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フォローミー、フォローユー
この前梅田の茶屋町周辺を歩いていると青年に声をかけられた。ネットワークビジネスか。僕は戦闘態勢に入り、声をかけられる前に鳩尾を殴り、よろけたところを回し蹴りで転ばせ、地面にひれ伏したそいつの顔に唾をかけてやろうかと思ったが、普通に道に迷っているようだった。香港から旅行で日本に来たばかりらしい。聞くと阪急三番街の地下に行きたいとその香港人の青年は言う。
なめてもらっちゃ困る。僕にとって大阪はもはや地元よりも詳しい。なにが梅田ダンジョンだ、バカバカしい。普通に歩けば目的地に着くだろう。
僕は自信を持って彼について来いと言った。"Follow me”である。ここは道案内をするだけでなく日本人として余裕も見せないといけない。いつ来たの?とか1人で来たの?とかを聞きながら下に通じる階段またはエスカレーターを探す。
ない。僕たちは5分ほど歩いたが全く地下へ通じる道を見つけれない。やばいなあと思いながら歩を進め、ついには彼と会話する余裕もなくなってしまった。
「すいません、ここから地下ってどうすれば行けますか?」
気づけば僕は知らないおじさんに声をかけていた。青年は訝しい目で僕を見ている。こいつ詳しくねえのかよ、と言い出しそうな顔で。
結局そのおじさんも行き方を知らず、どうしようかと困っていたところ、その香港人の彼が「あっちかもしれない!」と早足で歩き始めた。僕は急いで彼についていく。フォローミーの逆転現象が起こった瞬間だ。もはや僕はいらない。
そして彼が向かった先に、下へ通ずる階段はやっとあった。よかった。彼よりも安堵していたかもしれない。思わずThank youと言ってしまいそうになったが、そこはグッと堪えてEnjoy!と言って送り出した。梅田なんて毎日のように来ているし、大体のスポットは把握しているつもりでいたけど、阪急三番街の地下に行くのがあれほどまでに難しいとは思わなかった。梅田ダンジョン恐るべし。そういえばまだグラングリーンにもまだ行っていないな。大阪周辺は万博に向けて仕上げ段階に来ている雰囲気もあるので毎日の変化が楽しい。みなさんもぜひ大阪へ。道案内しますよ。
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