【約7000文字】実際に現場で入社関連タスクの業務改善をしたノウハウを大公開!
こんにちは、DXER代表の向井です。4月の新入社員が入社するタイミングを終え、入社受け入れ担当の方々は少しホッとされたのではないでしょうか?
今回は、入社関連のタスク管理を仕組み化するプロセスをnoteにまとめてみました!
こんな方にオススメ
・資金調達を実施して採用強化中のスタートアップで人事・情シスを担当されている方
・組織が大きくなるにつれて他部署との連携が難しくなり各タスクの属人化に課題感をお持ちの方
・部署間での連携がうまく取れておらず、JIS・USキーの貸与ミス、IT備品の貸与漏れ、氏名の間違いなどミスが恒常的に発生して困っている方
ノウハウを定型化しようと思ったキッカケ
なーねこさんが企画してくださった【課題共有】入社オンボーディング 〜 ゆるっと共有会にて
特に、部署間における連携やコミュニケーションに対して課題感を持っている方が多いことが分かりました。
実際に議論を繰り広げてみると
・部署間で別々のシステムを活用
・部署毎の業務をお互いが把握していない
という事が大きな原因ではないのか?という仮説が立ちました。
入社関連タスクに関する課題感TOP3
課題を構造化して捉えるために、課題をカテゴリ分けし、より具体的な課題を少人数で深く議論する座談会を別途実施しました。
事前に準備した質問を参加者の皆さんに回答してもらい、得られたデータを元に人事・労務・情シス・経営者と多角的な観点から課題を議論していきました。
(アンケートを通して自社が抱える課題を俯瞰的に捉えられた、という声を数多く頂きましたので、このnoteを読んでくださっている方々も、もし良かったら自社の診断ツールとして活用してみてください!)
📝アンケートはこちら。
アンケート結果から深堀りした考察
今回アンケートに回答してくださった方々の担当部署は下記になります。*有効的な母数か?と言われるとまだそうでもない点だけ、ご了承ください。
さぁ、それでは、皆さんお待ちかね!
入社関連タスク課題ランキングTOP3を見ていってみましょう〜!(おそらくニッチ過ぎて、まだ誰もやっていないはず・・・)
1位:自動でリマインドする通知機能がない
圧倒的に「No」が多かった項目は、タスクの期限前に関係者に進捗や遅延を通知される仕組みがないという点でした。
Trelloでタスクを管理して、共通のSlackチャンネルに連携し通知を実施するという方もいらっしゃいましたが、入社する人数が増えてくると通知自体を誰も見なくなってしまう、というのが問題になるようでした。
また、タスクを依頼している側からすると依頼したまま結局リマインドを忘れてしまったり、リマインドを手動で実施すること自体にマインドシェアを取られてしまっていると悩んでる方が多かったです。
入社当日になって貸与品の漏れ、アカウント発行のミスなどの発生要因は、リマインド漏れなどがあるのではないか?と仮説立てできる結果となりました。
2位:タスクの依存関係が不明瞭
続いては、タスクの依存関係が曖昧が2位という結果でした!
少し分かりづらいと思うので、依存関係があるタスクの具体例を挙げます。
タスクA:人事担当者が「入社するメンバーに、WindowsかMacか希望のPCを聞く」
タスクB:情シス担当者が「PCの在庫状況を確認して入社当日までにPCをキッティングする」
などのように、部門を横断して情報の受け渡しが発生するタスクを指します。
上記はPCのキッティングに関する一例でしたが、他に依存関係があるタスクとしては、メールアドレスの発行、名刺の作成などがあります。
このタスクの依存関係が明らかになっていない場合、部署間でタスクのフローを変更したりする際に、どこに影響範囲が出るのか?が分からない状態になります。
また、依存関係が明らかになっていないため、本来は一回で完了するはずのタスクが他部署で重複して実施してしまっているケースなどもありました。
3位:テンプレートが正しく運用されない
皆さんテンプレート自体は準備をしている事が分かりました。
↓テンプレートも準備ができていない!とお困りの方は、正社員向けの入社関連タスクのテンプレートは無料で下記からダウンロードできます。
にもかかわらず、実態として各部署ではテンプレートを元に運用されていない、というのは非常に面白い結果でした。
課題の原因を抑えるための3つのポイント
それでは実際に課題を解決する方法と手順を解説していきます。
実際に、私たちもこのアプローチ方法で顧客の支援を実施した結果、業務改善が実現できたので、これから入社関連のタスクを仕組み化をする!という方は、そのまま真似してください!
