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よど号なんて知らなかった

最近読んだ本の影響で「よど号ハイジャック事件」について興味が出て、夜な夜な調べている。日本国内における史上最大級のハイジャック事件、その実行犯グループは革命を叫ぶいわゆる赤軍派であった。
事件から50年以上経ったいま、メンバーのうち何人かの死亡は確認されているが、彼らはフツーに北朝鮮で生活している。国際手配されているのに、YouTubeチャンネルもやっている。

犯人グループと各々の配偶者が共同生活するその模様は「あいの里」と大差ない。日本が恋しいのか、安全に帰国できるように日本政府に要求しているらしい。
「ハイジャックはさすがにやりすぎました。思い上がってました!反省しているので帰らせてください!あと拉致容疑に関しては冤罪です!」というのが彼らの主張だ。
自分勝手にもほどがある。そして日本人拉致問題には関与していないというのも疑問だ。そういった「役割」を期待されて北朝鮮政府も彼らを優遇していると考えるのが普通ではないか。

江頭2:50と平壌で対談したときもメンバーの1人である若林は「オーストリアで日本人女性をナンパしている」と語っている。
(ちなみにその対談で、江頭さんが「海外で全裸になって捕まったエピソード」を披露したら、若林が「君も革命家か!」と返したエピソードは結構好きだ)

何にせよやつらは「そういうこと」でしか存在意義が見出せないのだろう。国際的な何かでっかいことをやっている自分に酔いたいだけのように思える。だから浅はかな考えで、ノリと勢いだけでハイジャックもしてしまう。そして運良く成功してしまった。

よど号事件において、僕がとても気になるのは時の運輸政務次官、山村新治郎氏だ。
この事件における元々のルートは東京福岡便である。ハイジャックが起き、一度福岡へ降り立った便は韓国を経由して北朝鮮へ向かった。この時韓国から人質となって機内へ乗り込み、犯人らと北朝鮮へ向かったのが山村議員だ。この男気には感服する。昭和の肝っ玉政治家。日本はこういう人たちのおかげで急成長を遂げたのだ。

犯人グループに「ハイジャックは間違いだった」と思わせたのは、彼らが目の前で山村議員の心意気を見たからではないだろうか。なんだ、こんな人がいるなら日本はまだ大丈夫じゃないか。

北朝鮮へ降り立った山村議員は、現地で案外厚い待遇を受けたという。もう日本へ戻ってこられないかも、と悲観的な予想もされていた中で、ほんの数日後に日本へ返された。

山村新治郎の名は日本中に広まり、彼は一躍時の人となる。政治家としてのキャリアを積み重ね、さあこれからという時に実の娘に刃物で刺され亡くなってしまう。よど号事件から22年後のことである。当時2歳だった娘は、北朝鮮から帰還した山村氏を空港で出迎えている。

一番危険な場所へ向かって捨て身の覚悟で渡り、ケロッと帰ってきた男が、一番安心できる場所で身内に殺められるのはあまりに皮肉が効きすぎている。その娘さんは精神病を患っていたため責任能力なしと判断され不起訴になるが、事件の4年後に自死している。

31年間生きてきてこんなショッキング出来事があったなんて、恥ずかしながら知らなかったし、これは後世に伝えていくべきことだ。山村新治郎というカッコいい大人がいたこと、よど号テログループは今も北朝鮮で悠々と生活していること。もっと勉強していきたい。

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松本拓郎
サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。