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海に文字を落とし込む

おかげさまで、友達やクラウドワークスで知り合った人の紹介で「書く仕事」にありつけている。その種類はSNS向けのショートドラマであったり、インタビュー記事を元に書くゴーストライターだったり、商品の広告だったりと幅広い。中には本当に金にならないものもあれば、そんなにもらっていいの?と思ってしまうものもある。本業は別であるし、家事も育児もあるから時間を切り詰めながらやっているのは事実だ。夜遅くまで作業をしていた影響で、朝から眠くて仕方ない日もあるけれど、夜息子が寝静まった後は机に向かえている。何よりも書くことが楽しいからだ。

書くことは、深くて暗い海をゆっくり泳ぐことに似ている。答えもなければ、道筋もはっきりとは見えない。それでも文字を置いていかなければ先へ進めないものだから、手探りで進んでいく。高村光太郎のあの有名なフレーズは、彼が作家だからこそ出た言葉なのだろう。
海の中ではたまに逆流が来て「この辺は泳いではいけないよ」と言われることがあるので、そういう時は引き返し、限られた条件でできることを指す。
敬愛する三谷幸喜氏が言っていた。「テレビとか映画は制約が多い。でもその制約を逆手にとって新しいアイデアを出すことが大切だ」と。例えばテレビドラマだと1時間に3回CMがある。そのCM時間を利用して時間を経過させる工夫もしているそうだ。

チャットGPTやらAIやらで作家という仕事そのものがなくなるんじゃないかと一部から声が上がっている。知らない。どうでもいい。あいつらはすごいのだから「うまく付き合っていく」が正解だと思う。新しいものを作って人を感動させれるのはきっと人間だけだ。僕はあくまで楽しいから書いているだけなので、これからなくなるor存在し続けるかはさして大きな問題ではない。

書き続ける上で大事なことは、実は読むことと見ること、そして経験することだと思う。そのインプットをサボらない限りは書き続けることができる。特に僕の場合は経験だな。これは意識的にやるようにしないと薄いものしか書けなくなる。妻と息子がいるおかげで今まで行くことがなかった場所には今のところ行けている。スタジオアリス(高かったけど!)、女子フットサルのプロリーグ、ベビールーム(オムツを圧縮して捨てるあの機械すごすぎ)などなど。見たこと聞いたことは、実際にやってみないとその本質は分からない。
「百聞は一見にしかず」には続きがある。「百見は一考にしかず」と続き最終的には「百幸は一皇にしかず」で締められる。自分だけではなく、みんなの幸せを考えることが大切だという意味だ。書くことでその境地まで達したい。その場所から見える景色とは。

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松本拓郎
サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。