まずは、全体の課題感から因果関係を整理しておきましょう。*アンケート結果の相関から独自の観点で整理をしたものです。
■入社関連タスクにおける課題のイシューツリー
ポイント① リマインド・通知を自動化するためにはシステムが必要だが、システム化する前に情報を整備しなくてはいけない
タスクの期限が遅れていると自動でリマインドしてくるのは理想的ではありますが、最低でも以下の要件をクリアしている必要があります。
・タスクと対応期限を管理できている
・上記のテンプレートが、現場で運用できる状態となっている
つまり、まずはタスクのテンプレートを作った上で、各部署が連携して運用できる状態を目指した後に、リマインドなどの機能を追加していくのが理想的な進め方かと考えています。
なので、まずは別の課題を解決してから手順を踏んで解決していこう、という結論になります。
ポイント② タスクの依存関係が曖昧なのは業務フロー図がないから
タスクのテンプレートは作っているが、業務フロー図まで作っている企業が意外にも少ない事実が分かりました。
タスクの依存関係を明らかにできていないと回答したグループの大半が、業務フロー図が存在しないと回答していたので、原因は業務フロー図が存在しないからではないか?と考えております。
また、業務フロー図を部門だけで作るのではなく、部署間での業務フロー図を書き起こし、実態と解離が発生していないか?全体で読み合わせを実施するのが有効的なアプローチ方法なようです。
タスクの依存関係を明らかにする際は、そのタスクを実行する際に、どのようなデータを取得しているのか?まで明らかにするとタスクの重複問題も解決できるでしょう。
ポイント③ テンプレートが運用されていない真の理由をお互い認識できているか?
私も実態を調査し始めてから、ずっと疑問を抱いてきました。
なぜテンプレートを作成しているので、全ての部署で運用が実現できていないのか?
急な入社対応なども発生するため、全てをテンプレートで運用できる訳ではありません。
本アンケート調査を実施して、1つの仮説に辿り着きました。
作成したテンプレートが全部署の業務負荷を軽減する設計になっておらず、テンプレート運用のインセンティブが働かない部署が存在するからではないか?
詳しく説明しましょう。
例えば、人事部の担当者が管理したいのは入社メンバーAさんがどこまでのタスクが完了しているのか?という人ベースの情報になります。
一方で、後行程の総務や情シス部門の担当者は、PCのキッティングを準備できる入社メンバー(既に希望のPCをヒアリング済)は何人いるのか?をタスクベースで確認をしたいというのが目的になります。
概念図で説明すると、それぞれが求める視点は以下のようなイメージになると思います。
このように、それぞれの部門では業務を円滑に進めるために見ている軸が異なるため、人ベースで作成したタスクのテンプレートでは、全部署の業務が軽減をされる設計ではないというのが私たちの見解です。
この事実を部門間で相互理解し合うだけでも、連携を取りやすくなるため、是非とも参考にしてみてください。
【脱!属人化!】入社関連タスクを仕組み化するためのアプローチ
さて、それでは課題と課題の原因を抑えるためのポイントを理解したところで、いよいよ課題解決のためのアプローチ方法をみていきましょう。
①目的設定・役割明確化
まずは、なぜ?入社関連タスクを仕組み化する必要があるのか?を明確化させましょう。
目的の設定例:
・属人化を脱却して運用コストを削減する
・新しく入ってくるメンバーの入社体験を向上させる
・部署間のコミュニケーションコストを削減する
など、部署を横断してプロジェクトをスムーズに進行させるためには目的の認識が一致している必要があります。
そして役割の設定に関しては、2つの役割を決めておくと良いでしょう。
意思決定者👨
役割:部署間で摩擦が起こった際に、組織全体の最適化の観点から意思決定する。プロジェクトのゴール・マイルストーンを設定する。
求められる人物像:経営層レベルの意向を把握しバックオフィス部門の全体最適化を意思決定できる人物
プロジェクト推進者🏃♀️
役割:部署を横断して情報を整理する。プロジェクト進行における障害物を取り除く。
求められる人物像:部門間を異動した経験がある、他部門の業務理解が深いなどの人物
意思決定者とプロジェクト推進者が同一人物というケースもありますが、プロジェクト開始前に役割をチームの中で明確化させておくと問題が発生した際にも解決に至れるようになります。
②標準化
実際にタスクを実行している担当者以外の人物が、標準化されたタスクやマニュアルを見ながら業務を遂行できるレベルを目指しましょう。
標準化を実施するために、タスクのテンプレートを作成して現場での運用を実現するステップになります。
③共通認識の醸成
標準化されたタスクとマニュアルを関係部署間で共有した上で、具体的な改善プロセスを議論できるようになりましょう。
ここで、タスクのテンプレートだけではなく業務フロー図があると部署間での共通認識の醸成がぐっとやりやすくなるはずです!
