「これはプロダクトマネージャーの仕事なのか」問題について考える
今回は、プロダクトマネージャーであれば一度は直面したことがあるであろう「これはプロダクトマネージャーの仕事なのか」問題について、自分の考えを記述してみたいと思います。
この記事を書こうと思ったきっかけ
本日公開された記事を含め、10X blog内で自分の役割を紹介する機会が増えていますが、一般的なプロダクトマネージャーの役割とは大きく差分があると認識しています。
また、社内のプロダクトマネージャーとの会話でも「enamiの役割は特殊だね」という話になることがあり、確かにいま自分が担っている役割は何なのか、プロダクトマネージャーとしての仕事なのかをいま一度考えてみても良いかも、と思ったりしていたタイミングでした。
前提
個人的には「プロダクトマネージャー論」みたいなものがあまり得意ではありません。一般論で語れるほど単純ではないという思いが強く、自分から「プロダクトマネージャーとは」みたいな発信をすることは意識的に避けてきました。
ただ、最近自分がやっていること・任されていることが明らかに「一般的に言われているプロダクトマネージャーの仕事」とは離れてきていること、自分はそれを極めてポジティブに捉えていること、とはいえ過去には同様の場面で「これは自分の仕事なのか」と苦しんだこともあったなぁと思い出したことから、この「これはプロダクトマネージャーの仕事なのか問題」について自分の考えをまとめて記述しておくことは、誰かの何かの役に立つかもしれないと思うようになりました。
個人の志向やスタンスによって大きく変わるものであり、真逆の考え方も全く否定されるものではないという前提で、あくまで一個人の考え方として捉えていただければと思います。
プロダクトマネージャーにありがちな状況
組織によりけりだと思いますが、自分の観測範囲だと、プロダクトマネージャーは色んなことを任されがち・期待されがち、実際に色々なボールを拾うことになりがちかなと思います。(プロダクトマネージャーという「役割」がそうさせるのか、プロダクトマネージャーを務める「人」がそうさせるのかは分かりませんが)
そうやって色々な仕事を抱えていく中で、ときにプロダクトマネージャーの「理想」と「現実」に苦しむことがあります。
書籍に書いてあることと違う、記事で読んだことと違う、Twitterでバズっていた投稿と違う、イベントで聞いたことと違う、セミナーで聞いたことと違う…
理想と現実のギャップに苦しむ中で「これはプロダクトマネージャーの仕事なんだろうか、このままで自分はプロダクトマネージャーとして成長できるんだろうか、プロダクトマネージャーとしてのスキルは身についているんだろうか、便利屋で終わってしまうのではないだろうか」のような悩み、もやもやを抱える場面に、誰しも一度は遭遇するのではないかと想像します。
個人的には、(全てがそうとは言えないまでも)そういった仕事・経験はプロダクトマネージャーとしての幅を広げることに繋がると思っています。扱ったことがあるイシューの性質・領域が多様であることは、想像以上に未来の自分の糧になるのではないでしょうか。
裏を返すと、一般的に言われているプロダクトマネージャーの仕事だけに捉われることは、未来の可能性や幅を狭めることになってしまうかもしれません。「プロダクトマネージャーの仕事」という神話に捉われるべきではない、というのが自分のスタンスです。
そもそもプロダクトマネージャーの仕事・役割とは
あまり得意ではない「プロダクトマネージャー論」のような話になってしまいますが、自分はプロダクトマネージャー・プロダクトマネジメントについてこのように解釈しています。
プロダクト開発において必要なのは、「プロダクトマネージャー」ではなく「プロダクトマネジメント」
組織が対峙しているドメインやイシュー、組織が持ち合わせているケイパビリティ、それらの発揮度などによって、プロダクトマネージャーやプロダクトマネジメント組織に求められる役割・守備範囲は変わる(組織によってプロダクトマネージャーの定義や役割が様々なのはまさにここから来ているもの)
「プロダクトマネージャーの仕事」という一律的な定義はできない
プロダクトマネージャーに求められるのは、プロダクト全体・組織全体としてプロダクトマネジメントが適切になされる状態を実現すること
この「プロダクトマネジメントが適切になされる状態を実現すること」がプロダクトマネージャーの役割であり、そのために必要なのであれば「間に落ちたボールを自分で拾う」は一つの選択肢としてあるべきだと思います。
重要なのは、そのボールが拾うべきものなのかは適切に見極めることと、それがYesなのであれば見て見ぬふりをしないこと。必ずしも自分が拾う必要はないですが、その場合は誰かが拾うように働きかけたり、誰かが拾いやすいように前捌きをしたり、責任の所在を明確にするなど、何らかのアクションは取るべきと考えます。
この「能動的なアクション」と「一般的に言われるプロダクトマネージャーの仕事」との間に存在する差分が、「これはプロダクトマネージャーの仕事なのか問題」を引き起こす根本にあるのだろうと思っています。
そういった差分に対する自分のスタンス
前述の通り、自分は「プロダクトマネージャーの仕事という神話に捉われるべきではない」というスタンスです。
「ボールを拾う」という行為そのものを推奨したいというよりは、「機会を掴む」ことを強く推奨しています。なぜなら、その姿勢は結果的に自分の守備可能範囲を広げることに繋がると思うからです。
プロダクト開発において、課題は至るフェーズ、至る箇所で発生します。どんなに完璧な定義・整理をしたところで、間に落ちるボールというのは必ず発生するものです。そういったボール・イシューを適切に扱えるか、というのも、プロダクトマネージャーの力量と言えるのではないでしょうか。
「それはプロダクトマネージャーの仕事ではないから扱えません」よりも、「その領域には触れたことがないから扱えません」よりも、「一般的なプロダクトマネージャーの仕事なのかはさておき扱えます」の方が圧倒的に価値が高いことは明白だと思います。
体感として「その領域に触れたことがある」というのがいつか大きな財産になることは間違いないなく、だからこそ機会を掴むスタンスを崩さないようにしています。
ただし、ボールを拾うことと、ボールを持ち続けることは別です。リソースは有限であり、ボールを手放していくことも同様に大切です。(散々偉そうなことを書いておいて何ですが、自分は手放すことが苦手で、常に抱えがちになっています。明確な課題…)
10Xのプロダクトマネージャーは面白い
Stailerという事業・プロダクトは、対峙しているネットスーパー・ネットドラッグストアという事業の特性もあり、守備範囲が非常に多岐に渡っています。複雑性が高い分、様々な機会があちこちに転がっており、プロダクトマネージャーとしては非常にやりがいのある環境だと感じています
これは1年前に書いた記事ですが、相変わらず「やることめちゃめちゃあるやん」な状況が続いています。(いや、めちゃめちゃ増えとるやん、な状況です)
自分としては引き続き、色々な機会を掴むことに対してポジティブに構え、日々の仕事を楽しんでいきたいと思っています。
10Xのプロダクトマネージャーに興味がある方、ドアノックお待ちしています!