留学と空虚感(page11.)

イギリス旅行で
現地ガイドをして下さったのは
インド人の男性だった
とても日本語が上手で
びっくりしたのを覚えている

帰国する空港への道中
(またイギリスに戻ってくる事が
あって、困った事があれば
自分を訪ねてくるといい)
そんな感じの事を言ってくれていた

イギリスにまた戻ってくる
そんな事ができたら、、
場所は何処でもよかった
日本ではない
何処かへ逃げる事ができるのなら

イギリス留学の話は
驚くほど順調に進み
気付けば旅行からの帰国後
すぐ又イギリスに戻っていた

でも不安定さは増すばかりだった
寂しさ、不安、空虚感
薬は常に服用していた

でも何処かに進まなければ
そんな気持ちが強かった
そうして、留学生活へ逃げたのが19歳の時

語学学校に通い始め
初めての事に戸惑いながらも
なんとか毎日をこなしていた

最初は学生寮に滞在した
昔から人には恵まれている
(自分には恵まれないのに、と思っていた)
仲良くしてくれる人たちにも出会えた

でも空虚感は強まるいっぽうだった

とにかく何かに逃げたかった
何か確実なもの
だって
自分自身があまりにも確実ではないから

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