見出し画像

中小企業が2025年に使える補助金は?

令和6年度補正予算が成立し、今年使える補助金の輪郭が見えてきました。
賃上げ、地域振興、女性活躍、インボイスなど、国が推し進める施策への貢献度が高い取り組みが、より採択されやすくなった印象です。

ものづくり補助金(中小企業、小規模事業者向け)

2024年6月を最後に止まっていたものづくり補助金が再開されます。
従来からの主な変更点は以下3つ。

① 賃上げ要件が引き上げられた(年1.5%増⇒年2.0%増)。
② 一般事業主行動計画の公表が義務化された。
③ 収益納付が無くなった。

物価上昇や人手不足を背景とした就労環境の整備がより強く求められるようになった一方、収益納付(補助事業で収益が生じた場合に収益金の一部または全部を国庫へ返納する制度)が無くなったことで、より大胆に成長への道筋を描けるようになりました。

  • 補助金テーマ:生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援

  • 主な対象経費:機械装置費、システム構築費

  • 補助上限額(補助率):750~2,500万円(1/2~2/3)
    ※ 枠・類型・従業員数によって異なる
    ※ 大幅賃上げは上限額上乗せ

  • 募集回数(募集時期):未定
    ※ 旧制度では年4回程度

  • 申請要件

    • 付加価値額3%/年増加

    • 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が2%/以上または地域別最低賃金の年平均成長率以上

    • 事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円

    • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画公表(従業員21名以上)

  • その他:創業加点あり、収益納付なし

新事業進出促進補助金(中小企業、小規模事業者向け)

コロナ対策を目的とした事業再構築補助金が役目を終え、新事業進出促進補助金としてリニューアルされました。新事業への挑戦を通じて賃上げを達成する事業者が対象となります。比較的規模の小さな事業者でも建物費を申請できる貴重な補助金です。こちらも収益納付が無くなりました。

  • 補助金テーマ:既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援

  • 主な対象経費:建物費、構築物費、機械装置・システム構築費、広告宣伝・販売促進費

  • 補助上限額(補助率):750~7,000万円(1/2)
    ※枠・類型・従業員数によって異なる
    ※ 大幅賃上げは上限額上乗せ

  • 募集回数(募集時期):未定
    ※ 旧制度では年3回程度

  • 申請要件

    • 付加価値額4%/年増加

    • 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が2.5%/以上または地域別最低賃金の年平均成長率以上

    • 事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円

    • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画公表(従業員21名以上)

  • その他:収益納付なし

成長加速化補助金(中堅企業を目指す中小企業向け)

今年度から新たに創設された、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業を対象とした補助金です。「工場、物流拠点の新設・増築」「自動化による革新的な生産性向上」を想定した1億円以上の投資が対象となります。

  • 補助金テーマ:売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業の大胆な設備投資を支援

  • 主な対象経費:建物費、機械装置等費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費

  • 補助上限額(補助率):5億円(1/2)

  • 募集回数(募集時期):未定
    ※ 3月公募要領公開 6月締切見込

  • 申請要件

    • 投資額1億円以上

    • 売上高100億円を目指す宣言
      【宣言内容】
      ①企業の現状
      ②100億円達成の期間・プロセス
      ③アクションプラン(生産増強、海外展開、M&A等)
      ④実施体制
      ⑤経営者コミットメント

    • 賃上げ(詳細不明)

大規模成長投資補助金(中堅企業、中小企業向け)

地域の雇用を支える従業員1,000人規模の中堅・中小企業を対象とした大型補助金です。「工場・倉庫・販売拠点の新設・増築」「最先端の機械や省力化できる設備の購入」「ソフトウェアの購入や情報システムの構築」など、10億円以上の大規模投資を対象としています。

  • 補助金テーマ:省力化による人手不足の解消、地域の雇用創出・持続的賃上げ

  • 主な対象経費:建物費、機械装置費、ソフトウェア費

  • 補助上限額(補助率):50億円(1/3)

  • 募集回数(募集時期):未定
    ※ 昨年度は年2回

  • 申請要件

    • 投資額10億円以上

    • 給与支給総額上昇率≧地域別最低賃金上昇率

IT導入補助金(中小企業、小規模事業者向け)

ITツール導入により経営改善を目指す事業者を対象とした補助金です。ソフトウェア購入費やクラウド利用料、導入関連費用(保守サポート費用、マニュアル作成費用、IT活用定着支援サポート費用など)が対象となります。

  • 補助金テーマ:生産性向上に資するITツール導入

  • 主な対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費(保守サポートやマニュアル作成等の費用に加えてIT活用の定着を促す導入後の活用支援も対象化)

  • 補助上限額(補助率):450万円(1/2~4/5)
    ※ インボイス枠 350万円
    ※ セキュリティ対策推進枠 150万円

  • 募集回数(募集時期):未定
    ※ 旧制度では年7回程度

  • 申請要件

    • 補助金額~150万円:1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェア

    • 補助金額150~450万円:4種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェア

  • その他:ベンダーとの共同申請

小規模事業者補助金(小規模事業者向け)

小規模事業者(製造・宿泊・娯楽業20人以下、商業・サービス業5人以下)を対象とした補助金です。額は大きくありませんが採択率50%前後と使い勝手が良く、創業間もない事業者は公的機関が実施するセミナー(特定創業支援等事業)を受講することで上限200万円まで支給されます。

  • 補助金テーマ:販路開拓を通じた生産性向上と持続的発展

  • 主な対象経費:機械装置費、新商品開発費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会出展費

  • 補助上限額(補助率):50~200万円(2/3~3/4)
    ※ 通常枠は50万円、創業枠は200万円
    ※ 賃上げ・インボイス対応で上乗せ措置あり

  • 募集回数(募集時期):未定
    ※ 旧制度では年4回程度

  • 申請要件

    • 小規模事業者であること
      ※ 商業・サービス業 5人以下
      ※ 宿泊・娯楽業 20人以下
      ※ 製造業その他 20人以下

  • その他

    • 創業支援事業を利用している(創業枠)

    • 商工会議所の事前承認が必要

当事務所では本記事でご紹介した各種補助金について、ご相談内容に応じたさまざまな支援サービスをご用意しています。申請をご検討の際はこちらのページからお気軽にご相談ください。

この記事を「いいね!」と思っていただけたら、「スキ」ボタン、フォローをお願いいたします!

いいなと思ったら応援しよう!