前置詞の迷宮
イタリア語に限らずヨーロッパの言語では前置詞が大切です。
英語でも on と in の違いや to とfor などたくさんの前置詞があって、それぞれの細かな違いがたくさんありますよね?
イタリア語でも同じように前置詞に細かな違いがあります。
僕自身、まだ使い分けきれてないし、まだまだ迷うし間違えます。
例えば、「〜に」と言いたい時(英語でいえば at や to をいう時)、イタリア語では a か in を使います。
Vado a Tokyo (東京に行く).
Vado in Francia (フランスに行く).
のように。
「都市や小さな島に行く場合」は a を使い、「国や比較的大きな島、州に行く場合」は in を使います。
僕は以前、イタリアの南にあるマルタ共和国で短期英語留学をしていました。
マルタはシチリア島とアフリカの間にある小さな島国です。
そのことをイタリア語で伝えようとしたとき、「マルタは “a Malta”? それとも”in Malta” ? 」と疑問が浮かびました。
マルタは淡路島の半分ほどの大きさですが、
マルタ共和国という一つの国家です。いわゆる、ヨーロッパのミニ国家の一つです。
先ほどの決まりに当てはめると、一つの国家だから「in」のような気がします。
でも、小さな島であることを考えると「a」でもあるような気がします。
ちなみに、後でわかったのですが「沖縄」や「ハワイ」には「a」が使われます。
でも「日本」や「イギリス」はやっぱり「in」です。そして、グレートブリテン島(ロンドンのある島)も「in」なんです。
こういうのは調べようがないんですよね。
そのための『イタリア語・前置詞辞典』なるものがあるのかもしれませんが、少なくとも僕は知りません。イタリア語や英語での解説書はあるかもしれませんけど。
辞書に例文が載っていればラッキーで、ほかにはインターネットで文を調べてみたりするしか方法がないです。
まぁ、イタリア人に訊けばすぐにわかるのですけど。
で、迷った挙句に「in」を選び、“ andare in Malta” という文を書きました。
するとイタリア人から "a Malta だよ " とあっさりと指摘が!
理由を訊ねてみると
「俺はうまく説明できないけど、慣習として a なんだよ」
とのことでした…
「なんだよ。あれだけ迷ったけど慣習的にか…」と思いました。だけど、言葉を学ぶ時は、例外やこの手の慣習的な表現にがっかりするのではなく、それを楽しみ、その知識を増やすことが醍醐味でもあると思っています。
「国だけど小さな島だから”a Malta “だ」
と自分に縁のあるマルタについて、表現の仕方を増やしました。
さて、僕がローマにいるときに、クエンティン・タランティーノ監督でブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオ主演の映画
「Once upon a time in Hollywood 」
がローマでも公開されました。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
と日本では英語タイトルが、そのままカタカナの表記で公開されましたが、イタリアではタイトルもイタリア語に訳されて公開されてました。
“Once upon a time “ は日本語で「むかしむかし」ですね。
「むかしむかし」はイタリア語で “C’era una volta...”といいます。
なので友人のイタリア人に
「”C’era una volta in Hollywood “ を観に行くよ」
と言うと、
「a Hollywoodだよ!」
とまたあっさり言われました…
僕は、「"in Hollywood "と記憶してたのに、おかしいなぁ」とイタリア人から指摘されても疑ってました。
でも、映画館でポスターを見てもたしかに「C’era una volta a... Hollywood」
なんです。
「やっぱり僕の記憶違いだったのか」とがっかりしたけど、あとで間違えた理由がわかりました。
英語のタイトルでは
「Once upon a time in... Hollywood」
だったんです!
英語では「 in Hollywood 」、イタリア語では「a Hollywood」。
英語とイタリア語の違いで「前置詞の迷宮」にまたまた迷い込んでしまっていました…
ほんと、前置詞は悩ませます。