東洋医学【血って?読み方は「ち」じゃなくて「けつ」】
今回は、「血」について書きます!
西洋医学で言うと「血液」のことを指しますが
東洋医学では物質としてだけでなく様々な役割があるので
しっかり理解することが大事です。
【血】
血とは
営気、津液、精より構成され
豊富な栄養分を有した、血脈中を流れる赤色の液体です。
気の推動作用により全身を分布し、組織や器官を滋養する働きを持ちます。
血の化生
飲食物からの化生
・飲食物は脾胃の消化、吸収により水穀の精微になり、心や肺の機能を受けて血に化生されます。
精からの化生
・腎精から補充される。
血の作用
滋養
・栄養物質を豊富に含んでいる
・組織、器官を正常に発揮させる
↓正常に滋養されていれば↓
顔色→→血色がある
皮膚、毛髪→→潤いを保てる
筋肉→→壮健
感覚、運動→→正常を維持できる
神の維持
・気血、精の滋養が正常な活動には不可欠
・血の滋養が不足すると→→精神、意識、思惟活動に失調が現れる
血の運行
血の運行は肝、心、脾、肺、などの臓腑機能と関連して行われる。
相互の共同関係により、正常な血の運行を保っているため、
いずれか一つの臓腑機能が失調しても血の運行の異常が起こる原因となる。
推動と促進
・心の機能→→血を全身に送り出す(主血)
・肺の機能→→宗気により推動させる(宣発・粛降)
・肝の機能→→生理物質を推動させる(疏泄)
固摂と制御
・脾の機能→→血が血脈から漏れ出さないようにする(統血)
・肝の機能→→血液量を調整する(蔵血)
血の病理
大きく3つに大別される。
・血虚ー血の不足
・血瘀ー血の運行失調
・血熱ー熱の影響を受けた状態
血の不足による病態
【血虚】
■原因■
飲食物の摂取不足→→血を化生する量が減少
脾の機能低下→→血を化生する量が減少
過労により血が消耗される
外傷や手術、多産→→大量に血を失う
■症状■
眩暈、顔面蒼白
・頭部や顔面部を十分に滋養することができないため。
動悸、不眠、健忘
・心血が不足して、心を十分に滋養できないため。
しびれ、痙攣
・肝血が不足して、筋を十分に発揮できないため。
目のかすみ、視力減退、爪の変形
・肝血が不足して、目や爪を滋養できないため。
経色淡白、経少、月経痛
・女子胞が栄養されないと月経痛が生じる。
血の運行失調による病態
【血瘀】
血瘀ー血の運行が緩慢になったり停滞して起こる病態
瘀血ー滞った血のこと
■原因■
熱が侵襲もしくは内生
→→血が損傷→→粘稠度が増し滞る
寒が侵襲もしくは内生
→→寒の凝滞性で滞る
気虚
→→推動作用低下で滞る
外傷(捻挫、打撲など)
→→血が血脈から漏れ滞る
気滞
痰湿
■症状■
固定痛、刺痛
腫脹、腫塊
・瘀血が腫塊を形成
紫舌、暗紅舌、瘀斑、瘀点、皮下出血斑
シミ、色素沈着
・瘀血が気血の運行を阻み、皮膚を滋養できない。
皮膚甲錯(鮫肌)
・瘀血の停滞により長期間滋養できないため。
月経痛、腫塊が多いい
【血熱】
血が熱の影響を受けた病態
■原因■
熱が侵襲
過剰な情志の変化により熱が生じる
辛いもの味の濃いもの過食
→→体内に熱が鬱結する
■症状■
発熱、発赤、発疹、痒み
出血
・熱には生理物質の推動を促進する働きがあるため。
過剰な熱
→→血の運行が速くなる→→血脈が溢れ出す
潮熱、五心煩熱、盗汗(寝汗)、口渇
・熱により陰液(血津液、精)損傷
心煩、不眠、精神不安
・血熱が盛んになると心神に影響を及ぼす
まとめ
血の働きは組織や器官などを滋養するために不可欠なものであり
正常な精神状態を保つことに繋がることがわかります。
次回は、精気血津液シリーズ最後の津液について書きたいと思います!!