Takuro Kawase

健康優良不良中年。2012年からフリーランスのエディター・ライターとして活動中。 仕事依頼は下記URLからメール、または各種SNSメッセージにてお願いします。 https://kawasetakuro.com

Takuro Kawase

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最近の記事

カジュアルに正解はないけれどスーツには正解がある

スーツ姿にダメ出しをされた苦い思い出 身なりについて他人から指摘されるのは非常に不愉快だし、もしその場に他の人がいたら相当恥ずかしい思いをする。かく言う自分も30代前半の頃、広告代理店のお偉いさんに「キミはまだスーツを着こなせてないねぇ〜」と鼻で笑われたことがいまだに忘れられない。彼の目に映っていた私のスーツ姿は中途半端で浮ついたものだったのだろう。 そのお偉いさんというのは業界でも有名なイタリア通で、スーツの着こなしも板についたものだった。だから、私は何も言い返すことが

    • ミキミキツンパカルテイハ、イエスかノーか半分か?

      かなりどうでもいいことだけど、パンツについてずっと気にかかっていたことがあるので備忘録として書いておく。 冒頭のタイトルは小学校低学年の頃に流行ったジョークだけど、日本でパンツと言えばまずは下着のことを指す。英語のパンツとはフランス語のパンタロンが語源で、スラックスやトラウザーズなど広くボトムス一般を意味する単語だ。正確にはアンダーパンツ、もしくは単に下着と言えばいいのだけれど、自分も含めて多くの男性がいまだに混同している。 そこで本稿では、ボトムスを意味するパンツをズボ

      • クワイエット・ラグジュアリーはいつか来た道

        ハイファッションにおける最新キーワードとして浮上しているのが“クワイエット・ラグジュアリー”なのだそう。控えめな贅沢という意味通り、目立つロゴや華美な装飾を排して、上質かつシンプル、それでいて今を感じさせるシルエットやギミックを凝らしたアイテムやブランドのことを指す。ここ数年続いてきたミケーレ期のグッチやバレンシアガといった、ゴリゴリに主張するブランドへの反動とも言える。 その代表格ブランドがオルセン姉妹による「ザ・ロウ」で、同ブランドの人気バッグ“マルゴー“は、小さいサイ

        • 団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史16

          エピローグ繰り返しながら変わり続ける ここまでざっと30年の東京メンズファッションを振り返ってみる。   1990年代後半 ・イタリアブランド人気/グッチ、プラダ、ドルチェ&ガッバーナ、アルマーニ ・裏原ムーブメント/ア・ベイシング・エイプ、ネイバーフッド、ソフ ・シルバーアクセブーム/クロムハーツ、ガボール、ゴローズ   2000年代前半 ・プレミアムジーンズの世界的流行/リーバイス・レッド、セブン、アールジーンズ ・モードなロックスタイルが世界的にブレイク/ディオール・

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史15

          2020パンデミックの始まりとリモートワーク 前年の2019年末に中国の武漢で発生が報告されたCOVID-19が世界に拡散し、パンデミックに見舞われた。北米や欧州に比べると感染者は圧倒的に少なかった日本だったが、お笑いタレントの志村けんと女優の岡江久美子のコロナ感染死をきっかけに未知のウィルスへの警戒感は一気に高まり、4月には緊急事態宣言が発令される。ワイドショーには感染症の専門家が連日登場してコロナの不安を煽ることが常態化。これまで普及していなかったオンライン会議やヴィデ

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史15

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史14

          2018アスレジャースタイルの広まりと進化 ちょっとした外出にも使える部屋着を総じてワンマイルウェアと呼ぶが、その代表であるスウェットやジャージのセットアップで、原宿や表参道を闊歩する若者が目立つようになる。それまでスウェットやジャージのセットアップというと、休日のオジサン着というダサいイメージしかなかったが、ストリートスタイルの定番として若者たちの間で人気が再浮上した。特にナイキのフリースパーカとジョガーパンツの人気は圧倒的で、足元は当然ながら同ブランドのエア搭載のハイテ

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史14

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史13

          2016年悪趣味なのに目が離せないグッチの躍進 デビューコレクションでまずまずの評価を得たミケーレのコレクションが、2016SSコレクションで一気に花開いた。ランウェイに送り出したのは、鮮やかなピンクやグリーンやブルー、きらびやかな刺繍で彩られたシノワズリ風デザインのドレスやジャケット。しかもスタイリングは徹底的にギーク(オタク)風でデコラティブ。時代遅れのように思えるメガネやセミフレアパンツ、そこへデビュー時から得意とするリボンやフリルといったフェミニンなディテールが加え

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史13

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史12

          2014ワイドパンツ人気が広まり始める ネオ・アメトラから引き続くスタイルを継続しながら、ワイドパンツが注目されるように。腰から腿にかけてゆとりを持たせて、膝から裾にかけて少しテーパードさせたタック入りパンツが普及していく。雑誌のウオモでは、パリでのコレクションも高く評価された「カラー」を筆頭に、新興ブランドの「コモリ」と「オーラリー」を取り上げ、その他にも「エンジニアドガーメンツ」のベイカーパンツ、「コム デ ギャルソン オム」のウールパンツなどを紹介。またポパイではパン

