オールボー大学の自治寮はどう運用されているか
オールボーへ来て、早くも2ヶ月が経ちそうです。
英語などコミュニケーションの課題はまだありつつも、たいぶこちらの生活に慣れてきた感じがします。
こちらでは学生寮に入ったのですが文化の違いに驚くことも少なくなく、今回は寮生活の様子をシェアしたいと思います。
将来 AAU Energy はじめ、オールボー大学に留学したい!という方や、デンマークの留学生活のイメージを持ちたいという方の参考になれば幸いです。
はじめに:筆者は日本の大学時代も寮生活でした
前提として、私は日本での学部生時代にも大学寮に暮らしていました。
その寮は当時で築数年の、留学生が多く住まう国際寮。
シングルルーム(トイレ付き、シャワー洗濯キッチン共用、光熱費別)の家賃は4.1万円/月ぐらいだったと思います。
そこは自治寮ではなく管理会社により運営されていて、
掃除業者さんの定期的な清掃などもあり、共用部分はいつも綺麗でとてもありがたかったです。
他方で学生の自治組織などはなく、寮生は共用キッチンを使わなければほぼアパート/マンションで一人暮らししているような感覚を得られたはずです。
イベントごととしては、留学生支援の一環で、管理会社さんと Student Supporter というボランティア(バイト)学生数人で、交流・文化体験会が企画されていました。
私も当時は Student Supporter の一人で、スポーツイベントや映画鑑賞会、ご飯会や留学生支援をしていたのでした。
この寮暮らしを経験して海外での学びを志向するようになったので、実質的に私をオールボー大学へと導いてくれた体験だったと言えます。
今回の留学にあたっても寮に入ろうと決めていたのでした。
オールボー大学の寮
オールボー大学は2万人弱の学生が在籍している関係で、 student housing を数十施設持っているようです。
とはいえ、大学所有の寮というよりは、オールボー地域の大学生(カレッジ学生含む)が入居できる施設という立ち位置のようで、
各施設は大学構内のみならず、市内、郊外に分散して存在しています。
シングルルーム(共用キッチン)、シェアハウス、独立部屋、家族部屋などタイプも様々です。家具付きの部屋と、そうでない部屋があります。
学生寮への申し込み期間は、オールボー大学の受験結果が出る前から始まります。
申込完了者から入居する寮の希望を提出して契約するシステムなので、早めに申し込むが吉です。
(入居可能枠があるので、申し込みに遅れると自分で部屋探しをすることになります)
早い人ほど自分の希望通りの部屋を選ぶことができます。
私は自費留学なこともあり、生活費を圧縮することを大前提に、
・費用の安さ
・大学/シティへのアクセスの良さ
・2階以上に住めること(網戸がないことを前提とした虫除け対策)
の観点で家を選び「Aalborghus Kollegiet」の2階のシングルルームを契約しました。家賃は月2,975dkk(6.3万円/月ぐらい、トイレシャワー付き、キッチン洗濯共用、光熱費込み)で、デンマークにしては破格のお値段。
Aalborghus Kollegiet
Aalborghus = 地名:オールボーフス
Kollegiet = 寮
と名付けられたこの寮は築60年を超える、たぶんオールボー大学の寮で一番歴史ある建物です(良い表現)。
オールボー大学のメインキャンパスへはバス/自転車で10分弱という好アクセス。Webサイト上では「1963年建造(オールボー大学できる前)、1993年にリフォーム済み(私生まれる前)」と書いてあり…ちょっと不安を覚えつつも入居。
周辺環境
大学(バス/自転車10分)、シティ(バス20分)がそこそこ近いだけでなく、周辺施設も充実していてかなり便利です。
・大学/シティ行きのバス停(ルート2)まで徒歩2分
・スーパーマーケット(Netto、Lidl、Rema1000)まで徒歩圏内(2、5、10分)
・ドラッグストア(Apotek)まで徒歩5分
・Golf Parken(クロスカントリートレイル/ゴルフ場/馬牧場/天体望遠鏡のある公園)が隣接
・Gigantium(複合スポーツ施設:スケート・体育館・プール・サウナ)までバス/自転車で5分
そのほか、使っていませんが銀行(Sparekassen)も近くにあります(徒歩2分)
自室
家具付きのシングルルームです(トイレシャワー付き、光熱費込み)
インターネットも、Wi-Fiルータだけ購入すればそのまま使えます。
自室への出入りはオートロックになっています。
共用キッチン
冷蔵冷凍庫、IHキッチン、収納棚、水回りを共用で使います。
談笑ルームが併設されています。
洗濯機・乾燥室
棟ごとの地下1階には共用の洗濯機・乾燥機が置かれた部屋があります。
