関に貼りました。
ケバブを買ってゲストハウスに戻り、バナナの次はケバブをむしゃむしゃ貪りながら、キャリーケースが届かなかった場合のことを考えました。
こちらも調べたところ、受託荷物の遅延で必需品を追加購入しなければいけない場合、その金額が空港会社より保証されるらしいです。
そうなれば、怖いものはありません。
もし荷物が届かなかったら、その補償を信じてリスボンでショッピング三昧だ!!
もはや逆に、キャリーバッグが届かない方が面白そうです。
まぁでもとりあえず明日は、キャリーバッグが届く可能性も考慮して、最低限の必需品を買おうと思います。
すでにお店が閉店している時間だったので、その夜はコンタクトレンズを装着したままスッポンポンで眠りにつき、翌日から必需品の買い出しに出かけました。
洗顔、保湿、歯ブラシ、コンタクトレンズの洗浄液、靴下、パンツ等を購入し、どこまで補償されるのかドキドキしながらZARAで2着もかわいい服を買いました。調子に乗って保湿クリームもちょっと良いやつを買いました。これでもし全部保証されたら超ラッキーです。
こうしてトゥールーズ2日目は、観光スポットなど1箇所も巡ることなく、ただの買い物を楽しみました。
感動の再会
3日目は朝から、バスツアーでカルカソンヌへ行きます。
カルカソンヌとは1000年前くらいに栄えた城塞都市で、「カルカソンヌを見ずして死ぬな」という誰かさんの名言さえあるほど、美しいらしいです。
巨大な城塞を目の前にして、まさにタイムスリップしたみたいな気分を味わいました。
とても美しかったのですが、別に私はこの街を見なくても安らかに死ねる気がしました。
帰りのバスでスマホを眺めていると、配送業者からフランス語のメールが届きました。
「配達を試みましたが、お会いできなかったので持ち帰りました。返信を待ってます」とのこと。
メモ見ろよ!一生懸命フランス語で書いたんだから!!と言いたくなりましたが、気づいていただけなかったので仕方ありません。わかりにくいところに貼った自分が悪いのです。
翻訳機能を駆使して必死にお願いし、再度夕方、ケバブ屋さんに届けていただけることになりました。
ゲストハウスに到着した後、ちゃんとキャリーバッグが届くか不安だった私はケバブ屋さんの前に仁王立ちし、配達業者さんが来るのを待ちました。
オシャレにタバコでも咥えて立っていれば景観に馴染むのかもしれませんが、ギラギラ目を光らせて仁王立ちしているアジア人は多分、異様でした。ケバブ屋の店主も通り過ぎる人々も、「あいつ大丈夫か・・・?」と心配になったことでしょう。
そうして待つこと30分、不機嫌そうな配達のお姉さんによって、無事にキャリーバッグが届きました。取っ手が無くなっていましたが、中身が無事だったので本当に良かったです。
おかえり、私の大事なキャリーバッグちゃん。心の中でつぶやいて、感動の再会のハグをしました。
その夜は無事にキャリーバッグが届いたお祝いも兼ねて、念願の1人アヒージョパーティーです。
スーパーで野菜を購入し、捨てるのが勿体無いので全て丸ごと使いました。
もちろんニンニクもまるまる1個使用したので、明日私と同じ飛行機に乗る方には本当に申し訳ないです。
完成したアヒージョは野菜がたっぷりで本当に美味しく、明らかに1人前ではない量の多さでしたが食べ切りました。
イタリアで食べ過ぎた時はなんとか理由をつけて罪悪感から逃れていましたが、今回ばかりは弁明の余地がありません。ただただ食べ過ぎていて、このままではアンパンマンになってしまいます(私は幼稚園生の頃、友達にアンパンマンみたいだねと言われて泣いたことがある)。
顔がアンパンマンみたいだね、なんて二度と言われたくないので、日本に帰ったらダイエットを頑張ります。
いざ、最終地点のリスボンへ!!
結局、トゥールーズの観光名所を巡ることはないまま、明日の朝にはこの街を出発です。
夜な夜な、ゲストハウスの掃除をしました。私は意外と、この掃除時間が好きです。
日本で暮らしていると、礼儀正しさのレベルがみんなとても高いので、気を遣えることが当然、遣えないのはダメ人間、みたいな圧力を感じることがあります。
私はテキパキ人に気を遣うことが得意ではなくて(すぐぼーっとしちゃう)、気を遣うことを求められる集まりにはすごく苦手意識がありました。
でも、この旅では、気を遣ったり礼儀よく振る舞おうとすることを純粋に楽しんでいる自分に気がつきました。
「礼儀正しくしなきゃ、気を遣わなきゃ!」と思うと楽しくないですが、相手に喜んでもらいたいから、どうすれば良いのかを自分なりに考えてする行動は、本来とっても楽しいことなのかもしれません。
だから、その気持ちが湧いてでてくる心の余裕を、自分のペースを、常に持ち続けられたらなあと思います。
取っ手が無くなったキャリーバッグは運びにくさを極めており、帰りのバスに乗り込む途中、持ち上げきれずにステップに突っかかって、盛大に転びました。
腰を強打して痛かったし、すごく恥ずかしくて、キャリーバッグへの感謝の気持ちは一瞬でイラつきに変わりました。昨晩の感動の再会がバカらしく思えてきます。
それでも天使のような女性が手を差し伸べてくださり、その女性に「やぁ、恥ずかしいなあ」と言ってみると、笑顔で「Nobady care!(誰も気にしてないわよ!)」と言ってくれました。それはそれで悲しいなあと思いました(ワガママ)。
〜旅の順路〜ブダペスト(ハンガリー)→ウィーン(オーストリア)→プラハ(チェコ)→ベルリン(ドイツ)→ハンブルク(ドイツ)→ローマ(イタリア)→スペルロンガ(イタリア)→ハンブルク(ドイツ)→コペンハーゲン(デンマーク)→パリ(フランス)→コペンハーゲン(デンマーク)→ボーンホルム島(デンマーク)→ストックホルム(スウェーデン)今ここ!→トゥールーズ(フランス)今ここ!→リスボン(ポルトガル)
出発日:8/27(火)〜帰国予定日:10/14(月)
参考資料
※いつも隣に、サードアンサーを。
拓匠開発は、個人の意思・意見を尊重する環境です。
相手を満足させるだけでなく、自分自身も満たされるようなアイデアを実現できます。
そのためには、常に自分の頭で考え、発信することが大切です。
【告知】椿森コムナのワンワンマルシェに出展します!
2024年11月9日(土)、11月10日(日)の2日間、椿森コムナで行われるワンワンマルシェに出展させていただくことになりました✨
イベントの詳細はコムナのインスタグラムをご覧ください↓
実はイラストを描くのが結構好きなので、ここではイラストレーターとして似顔絵シールを販売します!
ご都合が合えば、皆様ぜひいらしてください♩
次回の記事はこちら↓