Outer Wilds プレイ日記
買って2年は積んでた宇宙ゲーを遊ぶ。RAFTとSUBNAUTICA無印はクリア出来たから多分大丈夫っしょ!多分!宇宙を自力で航行するのはほぼしたことないけど!
今回は趣向を変えて後からの振り返りじゃなくて日記形式にしてみる。
Outer Wilds:無辺の荒野で口笛を吹こう
はじまり~アトルロック
探査機のおもちゃ操作するチュートリアル遊びで早速10回ぐらい探査機を地面に叩きつけた。幸先悪い。
翻訳はされてるけど人物名がアルファベットのままなのでもう視認困難になってきた。頑張ってくれ自分の眼。一通り観測室の説明を読んだが、要するになんか三つ目のワァイみたいな名前の宇宙人が先にこの星系にいたらしいことぐらいしか分からないまま出発しようとして彫像と眼が合う。やだ…///
というか主人公も含めて全員魚人っぽいし眼四つあるの?え?こわ
行き先をよく聞いていなかったのでとりあえず発進。空洞の星に着陸するも日誌を読んでいないので当然目的地が分からないまま再離陸。
何とかの茨に進路を向けて着陸する前、あろうことかなぜか着陸態勢に入ったまま地図を開き始め、地図を開いている間に凄まじい衝撃を身に受けた。こいつ馬鹿?
しかしコックピットに異常が無かったので「生きてるの奇跡だな」と思っていたら操作が効かない。「あれ?探査機が操作を受け付けませんよ?」と思っていたらその実コックピットだけが惑星衝突の衝撃で吹き飛んで外宇宙まで勝手に吹き飛んでいる最中だった。慌てて脱出するも20km先の惑星に独力でたどり着ける訳もなく孤独死。宇宙史でも上位に残りそうな馬鹿な死に方をやめろ。
死んだ後に時間が巻き戻って目覚めの夜に戻る。巻き戻しの演出で今の一連の恥ずかしい流れが全て録画されてることが分かって悶絶。
Nomai人はあの彫像を使って知性体の記憶を逆さまに辿ることで擬似的にループ世界を作っている。今回の問題の本質は『なぜ』そうしなければならなかったのかである。日誌を辿ればその内真実にたどり着くタイプのゲームっぽいから気長にやる。
今度は大人しくアトルロックへ。炉辺の星とアトルロックが近すぎて離陸した瞬間にそのまま頭をぶつけないか毎度かなりヒヤヒヤする。
月にいたおじさんに最初の四人の宇宙飛行士を探すように言われた気がする。3人は散り散りになっていて残りの1人のキャプテンとおぼしき人物に至っては行方不明になったはずなのに炉辺からハーモニカを吹いているシグナルが永遠に聞こえる、つまり存在座標そのものが曖昧になっている旨を伝えられる。宇宙の時点で覚悟してたけどこれ怖い系のゲームだな?
雑に宇宙に向かってスコープを振り回すだけで誰かがどこかで楽器を奏でているのが聞こえる。どこに居ても聞こえるの?これ
月の展望台~南部観測所
『宇宙の眼』?を探しているNomai人たちがいたらしい。その足跡を辿ることにする。脆い空洞の南部観測所に降りるが入口が壊れているのでハズレ。赤道上からブラックホールを真下に見据えながらの地下探索をしなければならないらしい。ギエ~。
案の定途中でスラスター操作をミスってブラックホールに落下。おいおい死んだわ。やっぱり死んでないわ。ブラックホールは離れた位置にあるホワイトホールと繋がっているらしく、ワープ施設の小惑星から脆い空洞にワープさせてもらえた。まあ着陸したの南極で出てきたところは北極なんだけど……。
北極近くの遺跡を読んでいる最中に突然視界が青白く染まって突然の死。見たところ太陽に何らかの衝撃が加わった直後に白色矮星となったので自分が太陽系ごと吹き飛んだらしい。『侵入者』と名付けられてる船の破片らしきものがかなり危ない軌道で周回していたので十中八九犯人はアイツだろう。
まあ何らかのタイムリミットとループの流れがあることはSteamの事前情報で知っていたが、この太陽系には刻限が存在してそれまでに何かを為さなければならないらしい。……ということは一部のNomai人も今もどこかでこの時間の輪に囚えられているのだろうか?
『量子の月』とかいう一見意味不明なワードの方が気になる。確かに観測所に見え方がきもい三つの石が展示されていたが……。
数回ブラックホールで遊ばされた後にRiebeckと会う。空中都市に行くと良いよ!と言われたけど脆い空洞の地理が分からなさすぎて途方に暮れていたら太陽が爆発した。
重力水晶を使って作られた北への道を辿ろうとしたところ途中で道が切れていた。ジャンプすると当然ブラックホールに捕まり、途中で硬い施設の壁に叩きつけられて死んだ。ええ……。
もう慣れた動きで脆い空洞に向かおうとしたら自動操縦が炉辺の星に船体を正面衝突させた。このゲームの自動操縦進路上の物体を何も加味しないのでヤバいことになるんですけど。そう言ってるとまた自動操縦が炉辺の星に進路を被せた上に勢い余って太陽にドボンさせてきた。しばき回すぞ。
寝起きにマシュマロ焼いてるおじさんに文句言いに行ったらちゃんと太陽に軌道が被さるような自動操縦はダメだよと言われた。そうだね。
脆い空洞だけで7回ぐらいブラックホールの事象の地平線上でスイングバイの練習をして頭を強く打った後、ようやく次の目的地が巨人の大海であることを突き止める。この惑星だけゲーム性おかしくない?スラスター制動を求められる回数に対してホワイトホールから復帰するのに毎ループ面倒な手順踏まされるの結構腹立たないか?なあ?Riebeck?
Gabbroの島~軌道探査砲
巨人の大海に着陸……というか着水。木星のような星っぽいらしく、厚い雲の中身を見れないのでそろそろとした動きで突入。
……。
台風が荒れ狂っているというのは島が丸ごと熱圏ぐらいまで高い高いされるという意味ではないと思うんですけど!?!?!?!?
台風が強すぎて惑星に出入りする度に島の配置が変わってるのもう宇宙開拓とか冒険野郎の基準でも狂った世界じゃん!!!!バーカ!!!!
