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5. リチャードという漢

リチャードという漢

「Takuroさん、クラブ行きましょうクラブ。アフリカのー女の子、かわいいね。お尻もおっぱいも大きいね〜ふ〜。お酒お酒、たくさん飲んでお持ち帰りしましょ。アハハハハハハハハ、、、」

空港を出てからほとんど舗装されていない道に揺られること数十分。僕は延々続くリチャードの話を聞いては、yes yes とだけ受け答える作業を繰り返していた。
しかしこの男、よく話す。いや。よくを通り越して、めちゃくちゃ話す。アフリカ人の特性なのだろうか?大学時代の頃ナイジェリア人とケニア人の友人がいたが、彼ら二人も本当によく話しては踊ってお酒を飲み、そして最終的には女性の話をしては盛り上がるということを延々繰り返していた。リチャードもまた然りである。
ただ、そんな話の中からでも幾つか彼の情報を入手できたため少しばかり整理しておきたい。

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情報
名前:リチャード
性別:男性
年齢:34歳(ただし本当かは不明)
職業:山岳ガイド
宗教:無宗教
趣味:自分の家造り
特技:タップダンス、ナンパ
特徴:ギロのような音がする濁声

さて。そんなかんやしている間に、我々一同はモシの町に到着した。そして、キリマンジャロに登る日程の確認や当日の流れなどを確認、また個人的にセレンゲティ国立公園へのツアーガイドを申し込んでいたためその確認を終えると、リチャードから昼食に誘われた。

正直僕は全くといっていいくらい気乗りはしていなかった。なぜなら、以前ナイジェリア人がごちそうしてくれたアフリカの国民食である「ウガリ」という食べ物が、失礼ではあるが単刀直入に言えば、強烈にまずかったのだ。だからこそ、それ以外の食事にも淡い希望を見出そうという考えに至らなかったのだ。ただリチャードは、これからキリマンジャロ以外でもお世話になるであろう大事なパートナーである。外国に来たとき、まずは食事を通じてコミュニケーションを深めるのは基本的なことだ。ということで僕は相手に察せられないよう笑顔でOKサインを出し、リチャードがおすすめする屋台へ食事を取りに行くのであった。

昼食を食べに行こう

「このチキン、うまし!!!」
僕がむさぼり食う姿をみて、リチャードは大はしゃぎをしていた。
「タクロさーん、オイシいネ!Good Good」
よほど嬉しかったのか。リチャードは調子にのり、次々注文しだした。ビールもそんなに飲むつもりではなかったのだが、結局1人5本も飲む羽目になってしまった。
しかしこの料理。ただ焼いているだけなのだが、めちゃくちゃに美味しい。特に、付け合せでくる玉ねぎとトマトのサルサと合わせて食べると、ビール3リットルは飲める。

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あと、チキンの次にきたシチュー。中の具材が何かははっきり理解はしていないため、とにかく見た目は怪しい料理で食べるのをかなり憚られた料理であったが、一度口にすると日本に直輸入したくなるほどの美味しさであった。まさにこれがリテラリー絶品である。

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これで明日からのサファリツアーに気分良く望めると希望を1人抱いていると、チキンの1.5倍はあろうかと思われる謎の黒い物体が運ばれてきた。
「タクロさーん、コレコレ。コレガオイシいんですよ!!ワタシ、これめちゃスキね〜〜〜」
酔っ払ってるのもあるが、その料理が運ばれてきて明らかにテンションが上ったリチャードは、猛烈にその得ないのしれない物体に噛み付いては、うまいうまいと1人喜んでいた。僕は彼がうまいと言っているものが何なのか聞いてみると、
「ガゼルよガゼール。たべたことナイんですか??」
ガ・ゼ・ル、、、!?ガゼルって、あのガゼル?そう。アフリカではガゼルは一般的にたべられる食材で、よく食卓に並ぶらしい。僕らの感覚でいう、豚肉みたいなものだろう。
「タクロさーん、タベてください、タベてくださーい。」
あきらかに見た目が不味そうなため断りたいが、ここでこれまで築き上げてきた絆を捨てるわけにはいかん。そう奮起し、思い切ってガゼルを口の中にぶち込んだ。
その瞬間。肉独特の激しい獣臭と、焼けきってない毛からの謎の匂いが僕の口の中を覆った。そして数分後。僕はトイレの大便に向かって、体内にある物を激し勢いで出すことになったのであった、、、、。
リチャード、すまぬ。



次回 「いざ、キリマンジャロへ」


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