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#6 口唇口蓋裂治療記 No.3「言語訓練と骨移植」

(シリーズ編の第3回目となります。第2回目は#5に掲載していますので,まだご覧になっていない方は,まずそちらからお読みいただけますと,内容がスムーズに入ってくるかと思います。)

このページを開いていただいて、ありがとうございます。
今回は、口唇口蓋裂治療記第3回として,期間としては2~7歳まで行っていた「言語療法」と6歳の時に行った「顎裂部骨移植」手術についてお伝えします。


口唇口蓋裂児特有の発音

前回までにもお伝えしている通り、口唇口蓋裂は口唇や口蓋に裂が生じる病気です。唇や口の中の形に異常が発生してる訳ですから、音を作る器官やその動きに問題があって発音がうまくできない状態が必発します。これを、構音障害と言います。これは、自分自身は言葉をしっかり理解しており、また自分が何を伝えたいかがはっきりしているのにもかかわらず、上手く発音することが出来ない症状です。また、通常と口腔内の構造が異なりますので、誤った発音の方法が定着してしまう可能性があります。そうしたリスクを回避するために、言葉や発音の仕方を覚え始める2歳頃から結果的には7歳頃までの6年間、毎週病院に通い、言語療法による発音評価と練習・訓練を行っていました。

言語療法

ここで登場するのが「言語聴覚士」です。
言語聴覚士は、言語・聴覚・音声などを中心としたコミュニケーションに関わる問題がある人に対して、正常な機能を得るために指導をする人です。

先ず、発音する際の口や舌の動き、そのほか発音に関わる筋肉の動きをチェックします。口唇口蓋裂患児は、これらの動きに支障が生じていることがあり、言語聴覚士は口の中の様子をよく確認しながら評価を行います。私の場合は、軟口蓋の動きが鈍くなることで発生する鼻咽腔閉鎖機能不全症状が昔からあり、僅かながらに息が鼻から漏れる「鼻漏れ」が発生していました。この「鼻漏れ」が重症化してしまうと、発音をしっかりと行うことが出来なくなるほか、日本語にない音を意識せず発音してしまうなどと言った症状を引き起こします。そうしたリスクについても、幼いうちから予測し、場合によっては適宜治療を行います。
(私の鼻漏れは軽症の部類に入り、特に日常生活に支障はありません。)

そのほか、滑らかに発音をする練習や、しっかり口から息を吐く練習を行い、問題があれば適時直していきました。流石に2歳の時のことは覚えていませんが、毎週火曜日の午後に通院していたために、幼稚園をその日は早退して、病院に向かっていたのはよく覚えています。
(よく考えたら、毎週早退って中々ですよね。よく通っていたなぁと自分でも思います。)

3度目の手術 (6歳)『顎裂部骨移植手術』

2歳の訓練開始から4年が経過し、幼稚園は年長(6歳)になったところで、3度目の手術の時がやってきました。「顎裂部骨移植」手術です。
口唇口蓋裂のうちの口蓋裂は、上顎の骨が一部欠損した状態で生まれてきます。骨が欠損したままだと、歯が正常な位置や角度で生えず、場合によっては歯自体が成長しないこともあります。そうしたことを防ぐために、自分の骨を別の場所から少量採取し、上顎の顎裂骨欠損部に移植する手術が必要になります。多くは、腰の骨を少し取り欠損部へ移植します。私もこの術法で行われ、今でも左の腰の後ろには骨を取るために皮膚を切った創痕があります。この手術を行うことにより、生まれてから6年、ようやく身体に存在していたすべての裂が無くなりました。この手術を行ったことにより、一部の歯を除いてほぼすべてが正常に生えるようになりました(その一部の歯1本は、歯自体が殆ど成長せずに、結果的に13歳の時に抜歯しました)。
また、骨が新しく付いたことにより、凹んでいた歯茎や口腔内粘膜が正常な形に復帰し、言語訓練もよりスムーズに進行していきました。

手術のあと

この手術を終え、言語訓練も終わりが見えてきました。口の中の形が手術を経て僅かに変わっていますから、それによる誤った発音の方法が定着しないように、手術後1年程度は引き続き病院に通い、言語訓練を受け続けました。
そして、小学校1年に上がった年の2011年。7歳になったあたりで(厳密な期間は記憶していませんが)、無事にすべての言語療法訓練が終了し、幼少期に行った大きな治療がすべて完了しました。

ここから、次の治療が本格化する2021年(高2)までの約10年間は大きな治療は無く、半年検診でたまに病院に行く程度。やっと、通常の生活が送れるようになったわけです。
とはいえ、あの頃はまだ口唇口蓋裂による症状すべてが解消していたわけではありませんので、実はいろんなことがありましたが、それはまた別の機会に。

(次回予告)

口唇口蓋裂の口蓋裂に関して、上顎欠損状態で生まれてきた関係で、私の場合、実は上顎の大きさが通常に比べそれなりに小さかったのです。その為、すべての歯が正常な位置に生えるスペースが無く、3本ほど2列目に生えるというまあまあカオスなことが起きていました(16歳くらいまでに)。その為に19歳、2023年の手術の2年ほど前から行っていた「顎歯矯正治療」について、次回はお伝えする予定です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


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