Nomai人はちゃんと適応して台風用の避難ケージを各所に用意していて偉い。嘘。Nomaiのガキがこの天気の荒れ方の星で"もっと危険なルート"で彫像工房に入ろうとしている記録を読んだ。バカの民族。
ある島の浜でGabbroを発見する。この宇宙飛行士たち揃いも揃ってなんでくつろぎとは無縁の場所にばかりいるんだろう。彼は彫像を発見して自らもループの中にいることを自覚したらしい。
大海のコアに入るには反時計回りの竜巻に突っ込めば良いことは分かっているので突っ込んでみる。絶対深海の圧力で死ぬだろ。
……突然電力がダウンして本当に船の機能死んだーー!!!!
なんかしばらく音しないなと思ったら20km彼方の宇宙にコックピットだけで放り出されているーーーーッ!!!!!!!!
「クラフトワークのスタンド能力って相手を宇宙の座標に固定したら勝確じゃね?」を本当にやられた気分だ。『宇宙船はコックピット以外には耐久値が設定されていて、一瞬で圧壊すると着陸装置を失ったコックピットだけが"その位置"に星から置き去りにされる』が正しいルールなのかな?
オープンワールド系に対して「視界がヤバすぎてまともに人間の視界をアテに出来ない環境とか好きだな~」とぬるいこと思っていたことあったけど、普通に台風がちゃんと死人が出るタイプの被害の出し方してくるし海の中には意味わからないデカさのクラゲいたし電界に突っ込むと一瞬で動力破断して死ぬしでもうなんか全部嫌。惑星全部が遊園地にある上に上げられて一気に落とされるタイプの絶叫マシーンなの、ここ。
結局彫像工房には潜り込めたし衛星軌道上のシャトル跡から巨人の大海の電界の下に探査船追跡ルームが沈んでいるのも分かった。「取り出された記憶は灰の双子星の中に収蔵されている」というのでプロジェクションを見てみると確かに3つ起動している。
…………3つ?自分とGabbroと……誰?
Nomai人の記憶保存装置が現行人類でも作動するのは謎。「宇宙の眼の信号は宇宙の年齢より古い」とかすごいこと言われちゃったのも合わせると「Nomai人がいた時間と現在の時間は実は宇宙一巡分離れている」と言われても不思議ではない状況。次元と光の速度さえ超える『量子』と宇宙のどこででも確かな繋がりの証となる『音楽』、絶対絡んでると思うんだよね。
ここまでの情報を一揃えしてみても「電界の下に無事に潜る方法」と「量子の月へ正しくロケットを飛ばす方法」と「空中都市4Fへの行き方」から突破口が見いだせなくなったので一旦休み。
双子星と茨の星と"侵入者"以外の既存の星は大体一通りさらえたが……やっぱり行かないともう手がかりないか……。
Chertのキャンプ~Nomaiの墓場
双子星に行く。太陽に近くてランディングの難易度がそもそも高いのでやっぱり操作にこなれた頃に来る場所なんだな。結構核心に近づけるような情報がザクザク取れる。
「量子の月には6つ目の滞在場所が存在する」と「量子は観測を完全に辞めた状態になると引き込まれる」が重要情報。そういえば量子の石に乗って自分が量子テレポートしてみようとか全然思いつかなかった。宇宙すごい。
湖底の洞窟を探査し終えて焦げる星に急ぐ必要もなくなったので、次の周回から炉辺の気になってた部分をちょこっと探査。「灰の双子星の内殻は完全な密閉状態に無くてはならない」らしい。なるほど。量子状態にして太陽の死から記憶の焼失を免れているのだろうか。そして量子状態の空間から一定のシグナルのような形式で記憶を生きている時間の人間にアップロードすれば人間→彫像→量子保存→人間でループの完成、というわけなのかな。
ん?この理論で行くと量子空間には時間の縦軸が存在していないか、別個の時間の流れの中にある?
「目が四つの生き物を見つけたよ!」と無邪気に描かれた壁画。ああ、つまり、これはもう……。
砂の双子星からのテレポートでようやく脆い空洞の鍛冶場にワープ出来たがはめるプロジェクションパネルが見つからないし持ってない。無念。
この後何ループかあちこち旅行するが収穫なし。
闇のイバラ行くの何となく嫌だな~と思っていたが、消去法でとうとう行かざるを得なくなった。事前にイバラの中身は湾曲空間になっていることは知っていたのでまだ良かったが……
何かいきなり食われたんですけど。いや敵性宇宙怪獣いましたよね今。
嫌だ~~~~ッ!!!!
楽器のシグナルを追ってフラクタルめいた茨の中を進んでいたらFeldsparを発見。身元が分からないのにシグナルだけが聞こえるというヤバい前振りからの四次元空間の中で呑気にやってる落差。宇宙って楽しいのかな……そうかな……。会話してる最中も宇宙殺人アンコウの恐怖に狂いそうなんだけど……。
流れで『凍ったクラゲ』に案内されて電界の越え方を知る。このクラゲって中に入るものなんだ。最初にこんな方法取ろうとしたバケモンは誰だ。Feldsparだった。
せっかくイバラ探索回だし遭難シグナルの残りの一つも見つけるか。アンコウを引っ掛けたりするスイングの動きを覚えれば何とかなったので、脱出ポッド1とともにNomaiの墓場を発見。こんな茨の中で呼吸を失って死を迎えるの嫌だろうなぁ……。この宇宙は嫌に満ちている。
あ、あの赤い光ってアンコウじゃなくてNomai船の光だったのか。じゃあ辿るとしますか。
……。
……。(向こうを指差す)
(バツ印のジェスチャー)(身振り手振り)
ヤダーーーーーーッ!!
なんかちいかわの嫌さを100倍ぐらいデカくした世界になってないですかこの惑星????何????
