BLGS開幕 ファイトの肯定力は失われたのか。雑多な感想。
CSとの狭間に。
Bstreamによって、オフシーズンの競技シーンにもたらされたBLGS。
各リージョンごと、オンラインで行われるCC形式のオールインコンペティションは競技シーンの今をテストしながら……様々な試みと、名を挙げようとする様々なプレイヤーの心意気が入り混じったものに。
SP2プレイオフチームにはロースター変更が発生しているチームもあり、現状のエラー出しとしても非常に有難いイベントだろう。
勿論競技シーンファンにとっても、本来オフシーズンとなる空白の期間を埋めてくれている。
構成やロール配置、その部分を中心に観戦してヤーヤーいっている私としても現状のプロチーム、そして様々なアイディアと可能性を持った新たなるブレインの提案を楽しんでいる。
楽しんでいる……正直に言うと、ほぼ毎日スクリムを片目に過ごしていた期間よりは観戦することができていない(あの頃のツケが回ってきている)ために、一生懸命に追いついている最中だ。
今回は、BLGS #1Finalが行われたEMEA、Americaの2つを観戦して雑多に思い浮かんだ感想を書き連ねる。
文字だらけになるし、久しぶりだからまとまりを欠いているかもしれない。
アキンボモザンビーク調整の今
まずに欠かせないのが、アキンボモザンビークの現状だ。
プレイオフで猛威を振るい、トップスタッツを独占したアキンボモザンビーク。オーバーパワーだという声が上がるのは当然のこと。
突然のナーフ。総弾数は-2で10発に、発射レートの減少と拡散率の増加。弾丸サイズの減少。
個人的な感想としては、SMGが現状使い物にならない(と思われている)中でエイムアシストの調整という明らかにコントローラープレイヤーが不利だという手入れをするにあたって、コントローラープレイヤーが有利なレンジで優れた武器を投入するという試みが間違っていたとは思わない。
やや強力な武器だったが、対応が早い競技シーン(カードゲームにおいて、強力なデッキやカードがSNS等で即座に広まるようなもの)で多くのチームが即座にそこへ飛びついただけであり、ファイトレンジをその距離に調節できる技術があってこそのオーバースタッツ。決してアキンボを所持していなければ勝てず、所持していたなら勝てる武器ではない。
ただ、弾丸スタックとそれに対するパフォーマンスが優れていることはApexというシステム上決して無視できない要素であり……energyのPOP率減少等を重ねることでそちらへ寄せることがイージーな環境を作り出してしまった感はある。
この変更を受けて、競技シーンはどのようなリアクションをしたのだろうか。
まずに目につくのは、増加したマスティフと一部のEVA-8と極々一部のピースキーパーの採用だ。
ナーフを受けた中でもアキンボモザンビークは残っており、マスティフと50:50ほどの採用率を維持している。
今や所持できる二種類の枠のうち、チーム内のプレイヤー全てがショットガン / anyであるチームが非常に多い。
これはコントローラープレイヤーならアキンボモザンビーク、MnKならマスティフやEva-8等というものではなくあまり統一性はないように思う。各チーム各プレイヤーごとに様々だ。
アキンボモザンビークの調整は成功したと言ってもいいようには感じる。
Y4SP2以前、アキンボモザンビークが猛威を振るう前は競技シーンにおいてショットガンを所持するプレイヤーは非常に少なかった。
APACNのプロリーグにおいてDOSUKOIimpactがジブラルタルを採用しピースキーパーを抱えていたのは記憶に新しいが、そのような一部のオフメタチームが採用していたのみ。
FNATICのSG名手YukaFが「対策にピースキーパーを持とうかな」という声を出すくらい、競技シーンにおいてショットガンというものは不遇であった。
それが今では、当たり前のように殆どのプレイヤーがショットガンを抱えている……。競技シーンにおいて、大きな変化と言える。
これは当然ショットガンに与えられた強化の影響もあるだろうが、レジェンド構成の推移とそれに伴うファイトパターンの変更が大きいだろう。
そして、ショットガンとタッグを組む武器は様々なレンジへ対応できる汎用性の高いものが求められるに。
マークスマンライフル、スナイパーライフルといった武器の枠は……いや、様々なチームによる思惑が入り乱れており、不遇ではなくチームとしての想定が出るかつてよりも重要なファクターと……。
競技シーンの構成軸として立場を得たニューキャッスル
BLEEDが投入し、プレイオフでその優位性を見せつけたニューキャッスル。
今や競技シーン構成において確実に軸の一つとして存在するまでになった。
モバイルプロテクターによる簡易的なドームファイト、そこへの対応としてショットガンは確実に有用だ。
しかしに、モバイルプロテクターファイトというのは非常に限られた数少ない状況で行われる盛り上がりポイント。常にこのファイトで優劣が決まるような状況とはなっていない。
ここへの対応だけでショットガンが増加した、というのはやや早計だろう。
ニューキャッスルが軸となることで発生した、ノーダウンでのクリーンファイトの難易度上昇。そしてポジションバリューの強烈な底上げ。
安置端、後方がカットできる場面においての屋上等高所でキャッスルウォールを用いることで、本来ならば耐えることのできなかった時間帯においても高所のポジションアドバンテージを作り出すことができる。
それによりニューキャッスル採用チームは狙うべきポジションがかわり、安置端であったり遮蔽前のポジションを狙うように。
これが意味することは、ニューキャッスル採用チームは強烈なポジションアドバンテージを得ているということ。
