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子どもの可能性は有限
近い将来、息子がとんでもなく金のかかる習い事を始めたいと言い出したらどうしようかと今から恐々としている。
例えばフィギュアスケートがやりたいと言い出したら、まずは家族で楽しめるようなアイススケート場へ行かせるだろう。そこで全く滑れずに「楽しくない!もうやらへん!なにがダブルアクセルや!やっぱり4-6-3のダブルプレーやろ!」となれば喜んでセカンドを守らせるのだが、フィギュアの楽しさに気づいてしまった時はどうすればいいのだろうか。
ここで検索トップに出てきたひょうご西宮アイスアリーナさんの会費を見てみよう。
週一回のサタデーコースで中学生以下6,500円/回とある。一見まだ許容範囲かと思うが騙されてはいけない。フィギュアだぞ?イナバウアーやで?
定員を見てみると150名以下となる。なかなかの大所帯である。しかもレッスンの時間は2時間だけ。つまりマンツーマンの指導はほとんど受けられないということだ。だったらその辺のアイススケート場とあまり変わらないのではないか。どうせやるなら本気でやらないと意味ないだろう。
そうして週1回の練習が週2回になり、オプションで個人レッスンがつき、金がかかっていき、僕の食費は削られ、息子のスケートテクニックと反比例するように家計は圧迫され、僕はやばい治験バイトに手を出すようになり、その副作用で頭がおかしくなって「フィギュアは国策!アイスリングの下には屍体が埋まっている!」という変わったタイプの陰謀論者となり、やがて息子はグレる。
「子どもの可能性をつぶしてはいけない」とはよく聞くが、じゃあ金出してくれやそこの教育評論家。子どもの可能性は親の収入によって変動がある。先ほどのフィギュアの例でいうと、芦屋の高級世帯層が集まるような本格的なスケート教室に、なんとか費用は工面できて入会できたとしてもそこの保護者会に僕がいたらどう考えてもおかしい。浮きに浮きまくり、そのままフェードアウトするだろう。
一見庶民的な野球だって必ず格差はある。庭のない平屋よりは、大きな庭園またはガレージみたいなスペースがある家の方が上手くなる可能性は高い。別に家の設備を整えなくとも、部活とは別で個人レッスン用の専属コーチみたいな人に週1回教えてもらうという野球少年も最近では多い。
都会の公園はキャッチボールすら禁止にされているところがほとんどなのに、東京や大阪のど真ん中からプロ野球選手がゴロゴロ出てくるようになったのは、前述のとおり金がモノを言うようになったからだと思っている。
可能性は有限だ。それは子どもだけでなく大人だってそう。金がないから人生が楽しくなる、なんてこともある。限られた天井の高さで、頭につくギリギリを攻めて跳ぶのが人生だろう。
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