もう終わりだぁ。逃亡。
探査機追跡モジュール~第6の場所
グダグダしながらコアに到達。探査機追跡モジュールにたどり着く。
軌道砲で一発しか撃てない探査機のデータが9,318,054個見つかった。つまりこの宇宙は9,318,054巡目。思ったより壮大に繰り返している……。そのデータは全て灰の双子星の方に蓄積され、『特異点』の座標を既に割り出している。これをもってとうとう大きな行程表の一つが全て埋まり、真相はもうほど近い。
「宇宙の眼は見つけてもらいたくないのかも」という軽口と3人目のループ知覚者の存在。そして930万回滅びている太陽系。最後の1人の正体が何者かは未だ掴めないままだが、この繰り返しを終わりにしたいと願っている……ような気がする。
ついでに月の欠片の最後の一つを探して大海の北極台風の中に浮上。試練と称してゼル伝みたいな謎解きが始まった。既に湖底の洞窟で量子の性質を学んでいたので割とサクサク。本当にあとは脆い空洞で量子の塔と工房の調査を終えるだけ。
残ってる大きな線が『船』と『量子の月』で、どちらも突破口は闇の中。いや光の中。アンコウは…かわす方法あるんですか?
もうやるしかない。
攻略をちょこっと解禁してアンコウのかわし方ガイドを見る。アンコウって音で獲物を襲う情報ってどこかにあったのか?思いっきり目ついてるように見えるのだが。
何トライか目で「船」に到達した。電界突破もそうだが、「手に余る脅威を目の前にしてただ静かにしなければならない時間」というものは運動するよりよほど恐ろしく体力を奪う。心臓がドキドキするたびに生涯の寿命を削っているようなものだぜ!しかし潜航に時間をかけすぎたせいでワープ装置とおぼしき何かを作動させる前に時間切れ。カス!
ワープコアはめて例の探査機が示した例の三文字を入力すればもう限りなく核心に近い場所にたどり着くんだろうなという予感がするのであえて放置。
これ以上量子の月を放置するのは不味そうなので攻略する。
まず侵入方法。重力シャトルは……はっきり言って使い物にならないので自前の探査機で突っ込むしかないかも。探査船の前面にカメラを貼り付けて秒速100m/sで量子の月に突入する!!……思ったより地表が近かったせいで船が馬鹿ほど損傷したが上手く行ってしまった。あんな投射呪法みたいな速度任せの撮影連射ゴリ押しで良いのかよ。
南極付近に謎の死体と塔。宇宙服を着込んでいる。
塔はどうやら件の量子の祭壇らしい。「これまでのことを思い出せ」と書いていたので実践。「量子物体及びそれに触れているものは観測情報を失うと状態が不安定になる」という性質を使ったちょっとしたパズル。真っ暗にすることで月を移動させるとともに、どこに隣接している時の月かによって月そのものの表面情報を書き換えられるようだ。なんか本当にこういう異能の解体をしていると呪術(漫画)めいてきた。
「巨人の大海の月」であることにすると極小サイズの巨人の大海が再現されるので、歩いて北極近くまで移動可能。そしてその中で再び「灰の双子星の月」に状態を変え、北極直上にたどり着いたら中に入って「宇宙の眼の月」であることにする……わお、ダマスカスや黒曜石のような黒染の世界。
「宇宙の眼」の座標から塔を出てなんとなく南極へ向かうと、なんと生きているSolanumと出会う。直接喋れない代わりにめちゃ親切な人だ。というか、これまで南極で死んでいるNomai宇宙飛行士の死体は量子化されたSolanumだったのか。周りの状況が変わらない限り南極に着いたところでSolanumは死ぬが、宇宙の眼に着陸できたという可能性においてはそうではない、と。
得られた情報はこれまでの情報の再確認っぽい。NomaiもHarthianも「宇宙の眼」にどうにかして有人状態でたどり着くことが最終目的であるとはっきりと示された。
なるほど灰の双子星は初めからNomaiのプロジェクトのためにに建造されたんだな。中には重要機密情報が密閉されているし、その上に大量の砂を乗せて二重に密閉した上で北極と南極が開けられているデザインだから量子の月の祭壇作りにもちょうどいい。
それにしてもSolanumさんのシャトルはちゃんときれいに着地していたけど。、あのシャトルはっきり言って使い心地最悪で宇宙の藻屑生産装置になってたからNomaiの人たちはもっと小回り効く方法考えた方が良いですよ……。船内に操作方法の案内とかないし……。
残る謎は侵入者の内部の謎と双子星周りのプロジェクトとその施設の謎と例の特異点だけになった。もうちょっと。
太陽ステーション~死亡しました
太陽ステーションあたりからもう何もわからないので攻略を解禁して見まくる。あ、一応ゴリ押しランディング野郎がいることは想定済みなんだ。
ドアをパージしたら真っ直ぐ前に飛べばいいのに上に跳ぼうとして太陽に捕まること二度。うーんアホ。
「灰の双子星プロジェクトには超新星爆発のエネルギーが必要だったので太陽をわざと爆破しようとしました!」
嘘だろこいつら。しかも上手く行ってないし。太陽系レベルのトロール行為とか勘弁してくれ。太陽爆発22分前に仕掛けられた軌道砲タイマーがループの元凶だったことがさらっと判明する。なんだこいつら!!そのせいで俺は壮大な宇宙脱出ゲーム状態に陥っているんだぞ!!!!カス!!!!
気を取り直して、まだ時間があるので今度は双子星の方の中身覗いちゃおう。
灰の星の方のワープ装置使ったらあっさり中に入れた。中心に収められている灰の双子星プロジェクトのエネルギー源らしいワープコアを抜くとプロジェクトの動力源が無くなってこれらすべて止まるらしい。え?この記憶複写も止まるの?
……。
……スッ……。
>> 死亡しました <<
やったー!ループからの解脱だー!
そんな訳無いだろうがーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!
船の中にあった空のワープコアと合わせると状況証拠はあの特異点の座標へのワープへと揃い、とうとうすべての終わりへの道の手がかりは揃いつつある。だがしかし、いや、22分の時間制限の中で双子星の中からワープコアを持ち去って船の中に持って入ることは物理的に可能なのか……?
ブラックホールの工房とか彗星の中とか調べてないから、あとそれだけ調べてからラストアタックと行くか。
太陽なき街~侵入者
残る数少ない謎、太陽なき街とブラックホールの鍛冶場と侵入者を制覇する。
太陽なき街の入り方ずっと分からなかったけど、なんか重力砲横の崖に穴が空いているのでそこから行くのが早いらしい。うそやん。
広い街を探索してたら床が砂で埋まって研究所に行けなくなったのでリトライ。アンコウの化石と高エネルギー研究所を調べると「アンコウには視力がない」とか「ブラックホールとホワイトホール間の物質の出入りは全く同時ではなく、"わずかにホワイトホールから出てくることが先になっている"」という情報が収穫できた。
この時間の逆しまの誤差を意図的に利用できれば……。というのがNomai人たちのプランだったらしい。
ブラックホールとホワイトホールの極小モデルで実験できる場所があった。もしもの話だが……ブラックホールに入るより先にホワイトホールから出てくる時間の矛盾があるというなら、その誤差の最中に片方が消滅したらどうなるんだろう?
