派遣労働者の待遇改善に向けた派遣会社の対応

 ■厚生労働省が「派遣労働者の待遇改善に向けた対応マニュアル」を公開

  厚生労働省は、3月1日、「派遣労働者の待遇改善に向けた対応マニュアル」を公開
 しました。このマニュアルは、派遣元が法の要請に対応し、派遣労働者の待遇改善を
 図るうえで、参考になる施策やノウハウをまとめたものです。

  派遣元がとるべき対応は、マニュアルに記載された「派遣労働者の待遇改善までの
 流れ」に沿う必要がありますが、そのなかで、派遣元が共通して直面する「困りごと」
 があります。このマニュアルでは、どのような「場面」で、どのような「困りごと」が起き、
 それに対して派遣元は何をすべきかの観点から施策とノウハウを解説しています。

  マニュアルの中では、「派遣先との派遣料金の交渉」、「派遣労働者に対する待遇内
 容等の説明」、「待遇決定とその運用」労使協定方式、派遣先均等・均衡方式ともに共
 通する「困りごと」として紹介されています。行政が作成したマニュアルですが、対応策
 として他社の取り組み事例も紹介されているので、それを参考に自社で取り組む際の
 参考にしたいものです。

  ◆マニュアルのダウンロード https://www.mhlw.go.jp/content/000745995.pdf

  ■令和3年度の一般賃金は、局長通達で定められた「例外的取扱い(特例措置)」を
 使う派遣会社が多い?

  4月1日から、労使協定方式を選択している派遣会社では、令和3年度の局長通達に
 基づき、派遣労働者の待遇を決定しなければなりません。派遣労働者の賃金について
 は、局長通達で示された「令和元年度賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金
 (別添1)」、「職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与の額(別
 添2)」のいずれかと同等以上の額となるものであることが必要とされています。

  ご存じのことと思いますが、算出方法は、以下の通りです。

  職種別の基準値×能力・経験調整指数×地域指数

  能力・経験調整指数、地域指数ともに改定されているので、上記式に基づき算出した
 ところ、令和2年度より、一般賃金が上がっている職種が大半です(職種、地域によっ
 ては下がっている職種もある)。とはいえ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によ
 る経済・雇用への影響等がある中で、その数値をそのまま適用した場合には、派遣労
 働者の雇用への影響が懸念されます。

  そのため、原則は、令和3年度の局長通達で示された令和元年度の統計調査等を
 活用した数値をそのまま用いることとしていますが、派遣労働者の雇用維持・確保を
 図ることを目的として、一定の要件を満たし労使で合意した場合には、令和2年度の
 局長通達で示された一般賃金を用いることを可能とする規定を設けています。これを
 例外的取扱い(いわゆる特例措置)といいます。

  ■労使協定に定めた派遣社員の昇給について

  ここで問題となるのは、例外的取扱いを用いて令和2年度の一般賃金の額を用いた
 としても、労使協定で「対象派遣社員の勤務評価の結果、派遣先で従事する職務内容
 に変更がない場合であっても、スキルの向上があると認められた場合には、賃金額を
 昇給させることがある」と規定していることです。

  厚生労働省が公表している記載例に沿って作成している場合は、上記の記載がある
 はずです。さらに、「賃金の決定に当たっての評価」についても、次のような規定がある
 と思います。

  「派遣就業開始から1年を経過することとなる日まで継続して派遣される対象派遣社
 員に対しては、1年経過日までの間の職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経
 験等を公正に評価する」

  まず、前段の昇給については、「スキルの向上があると認められた場合」という条件
 が付けられているので、全員を必ず昇給させなければならないわけではありません。
 しかし、後段の評価については、公正に行わなければならないので、昇給しなかった
 派遣社員からは、どのような評価をしているのか、説明を求められる場合があることを
 想定しておかなければならないのです。

  ■評価について

  派遣社員の評価制度を構築していない派遣会社が多いと思いますが、前述のように
 、すでに労使協定において「賃金の決定に当たっての評価」を規定している以上、早く
 評価制度を構築しなければならないのです。

  「派遣労働者の待遇改善に向けた対応マニュアル」にも、職務の難易度に基づく等
 級制度と賃金制度を職種ごとに設定する対応策が紹介されていますので、参考にする
 とよいでしょう。

  なお、「派遣社員の評価に関する派遣先担当者調査結果(2017年4月人材サービス
 協議会)」で、派遣先が派遣社員の評価で重視する項目が以下のようにあげられてい
 るので、評価項目の参考にすることができます。

  1.まじめさ 2.報告・連絡・相談ができること 3.責任感 4.社会人としての基本マナー
 5.協調性 6.社会人としてのモラル 7.話を聞く力 8.積極性 9.臨機応変力
 10.身だしなみ・清潔感 11.忍耐強さ 12.自分の考えを言える力
 13.ストレス耐性 14.体力

  まだ、派遣社員の評価を実施していない派遣会社の皆様は、簡単な評価からでもい
 いので始めてみませんか。

  ■スマホでも簡単にできる派遣社員のスキルチェックを導入しましょう!

  スキルチェックは、いつでもどこでも簡単にできるツールを導入しておくことをお勧めし
 ます。匠ソリューションズで取り扱っている「Skill Analyst ASP版」は、それを可能にし
 たスキルチェックツールです。「Skill Analyst ASP版」は、派遣スタッフの以下のスキル
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  基本システムは、年間60,500円(税込)でご利用いただけます。

  上記の他に、「Office操作スキル」、より詳しく結果を表示する「スマート結果分析」の
 オプションをご用意しています。

  さらに、上記スキルチェックで、派遣先が評価ポイントにあげる、社会人としての基本
 マナーや協調性、話を聞く力、積極性、臨機応変力、自分の考え方を言える力、ストレ
 ス耐性などは、具体的な指標を把握することができます。

  この機会に、導入をご検討ください。

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