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史12

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史11

          2012 やっぱり大人はジャケットでしょ!   20代でストリートとモードの両方を通過し、ファッションに敏感な30〜40代の男性をターゲットに集英社の『UOMO(ウオモ)』がリニューアル。メンズノンノで長年活躍していた日高麻子編集長によって、スタッフやモデルを刷新。それまでのレオンの二番煎じ的なポジションから脱却させ、メンズノンノ育ちのファッション好きの大人を納得させる、キレイめの都会派おじさんを模索していくようになる。新装刊4月号の表紙は木村拓哉で、特集は“大人顔ジャケット

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史11

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑩

          2010アメリカがトレンドの最前線に返り咲く ディオール・オムを真似た廉価なブランドが蔓延し、お兄系はもちろんファッションに詳しくない一般層にまで、細身で全身真っ黒なロックスタイルが浸透するようになり、急速に陳腐化していたこの時期。次なるトレンドセッターとして注目されていたのが「トム・ブラウン」だ。袖丈と裾丈を極端に短く仕立てたグレースーツを発明し、長らく続いたロックスタイルの対抗馬として際立った存在感を放っていた。保守的なビジネスマンを象徴するグレースーツが最新のファッシ

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑩

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑨

          2008リーマンショックとファストファッション この年に一気に表面化したリーマンショックを機に、日本経済全体の低迷が決定的となっていった。デジタル化に遅れ、旧態然とした大手製造業が相変わらずあぐらをかき、中国や韓国に追い越されそうになっていたことを誰も自覚したくないように見えた。雑誌業界も大手が相変わらず強く、再販制度の見直しもされることなく、部数減を補う広告出向やタイアップありきの誌面作りに頼るようになっていた。ファッション小売業もECへの移行が遅れ、その後ZOZO一強時

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑨

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑧

          2006遅れてやってきたラグジュアリーブランド パリとミラノの最新コレクションを紹介する記事では、相変わらずディオール・オムが先頭で紹介されていたが、グッチとプラダという二代巨頭は健在で、ドルチェ&ガッバーナ、ジョルジオ・アルマーニ、ジル・サンダーといったミラノ勢が続き、マルタン・マルジェラやドリス・ヴァン・ノッテンといったアントワープ勢も熱心なファッション関係者には根強い人気を誇っていた。そうした中、アルベール・エルバスが手がけるウィメンズとともに注目されたのが「ランバン

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑧

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑦

          2004新しいスタイルのメンズ誌が躍進 当時から最大部数を誇っていたメンズノンノを猛追していたのがスマートだった。そこで紹介されていたのは、90年代終わりから盛り上がっていた裏原スタイルで、グラフィック入りのTシャツかスウェットに、サイズアップしたジーンズを腰穿きで合わせ、マウンテンパーカかミリタリージャケットを重ね着するのが定番だった。足元は「ナイキ」のダンクか「アディダス」のスーパースターといったスニーカーか、「レッドウィング」「ダナー」「ティンバーランド」のブーツが人

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑦

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑥

          2002業界人の間でディオール・オムが話題に モードの帝王、イヴ・サンローランがプレタポルテ(既製服)から引退を発表したこの年、ムッシュ・ディオールの意志を引き継ぐかのように、エディ・スリマンが歴史あるメゾンを再興させた。ディオール・オムでエディが披露したのは、とにかくタイトなテーラードジャケットと極端に細いタイが特徴のモノトーンスタイル。ランウェイに登場したモデルは、痩せ細った10代後半〜20代前半の東欧系の白人たち。これまでメンズファッションを牽引していた、イタリア勢が

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑥

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑤

          ファッションは20年周期で繰り返す説 ここ数シーズン話題のY2Kファッションやジーンズ人気を見ていると、”ファッション20年周期説”という言葉を思い起こす。実際、当事者として2000年代のプレミアムジーンズ人気を通過してきたからこそ同意できる。多少のタイムラグはあるが、数年前に巻き起こったスニーカーブームと急激な沈静化も含め、あの頃と似ている。その周期は単に円を描いているのではなく、螺旋を描くのだとも言われるが、それも言い得て妙である。共通して繰り返すアイテムやスタイルはあ

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史⑤

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史④

          シルバーアクセサリーがストリートの定番に 私が編集者として携わり、確かな手応えを感じた仕事として『銀モノ・スタイル』というムックシリーズがあった。国内外ブランドのシルバーアクセサリーをひたすら集めて、カタログ化する内容だった。渋カジブームがひと段落し、裏原ムーブメントへ変化していく中、スニーカー、ジーンズ、Gショックに次ぐストリートファッションの重要アイテムとして、多くの若者を惹き寄せていた。 その嚆矢となったのが、コム・デ・ギャルソンに見出された「クロムハーツ」(88年

          団塊ジュニア世代が見てきた東京メンズファッション30年史④