空中都市に北極から入るルートがあるらしいのでそこも潜航。うわ。本当にあっさり入った。しかもここでも船の捜索と合わせてアンコウに関するヒントが思いっきり記載されている。自分はどうやらアンコウに最悪の出会い方をした部類の旅人らしい。泣ける。
侵入者に侵入する。途中でうっかりジャンプして宇宙で彗星と離れ離れになる。バカ。
今まで数度ランディングしたが収穫がなかったのは「侵入者の表面の氷は太陽から離れると再生する」という性質が抜け落ちていたが故の失敗だったらしい。それを踏まえて今度こそ突入。
幽霊物質を避ける迷路を進むと彗星の中核部分に至る。ログを要約すると「この彗星の中には密度と中身がヤバい鉱石がたくさんあってこれがもし太陽にぶつかると太陽系ヤバい」という事実が判明。なるほどなぁ。そして傍にあった死体はこれまでのログでおしゃべりしていたPyeとPokeであることが何となく察せられる。死体に一々名前なんてついていないゲームだが、それでもこの二人の死を観てしまうのはちょっと傷つく。
航海日誌が全て埋まった。あれ?でも実績が埋まってない。でも後はただ一人の探求者として為すべきことを為すだけだ。
灰の双子星の中央からワープコアを抜き取り、イバラの中の船のワープコアと差し替え、再起動させ、探査モジュールで得た暗号を入力して特異点『宇宙の眼』へと至る。太陽が爆発するまでの22分間で。
因果律脱出RTAが幕を開ける。
「次に何が起ころうと、恐ろしいものではないと思う」
やることはいつも通り。灰の双子星からコアを抜く。あらかじめ船の座標を入力しておいたマップを使って闇のイバラへ直行する。船で入力する。跳ぶ。そうすればそこはもう特異点、宇宙の眼。黒いダマスカスで出来た宇宙の極点。
量子の月と同じように南極に歩いて……空に落ちて……
……観測所にいた。でも外には何一つ世界が存在しない暗黒だけがある。観測所を調べるとテキストが違っている。真相はこうだ。38万年前、Nomai人は侵入者の中に存在し宇宙に霧散した『幽霊物質』によって一瞬にして全てを殺された。量子の月にいたSolanumただ一人を除いて。Harthianはその後に陸上へと進出し、Nomai人が事前に定めていた太陽爆発の22分前の刻限へと至る。
太陽系のモデルがあった場所に白い光帯があって……いや……これは……銀河系……全体マップが銀河系から遠ざかって……輝く銀河団に……いや……これは銀河団じゃない……森だ!!
マップ全体を俯瞰していはずの自分が、今、宇宙を内包した森の中に立っている!!いや、これは……量子の中に入った自分の観測そのものが空間を定義し始めているのか!!
森の中に浮かんでいる極小の銀河モデルが、青白く光っては消えていく。あらゆる銀河が目の前で寿命を迎えてほどけていく。そのうち銀河は全ては消えて全ては暗闇に包まれて。
暗闇の中に樹の形の量子…量子の樹が一本立っている。登ってみるしかない。でも広がっているのは暗闇でしかなくて。闇。漆黒。暗黒の空間。どこに行けば良いんだ。もう視ることのできる宇宙は存在していない。
『近くに未確認信号』
――聞くべき音は存在している。今確かに、そこに『何か』が響いている。
そうだ!宇宙のどこにでも響いていた楽器のシグナルは、きちんとこの宇宙の眼にまで届いているというのか!
いつの間にか目の前に映っていた人らしきものは量子もつれによって焚き火に変わっている。火をつけて、周りを見てみよう。そしたらいつの間にか椅子が置いてあって……次に眼が合った瞬間にはアトルロックの家でゆらゆらしていたはずのEskerがいた。
歌いたい?そうだ。なら火を囲んで歌おう。宇宙でシグナルを奏でていたあの人達を探そう。シグナルはすぐ傍にあるから。Feldspar。Gabbro。Riebeck。Chert。そして…Solanumもいるんだ。言葉で直接話すのは初めてかも。なんだ、Nomai人ってそのシンセ?ピアノいけるクチなんだ。
じゃあ皆で合わせてさ、宇宙のどこでもない時間と場所で合奏しよう。
宇宙の眼、量子の暗黒から、遍く空と人に届くように。
そうしているとなぜか焚き火の上に宇宙の卵が出来ていた。……なんで?まあいいか。
Solanumの言葉を信じると、この宇宙の卵と勝手に呼んでいる煙の塊を割ると「無数の可能性」とやらが消えるという。よく理屈がわからないが、宇宙の眼の中に自分がいるということで自分の行動が量子の揺らぎの可能性を決定しうるということなのだろうか。
まあとりあえず、中に入るか。仮面の観測のループから逃れた、新たな宇宙の形をここに。そして焚き火の空間は引き伸ばされ、皆との距離は急激に拡張され、画面は白く輝き…………宇宙が生まれた。
新世紀、Outer Wilds。
そして143億年後。
エンディングの一枚絵には今までと似てるけど違う太陽系の姿がある。そしてそこにいる全く新しい宇宙の住民は……カマキリだった。
――カマキリなんだ!?
Echoes of the Eye:眼と眼を合わせて響き合おう
流れ者~焼けたスライドリール
DLC要素を失念していた。この見たことがない電波塔みたいな写真がそうなのかな。深宇宙の衛星から40°傾いた角度で太陽を眺めていると存在しないはずの星が映るという案件だった。
うーん、これは……心霊写真!
