誰かのファンになって初めてわかった「適切にお金を使える」場所を作る大切さ
誰かのファンになるって素晴らしいことですね。ずっと知りませんでした。
30歳を過ぎて初めてファンになった
学生の頃から「誰かのファンになる」ということが無かった。もちろん好きなミュージシャンはいたし、自分にとって特別な音楽もあった。ゆずを聞いてギターの練習をしたしBUMP OF CHICKENを聞いて泣いたりもした。
だけど自分がゆずやBUMPのファンかというとそうではなかった。ライブに行きたいと思ったことはないし、CDも買うのではなくレンタルショップで借りてMDに入れていた。もちろん学生でお金がなかったということもあるだろうし、お金を使うことがファンの定義ではないが、「ファンである」という自覚は皆無だった。
そんな自分が30歳を過ぎて初めてファンになったアーティストがいる。鷲崎健(わしざきたけし)さんとアンジュルムである。
それぞれの魅力やファンになった経緯を書き始めると途方もない文字数になってしまうので割愛するが、自分が胸を張って「ファンです!」と言える素晴らしいアーティストである。
いままで「誰かのファンになる」という感覚を持ったことがなかった自分がなぜファンであると確信をもてたのかと言うと「お金を使わせてほしい」という感情が芽生えたためだ。
頼むからお金を使わせてくれ
鷲崎さんとアンジュルムに関してはCDが出れば買うしイベントやライブがあれば出来るだけ参加したいと思っている。それはもちろんライブを体感したいし、音楽を聞きたいからに他ならないのだが、それだけじゃない感覚が自分の中にあることを感じた。お金を使いたい。お金を使うという形で直接的に応援したい。そのコンテンツがこれからも続くように金銭面から支援したい。
いままでずっと分からなかった、CDを何百枚も買う人の気持ちが、ちょっとだけ理解できた。
youtubeのスーパーチャット、投げ銭みたいなシステムも同じなんだろうなと思う。応援したい人がいる。その人をフォローする。追いかける。でもそれだけじゃなくてもっと直接的に支援したい。お金を出すからこれからも活動を続けて欲しい。そういう思いの結実なんだろう。
※とはいえやり方に問題があることもあるから「応援したい人は金払え」とか「金を払わなければ応援じゃない」なんて言うつもりはない。
小劇場で感じていた物販への違和感
自分は小劇場で役者をやったり制作をしていたりする。今はほとんどの劇団がグッズ販売を行っていると思う。過去公演のDVDだったり台本だったりTシャツだったりいろいろだ。
制作をやるようになってから多少認識は変わったのだが、役者だったころはグッズ販売にあまり良い印象が無かった。演劇はチケット代を払って観に来てもらう。そのチケット代以上のお金をお客さんから貰うことに抵抗があったんだと思う。もちろんグッズ購入を強制するわけじゃないし、お客さんが欲しいと思って買ってくれるのなら何も問題ないのだが、若かった自分の眼には金儲けのように見えて、公演における不純物のように感じていた。いま思うとひどい勘違いである。
小劇団は応援しにくい・・・のか?
ファンが「お金を使いたい」と思った時に適切に使える場所を作っておくことはとても大切なことなのだと思う。とくに小劇場演劇の場合は場所の制約が強い。東京で活動する劇団の場合、まず首都圏に住んでいなければ観に行くことが難しい。遠くから交通費をかけて観に来てくれる方もいるが、チケット代より高い交通費をかけてまで観にはいけない、という方が大多数だろう。グッズ販売を行っている劇団は多いけど、通販をやっている劇団はどれくらいあるだろう?劇場に足を運ばなければ買えないことが多いんじゃないだろうか。
もちろん気軽に「通販をやるべき」なんて言えない。通販の受付は思った以上に作業の負担が大きい。いつ入るか分からない注文のために在庫を持ち、注文が入ったらお客さんとやりとりをして、発送して・・・という作業を制作が引き受けるのは大変だ。今は個人でも通販が出来るように色々なサービスがあるから、負担になりすぎない形で、遠方にいるファンからの応援を受け取れるようなシステムにしていけたら素晴らしいと思う。
※まあ演劇の場合は「公演を見ずにファンになる」というのもあまり無いので遠方のファンは出来づらいと思う。でもこれからは、動画だったりSNSだったり別の創作の場で劇団や役者を知り、遠くて公演は観にいけないけど応援します!という方も増えてくるんじゃないかなと思っている。
応援したいという気持ちの受け皿を作る
自分にとって身近な話題なので小劇場の話になったが、これからの時代は個人で仕事をしたり創作活動をする人がもっと増えるんじゃないかと思う。個人で仕事を進めていくと、どうしようもなく手が回らないことがあったり、孤独を感じることがある。でも、しっかり仕事や創作を続けていればどこかに自分を応援してくれる人が現れるはずだと思う。そして自分が生み出すコンテンツに対して「ずっと続けて欲しい!もっと観たい。応援したい」と思ってくれる人が現れた時に、その応援をお金という形でスムーズに受け取れるよう準備しておくことは、傲慢なことでもなんでもないんじゃないだろうか。
おわりに
自分の創作や活動に自信がないと「いやまだまだ応援してもらえるような立場じゃないっす」みたいな態度をとってしまいがちだが、それは「応援したい!」と思ってくれたその人も下げてしまうような気がする。応援を素直に受け取って、また創作に進んでいける健全な精神を持っていたい。
こんな話題は、ちゃんと考えている人にとっては「何周遅れだよ!」と言いたくなるような内容だと思うが、自分にとっては新鮮な発見と驚きだった。誰かのファンになれる自分で良かった。
とりあえず鷲崎健さんとアンジュルムはとても素晴らしいので、ぜひyoutubeでMVを見てみて欲しい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?