「夢・出逢い・魔性」を読んで

森博嗣の小説を久しぶりに読んだ。文体が軽快で読みやすいし、キャラクタ同士の会話が面白かった気がする（過去形なのは、面白いという感情は読んでいる瞬間にしか存在しないから）

あらすじ

20年前に死んだ恋人の夢に怯えていたN放送プロデューサーが殺害された。犯行時響いた炸裂音は一つ、だが遺体には二つの弾痕。番組出演のためテレビ局にいた小鳥遊練無は、事件の核心に位置するアイドルの少女と行方不明に……。繊細な心の揺らぎと、瀬在丸紅子の論理的な推理が際立つ、Vシリーズ第4作！

http://kodanshabunko.com/morihiroshi/Vseries.html

感想

森博嗣の作品のタイトルは一言でその作品を言い表していると感心することが多いけれど、今回は「夢・出逢い・魔性」「夢で会いましょう」「You May Die in My Show」のトリプルミーニング。おい、天才か？
ちなみにサブタイトルもなかなかに凝っている。1度ページをめくって確かめてほしい。

というわけでVシリーズも4作目。私は本を読むのが遅くて、1冊に1ヶ月から1年かかることもあるが、著者の小説は大体2日くらいで読み終わる。それくらい好きなのか、はたまた自分に合っているか、もしくはその両方だろう。今回も例に漏れず、1日で読み終わった。

4作目ともなると、キャラクタに愛着が湧いてきて楽しい。著者の作品の登場人物は台詞がかなり刺激的で正直事件より面白いまである。
今回もお得意の密室トリックだ。トリックの種明かしは非常に論理的でわかりやすかった。
探偵小説特有の最後の推理披露の場面はやっぱ痺れるね。ページをめくるスピードが通常の1.5倍速になっている気がする。
ただ、今回はありがちな展開にも思えたし、瀬在丸紅子の天才性があまり出てこなかったように感じる。森博嗣の描く天才が一番天才らしくみえるので次作に期待したい。

森博嗣のシリーズものはかなり多い。執筆スピードも速いため最新作に追いつける気がしないが、ゆっくり楽しんでいきたい。今日は短め。

夢・出逢い・魔性 (講談社文庫)