巨人の大海を左下に捉えてちょっと待っていると、本当に無から湧いた日食としか思えない現象が起きた。GOGOGO!してみたのは良いのだが、初っ端の発着スペースと思しき場所の出迎えから既にかなり暗い。光景が、というよりも空気そのものが、だ。
回転ドアで苦戦。光の明滅を使って解かないといけないギミックか。いざ内部に入ってみると住民たちの故郷を再現した牧歌的な宇宙ステーションという感じがする。ドアの開け方やスライドリールの読み方をみるに今回は光を使った謎解きなのだろうか。
部屋の中がいやに暗いし、壁にかけられた肖像画は悍ましいほどに何か嫌な目線をこちらに寄越してくる。一部のドアの開け方もシンボルを日食の形にしないと開かないような仕組みになっていて、そして何より流れ者ステーションそのものが太陽の側に立っている限り視えることがない光学的に完全な迷彩で覆われていた。光……?誰だがわからないが、ここの住民たちは何故か様々な形で太陽光を忌避している。それはなぜ?
一個目のリールを視聴。具体的な言語で何一つ説明されない無声映画のような形式なので想像するしかないのだが、流れ者にいるはずの住民は別の星系から宇宙の眼のことを知ってやってきたらしい。
ちょっと流れに乗った先の一室で二個目のリールを視聴。宇宙の眼を独自の技術でスキャンした彼らは宇宙そのもの寿命、宇宙の眼の影響で自分たちが死ぬことを知り、そして……発狂した。自ら建てたはずの宇宙の眼の祭殿に自ら火を放ち、(その後はリールが焼き切れて完全な謎に包まれているが)最後に流れ者は太陽を覆い隠す(どこから?)形の位置に置かれたという部分だけは残っていた。
うわあ……。この(仮称)鹿星人たちは、宇宙ステーションの中で放火に走るという一歩間違えれば自殺に近い行為を行うほど怒り狂っている。それは宇宙の眼が期待したようなモノでは無かったから?自分たちが敬愛した太陽が不完全なものだったから?一巡した後の宇宙には自分たちが残らないことを知ったから?
……。
実のところ、ここまでボケーっとした顔をしながら30時間ぐらい遊んでいたが、今になってようやく物語に対して真面目な顔をする気になった。
宇宙だって歳を取る。寿命を迎えるのはただの自然現象で、それに対して何も言うべき文句なんてないはずだ。何を思って宇宙の眼に憎しみを向けたのかは知らないけれど、『自分たちを育んだ宇宙が永遠じゃない』なんて当たり前に対して、勝手に裏切られたと感じるのはみっともないない!
恐怖表現だか何だか知らないが、こいつらには宇宙を駆けた一員として何か一言ぶつけてやらないと気が済まない予感がする。このステーションと住民たちが太陽系に焼き付いた心霊写真の怪談だというなら、幽霊の胸ぐらだって掴んでみせる。
島の塔~覆われた森林地帯
燃え殻諸島の地下から塔を登ったら隠れたスライドリール発見。ランタン置いてある教会にそのまま鹿星人の眠る部屋が隠されているらしい。生きていたらどうしようかと思いながら突っ込んだが全員骨だった。
こいつらが持っている緑のカンテラが次なるキーアイテムなのだろうか。ちょうど同じ形の遺物が転がってる場所はあったし火を採るのに良さそうな緑色の焚き火がある。
……何も起きねェ!
ランタンに火を灯すコマンドがないなら……あっ目を閉じるんだ、リールの中で鹿人がやってたように。そうして、目を開けるとそこは満天の星空の下だった。まさか夢の中の世界に入っているのか?これ。焚き火が『集まる場所』であることと『視界を閉じると量子状態に入る』の2つの技の応用なんだなこれは。
夢の中の世界はきれいだ。ここは彼らの故郷の大地を映した世界か。見上げると巨大な土星のような惑星が浮いている。鹿人にとっての故郷の星が映る海。とりあえずイカダで川を下っていると流れ者の中と同じような構造の建物群と出会い続ける。あ~……彼らは流れ者のステーション内に、自らの故郷を再現しているのだろうか……。
夢の中(仮称)をさまよっていると同じ色のランタンが動いているのが見えた。あいつら、夢の中では生きているのか!……というより、宇宙の眼の観測結果を受けて『精神の世界の中で生きること』を決定したのか?
音楽の鳴り続けている家への行き方がわからないよ~と言いながら適当な家のドアの前で立ち往生していると、いつの間にか眼の前にヤツがいた。あ、ヤバ、ランタンの索敵をつい怠って、
避け、否、掴ま、口を開けて、喰、死――――
フーッ
……え。
現実に戻されていた。向こうではランタンの灯りを失って目を閉じると強制退出になるのがルールなのだろうか。
……でも、それ以上に。なんだかさっきまでの自分が無性に小っ恥ずかしくなっている方に思考が割かれている。
そもそも、腕を掴まれて口を開けられたら喰われるとか酷い想像だ。彼らだって宇宙に生まれた文明のヒューマノイドなのに。それをリールを見ただけで一方的な怒りを抱いて突っかかろうとして、いざ近付いてみたら余所者をすぐ惨たらしく殺すだろうと思う、なんて、自らが一番醜悪な偏見で世界を見ていたんじゃないか?
