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【19】もう、限界だった。

昨日の夜、あれだけ憔悴しきっていたのになかなか寝付けなかった。夜中の一時になっても寝付けない。

こっちに来てから全然疲れが取れない。常にやることはいっぱいなのに、疲れを取る方法がない。日本だったら温泉でも入りに行って美味いもんでも食べに行けるのに...と思う。クラファンの準備と広報、放課後授業の学校周り、カリキュラムづくり。今日もこれからバイタクに乗って遠い距離を回る。

何でこんなことしてるんだっけ。

ここでやっていることは、一銭の儲けにもならない。もしクラファンが成功して150万なんて大金をもらうことになっても、そのお金の行き先はもちろん全部この島だ。

なにをわざわざ遠く離れた日本からこんなところまで来て、こんな辛い思いしてまで、身を削ってこんなことしてるんだろう俺は...日本にいたら、友達とだって遊べるし、就活だって余裕を持ってできる。大好きな静岡にだってもう少しいられたかもしれない。

正直、150万なんて金額達成できると思っていなかった。それでも始めなきゃいけないから、いろんな人にお願いして疎まれるかもしれないし、お金が入ったからと言ってプロジェクトがうまく回るかどうかもわからないけど、もう、島では始まる前提だった。逃げられない。

「今、俺達に先生の注目が集まってるぞ。プロジェクトを一日でも早く始めてほしいと思ってるんだよ、みんな。」

「今会った先生、覚えてるか?向こうは覚えてたな。俺たちのこと期待してるんだよ。」

「大事なのは、5月に放課後授業を始めることだ。でないと先生たちからの信用を失ってしまうからな。」

ケビン、あなたには僕の考えていることなんてわからないだろう。多分一生。その言葉がどれだけ、僕を消耗させているのかを。あなたは、外国で、180度違うライフスタイルで、毎日のように差別を受けながら、ここで暮らして働くことがどれだけ過酷なことか、一生、知ることはないと思う。僕が、150万を集めるために人に疎まれる覚悟までしなきゃいけないことなんて、きっと彼は知る由もない。

俺、こんな所で何やってるんだろう。

心の弱った日は、そんなことを何度も考える。眠れない夜中に、そんな問いがぐるぐる頭を回る。

疲れたなぁ。帰りたい。まだ頑張れるかなぁ。

首にできた原因不明の腫れがずっとヒリヒリしていて、その痛みが僕を眠りから遠ざけているみたいだった。それでもなんとか眠れて、でも次の日起きると朝の6時だった。全然寝れてないじゃん...頭が少しぼーっとするのがわかるけど、目は完璧に冴えていた。なんの気無しにnoteを見る。通知が来ていたから見る。

誰かがサポートをくれていた。

ほんとうに、僕の全く知らない赤の他人。現実でなら、交差点ですれ違ってしまうような人だったと思う。そんな人がいきなり、

「はいこれ。大変だと思うけど、頑張ってね。」

と言って、僕にお金を渡してくれたような、そんな気持ちになって、ベッドに横になっていた僕の頬を涙が伝った。顔も知らない誰かが、会ったこともない誰かが、僕の背中をそっと押してくれた。

日本に帰ったら、誰よりも美味しくラーメンを食べられる自信がある。誰よりも気持ちよく温泉に浸かれる自信がある。誰よりも深く、眠れる自信がある。あと一ヶ月。あと、一ヶ月。日本に帰ったら。

もう少し、頑張ろう。下ばかり向いていた心を、名も知らぬ人に上向かせてもらった。次はこの優しさを、僕がこの島に渡せるように。あと、もう少しだけ。

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クラウドファンディングご協力のお願い

さんざん弱音を吐いたあとにあれなんですが、クラウドファンディングのご支援・シェアをしていただけると助かります!僕の住んでいる島は、HIV罹患率が非常に高いため、HIVテスト受診促進のためのプロジェクトと、学校に介入して性教育や、HIV/AIDSの授業を行うことで、若者のHIV感染を防ぐことを目的としています。詳細は下記のリンクから!もしよければ、SNSや周りの友人・家族にも共有していただけると嬉しいです。


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熊谷拓己
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