そのポジションアドバンテージを押し広げていくエリアコントロールという手法で広く相手を押し込んでいく戦法が強力だったY4SP1。ヒューズを用いてフラッガーで押し込んでいったFNATICや、旧DZのスタイル。かねてよりApexはポジションアドバンテージが有効なゲームであることに疑いはない。
ニューキャッスルによって新機軸のポジションアドバンテージが生まれ、そのポジションアドバンテージによって優位に運ぶのは今も同じではあるがそのスタイルは大きく違う。
広く抑えることでリスクもあったエリアコントロールと違い、広く抑えず低リスクのままにポジションアドバンテージを用いることができている。
よって、ファイトを仕掛けられた際に強度を保つことができるのだ。
ポジションアドバンテージが強烈であり、仕掛けることが難しいということは安置内でチーム内の距離が詰まっていくということ。
つまりにレンジの短いファイトが増え、そこを攻略するために強度の高いスイングファイトが増える。
よってショットガンの採用が増えている、そう考えてみるのは……どうだろうか。実際に、それは有効に働いているようだ。
そして、その結果として最終円での残存部隊数はとてつもなくピーキーに。
BLGSで採用されているE地区において、最終円での残存部隊が15チームというなんとも信じられない状況すら発生した。
ファイト肯定力は今や……。
様々なパワーバランスを持つチームが入り乱れた予選段階では圧倒的なパワーを誇ったalliance。20killOverのビッグゲームを数多く作り出したファイティングアルティメットゴリラなこのチームがEMEAのFinalで苦しんだように、そのチームパワーが高まっていくFinalに向かうにつれフラットなファイトを仕掛けるということは難しくなっている。
当然のようにニューキャッスルが存在する今、ワンダウンですらそのファイトのキッカケとして確実なアドバンテージにはなりえないのだ。
効率的に情報を稼ぎ、ワンダウンをキッカケにファイトをクリーンに終了させることを目指すスタイル。バンガロールが出張し、残るプレイヤーがポジションを保持するその形はやや通用しずらい過去のものとなりつつある。
これはY4Sp2のプレイオフからやや発生していた傾向ではあったが……。
Falcon等の苦戦はまさしくそれで、バンガロール不採用チームが増えつつあるのもそこへ繋がる。
かつては「一人にしてもいいルール」としてバンガロール等の単独行動が可能なレジェンドが求められそれを基準に戦術がくみ上げられたが、今や単独行動なレジェンドを必要としていないチームも増えてきているのだ。
これはかつてのレイスから続く、Apex競技シーンの花形たるポジションが失われたことを意味するのか?
元よりこのスタイルを用いてきたチームは確実に存在している。T1等の韓国強豪チーム(優勝を決めたREJECTも)など、ここからも時代を滅茶苦茶に先取りしていたAPACN感は感じる。ニューキャッスルだって、NTHだぜ。
アイディアで広げるか、自力で押し切るか
NAリージョンのトップチーム、その思考を考える上で参考になるのではと思うのはE地区でのパスファインダー採用の可否ではないだろうか。
LGやMoist、BLEEDといったチームはパスファインダーを採用し、TSMやNRGにE8は用いていない。用いているのは、カタリストだ。
パスファインダーの優位性は以前にも話したこともある気はする、話したことにしてほしいのだが、その修正力にある。
つまりに詰み状況からワンチャンスを作り出す能力、その部分においてパスファインダーは非常に優れている。当然パスファインダーを使用するプレイヤーであったり、それを支持するIGL等の能力次第だが。
終盤やファイトにおいてファンタスティックなアイディアによって、負け試合を勝ちに持っていく。ポイントを最大化していく。その最たるものはスタリオンのAlbだろう。彼のグラップルによって勝ち取ったポイントは数多い。結果がプレイオフ、BLGSFinalにまでつながっている。
そんなジーニアスなプレーが見られることも、現在の競技シーンの魅力だろう。
カタリストの場合、間違いを修正するパワーはない。
しかしに、TSMやNRGは圧倒的な安定感を保持している。ベースたるマクロとロール、ファイトパターンの熟成によって自力で積み上げた優位。その優位を確実につかみ取ることができるのがカタリストだ。
間違わないことで、ジーニアスな一発のアイディアでは覆せないアドバンテージのままにポイントベースを高める。
この部分は確実に各チームを分ける戦術の基礎となっており、非常に面白い部分。
ファンタスティックなパスファインダーと、自力のカタリスト。それはお互いに自信の表れであり、自らこそが優れたプレイヤー、チームであるという方向性の違いだ。
個人的な感想としては、カタリストによる優位を優位のままに押し広げて当たり前に勝つスタイルが好みではある。この部分は、人によってさまざまだろう。パスファインダーが嫌いなわけではないし。
見どころは確実に増えており、その魅力は増しているように感じるが……それこそ、これから先に調整が入るかもしれない部分。CSまでこのまま進むとは、ちょっと思えない。
雑多で申し訳。
以上で、久々の書きなぐりを終える。
今まで参考にしていたFalconの苦戦、ロースター変更にて参考のベースを失った(正直Genの離脱は本当に大きいと考えている)ために、その部分を見つけ出しているのが現状だ。
ファイトパターンにおいては各チーム様々のようで、1-2がベースで推移していきそうな雰囲気はある。
APACN、それこそ各チーム大きなロースター変更もあり……楽しみな開幕は今週末だ。
プレイオフ進出チームと、そこへ突き立てるプロリーグ、CCチーム。そして未だその名を知られていない可能性を持ったプレイヤーたちの活躍を、楽しみにしたい。