そうして結局紳士的につまみ出された自分が余計に酷く恥ずかしくなって、焚き火の前でしゅんとして。握ってきた手の握力を思い出すとなぜか少し……温かい気がした。夢の世界の人の手に体温があったかの記録なんて、採れてるわけもないのに。
……改めよう。理解しよう。まだ彼らの『なぜ』は隠されている。
・このコロニーは太陽の膨張に合わせて自動で何処かへ退避する機能があらかじめ付いている。実際に超新星爆発の瞬間をコロニー内から見たわけじゃないので、どういう原理で退避しているのかは不明。多分普通に離れている。
・夢の世界(仮称)と現実の世界は遺物のランタンと緑の炎がある場所で量子状態に入れば往来できる。
・この時、基底現実でランタンに炎さえ灯っていれば、肉体の生死は問われない。多分自分が緑の焚き火に飛び込んで死ぬ形でも一方通行で行くことができる。
・疑問。量子観測を用いた技法なら、個々の鹿人たちは目を閉じて開くとそれぞれバラバラの世界に飛ばされてもおかしくないはず。夢の世界にアンカーとなるものが存在するのか、それとも緑の炎があの場所に導くという性質を持っているのか。
・書き出すと彼らが太陽光を嫌う理由が分かってくる。緑炎を用いて彼らだけの世界の帳を下ろすためには、確かに昼の自然光は避けられるべきものである。
果てなき渓谷~星明りの入り江
なるほど、現実世界で焼却処分されたリールは夢の中に保管されているのか。現実で焼かれていた場所が完全な状態で視聴可能なようである。三つの記録保管庫に突入する。この部分の日記はスライドリールの都合上、実際の攻略順と記述は前後する。
覆われた森林地帯の地下へGO。暖炉の前を完全に固められていたが、そもそも現実で勝手に水没する部屋に対応している場所なのだから水没第一段階以降にお邪魔する。
リールの内容は模擬現実内はロード用の洞窟の暗闇とそれを使ったグリッヂ発生事案、それと補完された歴史の一冊目。
◆
流れ者の1つ目の歴史。そして彼らの犯した原初の大罪。
スコープで宇宙の眼の存在を知った彼らは故郷の星の全ての自然を"材料"にしてしコロニーを作り、不毛の大地となった故郷を去った。宇宙の眼に会いに行く、たったそれだけのために。
◆
――――――。
ちょっと、言葉が出てこない。
誰にでもあるはずの宇宙に向いた無邪気な冒険心が、故郷を二度と取り戻せない残骸へと変える。それでも、だとしても、宇宙の眼に、『真理』に報われたなら、その犠牲には意味があるかもしれない。だがしかし、それは……。
……。
星明りの入り江の地下は難関だった。まさかここまで満遍なく警護がいるとは。どうにかこうにか潜り込んだ地下でリールを拝見。拝見と軽く言っても3回ぐらいはむにゃむにゃしたけど。
ランタンに採火する条件は脳の活動の休眠、ないし停止であるということ。肉体や脳が活発な状態ではこの機構は正しく動作しないという仮説は合っていた。そしてもう一つはこの模擬現実の警報機は現実の警鐘とリンクしているが、『死んだ人間は起こすことができない』ということ。脳が死んでいるのだからどんな音波刺激でも起きることができないのは当たり前か。
◆
流れ者の2つ目の歴史。そして彼らが犯した背信の大罪。
夢を追いかけた彼らに眼が示した返答は「宇宙と生命の逃げられる訳もない死」だった。残酷な真理の前に絶望し、恐怖に屈した彼らは……宇宙の眼を遮音フィールドで封印し、世界から目を背ける道を選んでしまった。
◆
ああ。やはり彼らは宇宙に希望をなくしたのか。これが事の顛末。宇宙の流れ者はその場を回り続けて、コロニーはもうどこにも行けない木製の墓銘碑となった。
果てなき渓谷の地下深くの記録保管所に潜航。
◆
流れ者の3つ目の歴史。そして彼らが犯した現実への大罪。
彼らはあるプロジェクトに着手する。それは自分たちの今ある技術を結集し、仮想空間に自分たちの故郷を再現し、移住するという壮大極まる計画。その名前は『模擬現実』。そうして彼らは眠りにつき、夢の中で生きることを選ぶ。
◆
しかし完全なものではなく、ランタンをどこかに置いたまま一定距離離れると主観の描画系統にバグが発生するらしい。うわぁ。テクスチャを剥ぐとマトリックスみたいだぁ。
勝手にこちらが夢の世界と呼んでいたこの場所の真名。それは彼らの故郷をそっくりそのまま模倣し、帰るべき場所を作ろうとする文明の末期の夢だった。
……。
身勝手だな、とは思うけれど。
でも。のどかな森の中で、彼らがスコープ越しに出会った外宇宙のシグナルに対する興奮を口と耳が知っている気がする。彼らの感じただろう絶望に心は共鳴し、彼らの悲憤と慟哭に脳がどこか同調している自分がいる。
せめて夢の中であの日の故郷の夜の涼しさと少しの熱気を感じようとした、その行動の意味を、仮想現実に置かれた仮初の身体が感じ取っている。
当然、生きているものが生きている結果として星を食い尽くすという結果はあってはならないことである。それはあらゆる知性体が例外ではない。プレイヤーたる自分が生きている現実社会においても、北極圏の海流サイクルが年々破綻へと向かい、それについて腹の底から叫んでいる人間がいることは知っている。
だが。それでも。
惑星にとって辻褄が合った生命でいるために、宇宙を知りながら宇宙に夢を見ることすら許されない知性体がいるというなら、そっちの方がよほど納得がいかない。自分たちは誰しも宇宙の上で、自分たちではない誰かと言葉や音楽を交わす権利はあるはずだ。
……宇宙の眼のもたらす真理や枝分かれの未来なんてどうでもいい。HearthianとNomaiは38万年の時を隔ててあの時あの場所で一緒に楽器を鳴らせたのだ。
良いだろう。そんな権利ぐらい。誰にだって与えられて良いはずだろうが――。
……だがしかし、3つの歴史を補完してもなおこれではNomaiがこの星系にやってこれた理由に繋がらない。やはり完全な形の4つ目の歴史が存在する。
そして自分の勘では……それは生きた鹿人である。『夢の世界』が夢として存在し続けるために、少なくとも1人は(量子的に)生きて『鹿人が夢の世界で生き残っているという事実の存在証明を行う係』が要るのでは?
回数の暴力で『何も観測されない座標がある』ことから特異点を割り出した探査砲のアプローチの逆、生きた人間の量子渡りにはやはり向こう側に何らかのアンカーが必要なはずだ。恐らくNomaiより前に来た彼らが存在し続けられている理由として、やはり1人量子的に生きている個体とそのための棺桶があるのでは!?
そしてそれがいる場所の候補はもう一つしか残っていない。『密閉された保管庫』。そもそも完全な無機物であるはずのものならわざわざ人手を割いて現実から夢の中へ持ってくる必要はない。翻って、それは中身に生きた人間がいるからこそ必要な手順だったはずだ――!
