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辞めやすい会社を目指す!?

数年前に「お金も在庫」という言葉を聞きました。

手元にあるものは流さなければならない。次に送り出すという発想。ゼロからイチを作るゼロイチではなく、今あるイチをゼロにするイチゼロ発想です。

今回は、モノやお金だけではなく人財もイチゼロ!というお話です。

今いる人財を自分の会社に「貯めて」おいて、育成して儲けたい!と思っていると、結構な悪循環に陥ったことはありませんか?

「せっかく手塩にかけて育てあげたのに退職した! 」
「これまでかけた研修費やノミニケーションでの投資は何だったんだ!」
「そんなことが起こるから、最初から出来る人財を雇いたい!」
「でも出来る人は中小零細企業には来ない! ^_^; 」

そして今居る人に辞めてもらいたくないから、どんどん社員さんに気を使う。変な我慢が生じる。結局社員さんも居心地悪くなって、お互い悪い感情のまま離職する。。。 こんな場面、とってもよく見てきました。

しかし考えてみると、まず終身雇用はとっくに終わっている。今いらっしゃる社員さんがずっと定年まで勤めると思ってる人は少ないんじゃないでしょうか?

大企業でも副業を認めつつあり、若い世代は2つも3つも仕事を持っているのは当たり前になってきています。つまり、社員さんが移り変わるのは必然になってきているということですね。それもどんどん期間が短くなってきている。

ここで、相棒の米澤晋也がよく言う言葉が効きます。

「社員は会社のために働いているのではない。自分のために働いている。」

皆さんも自分のことを考えるとそうじゃないでしょうか? 「会社のために」学んで下さい、貢献して下さい、儲けて下さいって自分が言われたらイヤですよね。そのスタンスではどんどん社員さんは離れていってしまうことになるのはわかると思います。  

それなら、こう考えてみるとどうでしょう。

「会社を離れても、自分の財産と思える経験を提供できるか?」

え? そこまで社員さんに気を使わんとあかんの? お客さんじゃあるまいし!と思った人もいるかも知れません。 しかしこの人材難と言われる時代に人財が集まってくる会社を観察していると、どうやらそれを実行しているようなんです。

神戸のある会社の社長さんは、社員さん全員に頻繁に研修を受けてもらえる機会を作り、自らも学んでいます。当然、その会社の皆さんに会うと、素晴らしいなーと思う人たちばかりです。

「なぜそんなに熱心に研修されるのですか?」と社長に聞いて見ました。すると。。。

「昔、会社を辞めることにして、その後に研修があったんです。私はもう退職しますから行きませんと言ったんですが、当時の上司が、この研修はやめてからも絶対にお前に役に立つから行っておけ、と勧めてくれたんです。」

退職する社員にまで、お金をかけて学ばせてくれる。君の後の人生に役立つからだと言って。それは本当に社員さんの幸せを考えていないとできませんね。

これが現在の社長の教育に対する姿勢に大きな影響を与えているそうです。学びは後々にも個人の財産として残りますね。

恐らく社長は、前の会社にとっても感謝しているし、私に伝えたようにその会社のよい評判を話し続けると思います。

すると今その会社を必要とする新しい人財が集まり、会社には必要となる人財が来続けて、新陳代謝が起こっていく。 まるで会社の血液が流れるように、人財が流動していく。その人達も会社にいるうちにどんどん成長していく。 こんな好循環が生まれますね。

名古屋のエステティックサロンを経営する女性社長にもこういう話を聞きました。女性ばかりのとっても賑やかな会社でした。

「うちは辞めやすい会社・戻って来やすい会社を目指しています。」

まさに、人財を流動させていますね!

社員さんにいい機会を提供するけど、その活躍できる場を会社に縛らない。自社で活躍できればもちろん最高だけど、ちょっと今は別の経験をしたいとか、結婚や出産とか、個人のタイミングによっては離れる時もある。

だから、今の社員さんに別の良い場所があれば、喜んで送り出す。 そうすると、結構な社員さんは戻ってくると言いますし、務めやすいという評判も生んで新たな人財が集まりやすいと言うのです。

人財もやっぱり、今ある人を次に送る「イチゼロ」発想で行くと、好循環に変えられる可能性が大ということですね。

人材の悪循環に陥っている人は「社員さんを会社のためにとどまらせよう、ためよう、縛ろうとしていないか?」と一度考えてみるといいかもしれません。

「社員は会社のために働いているのではない。自分のために働いている。」

自分のために精一杯働いてもらって、会社もよくなるようにたくらみたいですね。


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