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【39】黄桃色の夕暮れ時

最近、たくさんの人に現地語で挨拶するからか、すれ違う人に現地語で話しかけられるようになった。「このムズング、ルオ語話すよ!」と小さい子が話しているのをたまに聞く。

「どこにいくの?」「湖だよ。」くらいのやり取りはできるので、現地のおばちゃんと少しやり取りしてから、湖に行くことも増えた。みんな楽しそうに、びっくりしたような笑顔になっていくから、もっと早めに勉強しておけばよかったと思う。

僕はここで何度も消耗してきたけど、そのたびに元気をもらうのもこの島だった。

簡単な大したことのない挨拶で、抜群のリアクションを見せてくれる島の人々。下を向いてばかりのときは、上を見上げれば息を呑む大自然が目を潤してくれるから、苦しいときは上を見上げる。

先が見えなくて怖くて、体も疲れて、気持ちもすり減らしたときは上を見よう。別に前は向かなくてもいいから。その気になったらまた前でも向いて歩き出せばいいや。とりあえず上を見ていれば、この島は元気をくれるから。

今日は夕方、湖で沐浴をした。帰る前に住血吸虫の検査を受けなきゃいけないな。もうすぐ帰るんだな。遠くに見える黄桃色に染まった夕暮れ時の空も、もう見えなくなるんだな。なんて。

早く帰りたかったはずなのに。ストレスのない、今よりもずっと楽に暮らせる場所に帰りたかったはずなのに。そんなことを、ビクトリア湖に抱かれて思った。

僕を受け入れてくれた島に感謝を忘れないように。ルオ語で挨拶をして貰った笑顔を、元気を忘れないように。見上げた島の空から降ってきた元気を、忘れないように。

沐浴を終えて全身に浴びる風が、気持ちよかった。

クラウドファンディングご協力のお願い

僕の住んでいる島は、HIV罹患率が非常に高いため、HIVテスト受診促進のためのプロジェクトと、学校に介入して性教育や、HIV/AIDSの授業を行うことで、若者のHIV感染を防ぐことを目的としています。詳細は下記のリンクから!もしプロジェクトに共感していただければ、1500円からサポートできますのでよろしくお願いします!

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熊谷拓己
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