半額小僧
「半額小僧」と呼ばれていた時期がある。理由は明確で、学生時代、近所の「まいどおおきに食堂」に毎日22時過ぎになると通っていたからだ。今は知らないけれど22時を過ぎると、まいどおおきに食堂羽曳野店ではおかずが全品半額になる。塾でバイトをしていた僕は、バイト終わりの時間とその半額時間がちょうど重なっていたので足繁く通っていた。
スーパーもそうだが、半額狙いというのは少し引け目がある。人間は余裕があるように見せたい生き物だ。僕だって最初は恥ずかしくて、あえて日を開けてから半額通いをしていたが、店員さんに「いらっしゃいませー!22時以降おかず全品は、あ、知ってますよね?」と言われ出したあたりから吹っ切れた。もうどうせ認知されているのなら毎日行ってやろうじゃないか。半額小僧の異名を得るまでにそこまで時間はかからなかった。「拓郎に会いたければ家に行くよりも22時に羽曳野食堂へ行けばいい」というライフハックが広まり、あらゆる友達と一緒に飯を食べた。これが半額小僧の起源である。
それが安いかどうかはどうでもよくて、お得な気持ちになるのが好きだ。羽曳野食堂だっておかず全品半額を良いことにいろいろ取りすぎてし結局1000円以上になってしまうし、そもそも黙って自炊した方が安いに決まっている。それでも通い詰めたのは「いつもより安いから」という理由に他ならない。
その点、夜のスーパーマーケットは楽園に近い。半額シールは人々が手に取らずにはいられなくなる麻薬だ。全くいらないものでもあの黄色いシールを見ると手を伸ばしてしまう。逆に何らかの割引シールが貼られていないものは買うのを躊躇する。もう少し待てば安くなるんじゃないか、昨日はもっと安かった、その値段が定価のはずなのに損した気持ちになるのはなぜだ。
最近では独自のポイント戦略も編み出しつつある。この場所ならこの支払い、という風に僕の中でマニュアルのようなものを頭の中に叩き込んでいる。恥ずかしながらコンビニで「QUICPayで」と言うか「Apple Payで」と言うかでポイントの付き方が変わることすら知らなかった。もう1秒たりとも損したくない。まだまだ勉強中の身分であるが、楽天ポイントさんはやはり強い。現在ahamoだが楽天モバイルに変えてもいいかもと思い始めている。
サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。