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バッテリーなんて上げた覚えがない

今日は午前中に大事な約束があったので向かおうとしたところ車にエンジンが入らなくなった。何が起きてるのか? 車に無頓着な僕はさっぱりだったので、キーをこねくり回し、サイドブレーキを入れたり外したりし、謎に窓を開けるなどしていろいろやってみるがやはりエンジンはかからない。そして30分ほど経ってようやく一つの仮説に気づく。

「これがバッテリー上がったというやつか!」

慌てて妻に電話する(妻の方が車に詳しい)。現状を説明し、どういう状況下に僕が置かれているのか解説をお願いした。

「それバッテリー上がってるわ」

バッテリー、上がってるんや。でも僕は一度としてバッテリーを上げた覚えがない。チャンスの場面でフライ、大事な定期テストの点数、やはり絶対に進めたい時の送りバントキャッチャーフライ、、、今までいろんなものを上げてきたがバッテリーだけは上げていないと神に誓える。

よくよく話を聞くと、バッテリーは「上がる」ものらしい。違法薬物を摂取しながらチルっぽい音楽を聴いて「上がるわー」と思考停止状態で呟く刺青の青年よろしく、バッテリーも勝手に上がってしまうようだ。
寒さもあるし、何より僕が2週間ほど乗っていなかったのがいけなかった。らしい。状況が掴めてきて、だんだんと冷や汗が出てくる。赤ちゃんもいるのに車がないとヤバい。バッテリー、上がるなや。

ダメもとでダッシュボードにあった保険の契約書を見てみると、小さく「バッテリーが上がった場合はこちらへお電話」とある。どうせ、提携の修理業者を寄越して法外な値段をぶんどってくるんだろ。人のパニックにつけこみやがって。まあ話だけでも聞いてやろうではないか。

三井ダイレクト損保ロードサービスのお兄さんは電話の向こうで至極丁寧な対応をしてくれた。ご状況はいかがですか?駐車場はどんな感じですか?ネトフリのタイプロ見てますか?

3番目は聞かれたかどうか定かではないが、何はともあれ一通りヒアリングが終わった。
「では30分ほどで作業員が参りますので家の中など、暖かいところでお待ちください」と言われる。はや。というかお金のこと何も言ってこなかったな。保険に含まれてるのか?いやいや気を緩めてはいけない(こういう時僕は「いくらですか?」と聞けない体質)。

そうこうしてる間に本当に30分で来た。デカいレッカー車が。飄々と降りてきたレッカーの兄ちゃんは律儀に名刺を渡した後、世間話をしながら素早く作業をし、ものの1分でエンジンがついた。
「じゃああと1時間くらいエンジンかけっぱなしにして、なるべく週1くらいでは最低でも乗るようにしてくださいねー」といって帰ってしまった。法外な料金どころか、1円も請求されなかった。保険に組み込まれていたようだ。

電話をしてからエンジンが復活するまで40分くらいだろうか。どんなシステムでやってんねん。三井ダイレクト損保ロードサービスよ。すごすぎるだろ。車の買い替えとかも頭をよぎったのでむちゃくちゃ得した気分だ。
あと嵐のように去っていったレッカーの兄ちゃんカッコ良すぎた。うちの駐車場は探しにくいのだが、僕が電話でちょっと説明しただけで「あーはいはい、あそこね」みたいな感じですぐに来てしまった。あの人はジョージアのCMに出れるよ。働く人たちによって僕の生活は成り立っているとつくづく思う。

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松本拓郎
サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。