密閉された保管庫~ビジョントーチ
以前教会のコード解読のために塔をちょっと登ってみた時に明らかになっていたが、現実で密閉された保管庫のパスワードは全て焼き捨てられていた。そして模擬現実の中でもパスワードの記録された板の中身は全て焼かれていた。
厳重すぎる。総当たりを行ったとしても8^5、1/32768の組み合わせを更にそれぞれたまたま3つ当てられる確率は8^5^3……1/35184372000000。わずか22分の限られた時間のループの中で、量子観測に基づいて変動する可能性がある35兆分の1の組み合わせを演算機器もなしに破る?不可能だ。電脳の世界いえどグリッヂでもない限りこんな問題は解けはしない。
……グリッヂ、あるな。それも3つも。正確には封印そのものではなく封印の目視装置にたどり着く手段さえ不正を働ければ良いので、理論上は可能だ。
・ランタンから離れるとテクスチャが描画されないバグ
・地形データのローディング中にイカダから落下できてしまうバグ
・基底現実で死んでいる人物には警鐘機の効力がないバグ
せっかくのVR故郷を作ってもらったところで申し訳ないが、こちらも全力でハッキングを遂行する。死ぬのは人生一回きりの裏技と考えれば、あとは自ずと実行順序は決まる。落下し、見えない橋を暴き、死ぬ。覚悟を決めろ!推論!計画!実行!
成功した。密閉された保管庫を開くとそこは……見た目に釣り合わない地下墓のような通路。やはりか。下っていくとやがて小さな展望室のような場所に。そこからさらにエレベーターで下に。……いる。ランタンと緑炎が一つはっきりと見えている。ここまで厳重に保管されていた人物とは何者なんだ――。
ワッ!
……何もしてこない。彼のつぶらな瞳を見ていると、今までの流れ者の探査で生まれた、怒りとか、恥ずかしさとか、辛さとか、なにか言ってやりたい気持ちだとか、そういうものはなぜか全て頭のどこかに置き去りになって、気がつくと片角が欠けた鹿人に向かって「あなたは何者なのか」と問うていた。
この言葉に何かが返ってくる保証はない。それでも、ただ自らの好奇心と疑問をぶつけてみたかった。
そうすると彼?は静かに光る杖を取り出して、自分の目線の高さに合わせてくれた。ああ、光で情報を伝えているいつものアレだ。じゃあ、杖越しに眼と眼を合わせて……。
◆
4つ目の流れ者の歴史。そして彼らの不正義の大罪。
封印からどれぐらい時が過ぎたのか分からない頃、何を思ったのか、彼は一人眠りから抜け出し、宇宙の眼の封印を勝手に解き、信号の送信を再開させる。
しかし、その後ろには怒れる民衆が殺到。彼は捕まり、裏切り者として保管庫という名の棺桶に一人閉じ込められ、沈められ、今日に至る。
◆
……。
彼は疑問を捨てられなかった。だから自分が正しいと思うことをした。きっとそれは『他人の存在』に期待しての行為ではないだろう。純粋に。宇宙の眼を目の当たりにしても、まだ何もかもが終わった訳じゃないと、心のどこかに引っかかりがあったんじゃないか。
その心とその行為に、後の世の宇宙飛行士たちは冒険心と名前をつけている。君……いや、貴方は正しくありたかったんじゃない。きっとその時心の中の何かから星に手を伸ばして、冒険家として目覚めたんだ。
上映が終わるとビジョントーチをこちらに差し出してきた。あ、こっちのことを教えてほしいのかな。自分の合わせる目線が照れているような気がする。ほら、他人の眼をまじまじと見ることなんてあんまり無いことだから。
こちらの体をスキャンされた後、また2人だけの上映会が始まった。
◆
流れ者の新しい5つ目の歴史。そしてすべての罪が過去になれたなら。
全てが過ぎ去った頃、貴方が封を解いた信号を追って、遠い遠い星からやってきたNomaiたちがいました。Nomaiたちは不運にも茨に捕まり、散り散りになってやがて彗星によって死んでしまいましたが、更に後の星系にHearthianと呼ばれる人々が生まれました。そしてあるHearthianの子供はNomaiの遺したものに触れて宇宙に憧れ、大人になると宇宙へ飛び出し、やがて長い旅の末に、その旅人は遠い過去の囚人の元へとやってきました。
◆
――そう。実はそうなんです。22分しかない前世の、前世の、そのまた前世から、貴方のことを諦めずに追いかけてきたんです!
怖かったけれど、それでも信じることに決めたから。だって現に貴方はこうしてまだ生きている。心に恐怖と憤怒を宿すことなく、私と眼と眼を合わせて会話をしてくれている。誰かと誰かがシグナルで繋がって、やがて宇宙に友だちが増える。それは冒険家にとって、何より勝る報酬なんだ!
そう伝えたくて。私は貴方の味方であると、文字通り目一杯の主張をしてみる。そういえば四つあった自分の眼をルンルンとさせて、「二つしかない眼を睨むと怖いかな」なんて冗談混じりの、伝わっているのかわからない脳波を懸命に作り出していた。
やがて彼は立ち上がり、咆哮する。万感の思いを込めるように。
そして恭しくお辞儀をした後、一人監獄の外へと去ってしまった。
宇宙からやってきた異貌の人は、貴方の雪解けの記憶になれましたか?
