2016/07/24

ツイートをブログ化している。
喜んでくれた方がいたので続けていこうと思う。あまり無理に長く書かずに。

「先生のように体制に組まれ自分を殺した人間になりたくありません。個人個人の創造性を
大事にしたいです!」と担任に直接言うまさに中二病を絵に描いたような中二だった。

ただ中二の頃限定ではなく、この考え方で今日まで生きている。
この考え方のせいで損もしている。得は無いけど意義はある。

こんな理路整然とした言葉ではなかったがよく覚えている。
まぁ中二だった。全方位完全なる中二だった。

何もしていないクセに、自分には特別な力が宿っていると信じていた。

そして担任は中二(僕)の敵だった。担任には彼自身の人生観を守るために、
真逆の人生観を持つ中二(僕)を否定する必要があったのだと思う。

だが中二は中二の人生観を守るために、中二の敵とは戦わなくてはいけなかった。
あの時、しっかりと戦わないと僕は中二にすらなれなかった。

僕の中学校は二年生の九月になると「進路というものについて考えよう」という授業がある。

もちろん卒業後、すぐそこに迫った高校三年生のような進歩希望調査ではない。
しょせん将来などまだまだ先の話である中学二年生のヨタ話だ。

それでも小学生の頃とは違う。
「将来は今の自分の延長線上にある」とほんの少し先に進んだ進路希望調査だ。

水曜日の五時間目、総合学習の時間にそれは行われた。
教室内も主要五科目の雰囲気とは異なり、私語も多少なら許される、ラフでゆるい時間だ。

小さな用紙を担任が配っていた。
神経質そうな眼鏡をかけた男だ。
動物に例えるなら一度人間に痛い目に合わされた小型犬。そんな性格の男だった。

みんなが書いた職業は税理士や歯科衛生士やアパレルやらだった。

小学生の時に何人かいた宇宙飛行士やタレント、漫画家にプロ野球選手は
険しい旅路への一歩目すら踏み出せずに、どこかに消えてしまっていたようだった。

その中で僕は「ミュージシャン」と書いた。

教室内で最も成功確率の低い進路が書かれたその用紙は手汗でしめっていた。
中二とはいえ、迷うこともある。そして書くか迷ったが、書いた。書くことに意義もあると思った。

ギターを初めたのは一ヶ月前からだった。Fコード(ギター初心者最初のカベ)も弾けない。
初心者同然だった。

それでも僕はミュージシャンになろうとした。
他に生きる価値を見いだせなかった。

何のために自分が生まれてきたのかを早く証明したかった。そして光の速さで死にたかった。

僕は中学二年生特有の、あのダサさをまわりの五倍増しでまとっていたガキだった。
でもあのダサさは人生の中でも、結構かけがえのないものだったりしたんじゃないだろうか。

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