利用料は一回100円弱(7.5DKK)で、支払いは mywallet.dk というSMSを利用した電子決済サービスで行います。
洗濯室の脇には乾燥室という、常に30-40度ぐらいに温められた広めの部屋が併設されています。そこで洗濯物を1日干しておくとカラカラになるという仕組みです。
日本は洗濯機のみ(部屋のベランダで乾燥)、香港アメリカは洗濯乾燥機で自動乾燥だったので、どれとも違う感じで驚きました。
共用ルーム(パーティー会場、バー、映画鑑賞室、ジム)
住居棟とは別の建物が併設されていて、共用ルームとして使われています。
金曜夜はバーとパーティ会場が開かれて、賑やかな夜になります。
映画鑑賞室は予約制で、スクリーンの前に椅子が並びプチ映画館っぽく仕上がっています。
ジムにはベンチプレス、トレッドミルなど基本的な器具が揃っていそうでした。
中庭
寮の中庭にはテラス、焚き火スペースがあります。読書や談笑している学生がたまにいます。
サウナ
なんと棟にサウナがついています。予約制で最大4人ぐらいで一緒に入ることができます。
ゲストルーム(宿泊施設)
居住棟の脇に、一晩3000円/部屋ぐらいで宿泊可能なゲストルームがあります。
ということで、オールボーに旅行に来られた際にはぜひお声かけください😉
自治組織と運営
入居して気づいたのですがこの寮、ほとんどを学生による自治で運営されています。
これまで私は過去の留学を含めると日本、香港、アメリカで学生寮暮らしを経験してきましたが、自治寮に住むのは初めての経験でした。
建物内に清掃会社さんも入ってこないなか、写真のような綺麗さが保たれているのは自治組織が高度に機能しているからみたいです。
自治組織はざっくり
管理人(技術サポート)の方
学生自治組織(各フロアから数人ずつ選出)
責任者(マスターキー管理)
フロア管理(キッチン管理人、共用部屋の鍵管理人)
という構成です。寮生+管理人のSNSグループがあり、寮のルールの記載がまとめられているほか、高頻度で色んな連絡(イベント情報や共用部利用状況の注意喚起など)が共有されています。
この高度な組織のおかげで、例えば洗濯機が壊れるなどのトラブルがあっても、管理人さんを呼べば対応してもらえます。自室のオートロックに締め出された時も、マスターキー管理の学生を呼べば対応してもらえます。
ありがたいですね!(どちらも体験済み)
掃除当番(Kitchen Duty)
寮の共用部の綺麗さは、掃除当番によって保たれています。当番は担当の週で「平日のキッチン周りの掃除・ゴミ出し」「休日の床掃除、共用品の洗濯」などを行います。キッチン管理人の学生がいろいろやり方を教えてくれます。
セメスター大掃除
掃除当番の力をしても溜まっていくホコリなどを掃除する、大掃除イベントがセメスターごとに1回あります。
冷蔵庫を退けて床を掃いて本体を拭いて…みたいなことをするそうです。A super exciting event! としてアナウンスがありました。物事はテンションですね。
フロア文化
各フロアごとに独自のカルチャーがあるようです。私の住むフロアにはCommon Dinner と、Tour de Chambres というカルチャーがあります。
Common Dinner
言い換えると、週次の炊事当番といったところでしょうか。週末1夜のご飯を当番が希望者分作ってみんなで食べる、というイベントです。
様々な国の料理を楽しめて、毎週楽しみにしています。
同時に、日本料理として何を振る舞おうか頭を悩ませています。。
Tour de Chambres (TDC)
セメスターに一度、お互いの寮の部屋に寮生を招き、ちょっとしたゲームと飲み物を楽しむ、というパーティです。調べてみると、デンマーク独特の寮文化とのこと。
つい先日開催され、留学生たちの各国の文化を織り交ぜた感じで非常に楽しかったのですが、金曜日18時からスタートして日を越してなお続くという長丁場で、私は途中で体力が尽きました。。
次回は日本酒を手に入れて振る舞いたいところです🍶
自治寮に暮らしてみて
寮生同士のコミュニケーションが盛んな、かなりソーシャルな寮だなという所感を持ちました。それはデンマークのお国柄を反映したもののかもしれませんが、学生自身が寮を運営していることも背景にあるのかなと私は理解しました。
ただ入居中ずっと気を張っている必要があるかというとそうではなく、フロア文化なども任意参加のもの。タイミングなどで Common Dinner の参加者もだいぶ代わります。Social Battery の残量に応じて参加判断ができるのは個人的にはありがたい。
デンマークの生活の立ち上げにあたっては、この自治寮のフロアメイトにたくさん助けてもらいました。ありがたい限りで、今後何かしら彼らの助けになれればと思います。