一緒に行こうよ。と口にしても意味がない言葉を口にして、囚人を追いかけて保管庫の外へ出た。
足跡と共にビジョントーチが立てかけられている。彼はいない。どこに行ったんだ。トーチの方に向き直るとまた映像を脳に流され始める。それは――――
――。
――――。
――――ありがとう。
時間と因果の始まりと終わりに隔たれた、
自分の最も古くて新しい友だち。
貴方は、この旅の何より得難い宝物になってくれました。
足跡は何もない方向の砂浜へと消えていた。彼の後ろめたさを羽交い締めにしてでも止めればよかったと、たった今初めて気がついて、その時もう既に、自分もどこにも行けない身体になっていることを自覚する。
グリッヂを使って会った以上、彼に基底現実で生きて会える可能性はない。また誰もいなくなった浜で、そうして自分は自分に言い訳がましく、彼の後を追いかけた。
……また会いたいよ。
貴方の行いは無駄じゃなかったと、何度でも心を尽くして伝えたい。だからまた会いに行く。今度は宇宙の最果てで、革命前夜の焚き火を囲う宇宙飛行士たちの前で。
「一緒になろう、何が起きるか見てみよう。」
目覚めて、飛び出し、慣れた手つきで宇宙の眼に船の舵を切る。嘘。一回アンコウの索敵範囲を見誤ってイクラの中に監禁された。
宇宙の眼のどこでもない場所の焚き火から音のシグナルが一つ増えた。そう。『会いに行く方法が観測者の記憶に刻まれた』から、この量子の世界でも真っ直ぐ会いに行ける。土を掘って、地下深くの姿見の突き当りで、楽器を持ってきてくれた貴方のことをちゃんと観測する。
焚き火の傍で、ようやく貴方と言葉を交わす。量子は情報そのもののもつれ合いだとするなら、量子に満たされた此処では言語の壁などない。
「――私たちの恐怖があなたの心を汚すことはないと約束することはできない。」
「――私は一族の過ちを繰り返したくない。」
……。
確かに、最後まで結局名前が分からなかった流れ者たちは、かつて恐怖で道を誤ったかもしれない。取り返しのつかない旅をしてしまったかもしれない。あるいはただ単に運が無かっただけなのかもしれない。
でも「それ」はきっと誰もが持ち合わせうる当たり前の感情で、眩しい光が怖く感じるのも変なことではないのだと思う。
それでも。
この宇宙には他人がいる。例え生きた時が縦に離れていようとも、いつか誰かが先往く誰かの遺した音楽を拾って、また旅をしに来る誰かがいるよ。
宇宙が膨らみきる前の外宇宙からの来訪者が、かつての貴方の一欠片の信じた正義を追いかけてやって来ている。延々と何かを奏でていられるような、運に恵まれた炉辺の星の住民が今ここに育って肩を並べている。何より、貴方にわざわざ会いに来る変な人がいるよ。
貴方の遺した、広大な宇宙への疑問は確かに今、こうして少なくとも38万年以上の時を重ねて皆の心を一つにしている。貴方に罪を求める人間は、少なくとも今この場には誰もいない。だって、貴方は最初に暗黒の空を手を伸ばした偉大な人、この宇宙に生まれた最初の宇宙飛行士じゃないか。
共に空を見上げて音楽を奏でた貴方は、貴方たちの種族は、もう孤独と忘却の中で死ぬわけではないことをここで証明する。
だから――
>「一緒になろう。何が起きるか見てみよう。」
宇宙を夢見るには少し臆病で繊細だったかも知れない流れ者の種族。それでも誰かと肩を組めば何だって怖くない。
希望の翼に乗り、夜空へ舞い上がろう。その腕にみんなの唄を抱き、次の宇宙に運んでいこう。これから眼に届かないほど広がる世界の、遍くすべてに響き渡るように。
「では始めよう!私たちの輝きを闇の中に送り出す時が来た。」
14.3 billion years later:総評
――もう、言葉とか要らなくない?
とは言っても、言いたいところは多々あるゲーム性で、正直本編の部分(Nomai文明)だけだともったいないなぁで終わるゲームだと思う。
人にゆっくりして欲しいのか急いで欲しいのか分からないチグハグな時間と綿密なキャラクターコントロールに追われる探索がノイズになる場面はそこそこあったし。そのせいでNomai人にあんまり感情移入できてないし。実はアトルロックで音楽のシグナルスコープをぶんぶんしてたらたまたま波長が合っちゃって、最終盤に何を起こすつもりなのか分かっちゃった時はかなり「これ大丈夫かよ」となったし。脆い空洞が若干クソゲーなのは未だに憎いし。呪。
アクションに追われていたせいか四つ目も三つ目も交流がどことなく淡白で、最後の演奏でもピンと来なかったところはある。
だが、Echoes of the Eyeはそういう不満を全て派手にブッ飛ばすストーリーテリングだった。
今までの妙ちきりんな文体から分かる人はいるかもしれないが、自分はスマホから奈須きのこ(個人)の書く世界の見方にどハマりした変なオタクだ。そして、見た目の印象が人からかけ離れた生き物に人間性を見出したり、異種間のひとときの交流を扱うような作品が本当に大好きでたまらない性質の人間である。
そしてそういう自分にはこの流れ者の話が特効と言えるほど刺さった。
生まれた世界、姿形さえ全く違う2つの生き物が、ともに同じ感情と時間で繋がって、互いに友情や愛情を感じることができるというのは、何より尊ぶべき生物の心であると思っている。誰かもわからないモノの背中や身振り手振りを見て「ああ、これはかつての自分/いまの自分/そうなるかもしれない自分なんだ」と魂から思えた瞬間に必要もなく心が沸騰する。
鹿人(今更だけど多分これ梟人の方が正しいよね)に腕を捕まれ大口を開けられ残忍にかじり殺されることを覚悟した直後、そっと手元の炎を優しく吹き消された時、こうした難儀な自分の心に引き抜けないトゲが深く深く食い込んでいく。
変な言い方だが多分……恋にでも落ちたのかも知れない。訳もなく心臓が暖かくなったし、「絶対にこいつらの歴史は無意味で無価値なんかじゃない」と証明するために意地になっていた。そして、このある流れ者たちの話は見事にそれに応えてくれた。
囚人、はっきり言って自分の人生史上でも最上位に入るヒロインだと思う。
もう無理や。孤独だった自分に時間と世界の向こう側から春の記憶を持ってきてくれた人との出会い、それはもう流石に運命じゃん。うわ。もうなんか我慢できなくなってきた。5つ目の歴史の曲名が満を持して「Echoes of the Eye」でその直後に「Departure」なの、彼の旅人としての人生は眼と眼と合わせて5つ目の歴史を描いたまさにあの瞬間から始まったということに他ならないわけで。最強のヒロインなのか……?お前?
囚人が自分の存在を色鮮やかな5つ目の思い出にしてくれて、罪の意識で去る時に告白まがいの夢を見せてくれた瞬間に、正直いい大人が泣きそうになっていた。自分は涙腺が閉まってる方の人間だが、それでもここ20年で一番キツかった。
『先往く人から後往く人へと手渡されるシグナルの繋がり』というOuter Wildsで一番大事にしないといけないことだろー!と思ってた部分をフル活用して殴られた。もう自分の完敗です。負け負け。
この宇宙/この世界には絶望が満ちていますか?
……いいえ。いいえ!
そこに一片の希望を抱く誰かがいる限り、そこから出た行動や願いは決して滅びることはない。何故ならどんな世界にあっても旅人は1人ではなく、それを拾い上げる人間はいつか必ず現れるのだから。
改めて言える。この宇宙には他人がいる。それは未来にいるかも知れないし、過去にいるかも知れない。でも、もしも、その他者の跡を拾い、祈りや願いを理解できることがあるのなら、それはどんな星より輝く人間の起こす奇跡であることを信じている。
これにて令和の時代の濃厚なホープパンク体験、完食。