閑話休題 公益通報受付窓口担当であったときに公益通報者保護法について学んだこと・考えたこと その2
消費者庁の「 ガイドライン (内部の職員等からの通報)」
消費者庁は、公益通報者保護法を所管する行政機関として、国の行政機関向けガイドラインと地方公共団体向けのガイドラインをそれぞれ出していて、このガイドラインには内部の職員等からの通報に関するガイドラインと外部の労働者等からの通報に関するガイドラインの2種類があります。
内部の職員からの通報に関して、通報対象の範囲について以下のような記載がされています。
国の行政機関向けガイドラインの内部の職員等からの通報に関するガイドライン4頁(6)通報対象の範囲より抜粋
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220127_0002.pdf)
各行政機関が設置した内部公益通報受付窓口において受け付ける通報は、以 下のとおりとする。
ア.当該行政機関(当該行政機関の事業に従事する場合における職員等(法 第2条第1項に定める「代理人その他の者」を含み、退職者は除く。))に ついての法令違反行為(当該法令違反行為が生ずるおそれを含む。)
イ.ア.のほか適正な業務の推進のために各行政機関において定める事実
地方公共団体向けガイドラインの内部の職員等からの通報に関するガイドライン5頁(6)通報対象の範囲より抜粋
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220407_0002.pdf)
各地方公共団体が設置した内部公益通報受付窓口では、以下の通報を受け付 ける。
ア.当該地方公共団体(当該地方公共団体の事業に従事する場合における職 員等(法第2条第1項に定める「代理人その他の者」を含み、退職者は除 く。))についての法令違反行為(当該法令違反行為が生ずるおそれを含む。)
イ.ア.のほか適正な業務の推進のために各地方公共団体において定める事 実
公務員は、公益通報者保護法の「労働者」に含まれることから、国の行政機関の場合も各地方公共団体の場合も、内部の職員が3条1号の内部通報をした場合の対応が必要になり、この場合、消費者庁が示したガイドラインを踏まえた対応が求められることになります。
そして、国の行政機関や各地方公共団体の場合、公益通報者保護法所定の通報対象事実よりも広い範囲で通報を受け付けることになっており、通報の範囲か否かというところについては、「適正な業務の推進のため」に有益であれば範囲内という判断になってしかるべき、といえそうです。
公務員と公益通報者保護法及び内部通報制度
公務員の場合、公益通報者保護法9条で、公益通報をし たことを理由とする公務員に対する不利益な取扱いの禁止については、法第3条から第5条までの 規定にかかわらず、国家公務員法等の定めるところによる旨が規程されています。
そして、公務員が自己の属する行政機関や地方公共団体に対して公益通報する場合には、公益通報者保護法3条1号の通報になるので、「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合」であれば、公益通報者保護法3条1号の公益通報をしたということになります。
また、上記のとおり、国の行政機関や地方公共団体の場合、消費者庁の定めたガイドラインとの関係で、公益通報者保護法別表及び公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令に定める法律違反となる事項以外にも、「適正な業務の推進のため」に各行政機関や地方公共団体が定めた事項であれば公益通報できるようになっていますから、通報において「何法違反」ということがわからないとしても、各行政機関や地方公共団体が定めた事項に該当すれば、通報として取り扱う必要があるということになるわけです。
通報として取り扱うという以上は、不利益な取扱いがなされないように防止する措置を取らなければなりませんし、通報に係る調査を行う場合には、通報の秘密を保持する必要があります。
国の行政機関や地方公共団体においては、内部の職員からの通報に対してルールを定めているはずですから、受付担当窓口や調査担当部署などにおいては、公益通報者保護法だけでなく、定めたルールを確認して遵守するように動く必要がある、ということを肝に銘じていただかなければならないと思います。