それぞれの依存関係が可視化されると、課題の原因はどの業務プロセスに潜んでいるのか?が建設的に議論できるようになります。
④運用
実際に作成したタスクテンプレートで運用回していくステップです。運用を実施する際に注意したいポイントとしては、何を検証していく運用なのか?を部署間で共通認識を持った上で実施すると良いでしょう。
⑤振り返り
月一回、もしくは隔月などで実施していくと良いのではと考えております。部門間で連携ミスが起きた事例、入社するメンバー側から聞いた不満の声など、情報を共有しあった上で、次の改善案の起案や振り返りを実施するとコミュニケーションも円滑化をしていきます。
⑥改善
実際に変更をするタスクの内容やフローの確定させ実行に移ります。ここで、部署間でタスクの依存関係の共通認識が持てていれば、何を変更するとどこに影響が出るのか?が分かりやすくなるので、機動的に運用体制や方法を変更する事ができます。
⑦システム化
定型化が実現できそうな部分からシステム上での運用を実施しましょう。AsanaやTrelloなどのタスク管理ツールを使うと良いかもしれません。少しコストをかけられる企業さんであれば、Kintoneを使って運用されているところもあります。
アプローチ方法としては、以上になりますが、具体的に何から始めると良いのか?スモールスタートで成果を得られる2つのアクションをご提案します。
①業務プロセス図を書こう
②部門を横断して改善ミーティングの場を持とう
の2点です!
次からは、それぞれの実践方法を具体的にまとめましたので、まだ体力がある方は、引き続き読んでください(笑)
ちょっと疲れてきた方は、noteをいいねしておいていただければ、いつでも読み返せると思います!
【部署間タスクの依存関係を徹底解剖】正しい業務プロセス図の描き方 - ざっくり工数は20時間くらい
それでは、まずは業務フロー図の書き方から見ていきましょう。
ちなみに自分が参考にしたのは、以下の2つのnoteです!非常に分かりやすくまとまっているので、業務フロー図の書き方自体は、このnoteを参考にする方が良いでしょう。
課題解決のための図解の技術〜業務フロー図の描き方(業務改善編)
①タスクチェックシートへの入力(大項目を特定) - 各部署の担当者で入力
上記はサンプルですが、このスプレッドシートをコピーした上で、各自必要な項目なども追加しながら、タスクを洗い出してみてください。
雇用形態別、部署別などパターンによって複数の手順が存在するはずなので、まずは正社員と業務委託の2つを作った上で、整理していくと良いでしょう。
②Miroにおける業務フロー図(#1)の作成 - プロジェクト推進者が作成
Miroという無料のホワイトボードツールを使って業務フロー図を書くと便利です。タスクを洗い出した後は可視化作業になるので、プロジェクトの推進者が以下の要素を洗い出しながら、完成度50%くらいを目指しながら作成していくと良いと思います。
必要な要素
- タスク
- 担当部署
- 入社日から起算したフェーズ
- 入社前
- 入社1ヶ月前
- 入社1週間前 とか
- 依存関係
③テンプレートパターンの把握 - プロジェクト推進者が把握
まず1つメインとなるテンプレートの業務フロー図が作成できたら、作成しなくてはいけないテンプレートの数を把握しておきましょう。
全てのパターンの業務フロー図を作ってしまうと効率も悪いので、まずは優先度の高い(=対応する頻度と量が多い)パターンから作っていくと良いでしょう。
分解要素:雇用形態別 × 部署別 × 人事プロセス別(入社・退社・異動)
優先度決めて対応:必要とされているテンプレートの数を決定
④タスク単位におけるプロセスをタスク別にマニュアル作成(可能であれば、あると便利)
Miroを使うとテキストに対して簡単にリンクを貼ることができます。なので、業務フローに書き起こすタスクの粒度は、Who(誰が)What(何を)を表現できる最小単位にしておき、詳しい手順などはマニュアルのリンクなどを付けておくと良いでしょう。
この一連の流れでマニュアルが存在しない部署へは作成を実施してもらうと良いかもしれません。
⑤Miroにおける業務フロー図(#2)の作成 - プロジェクト推進者が作成
#1に加えて
- 利用するシステム
- Inputデータ
- Outputデータ
- 通知方法とシステム
- マニュアルを結合
などを整理していきます。
あまり理想的な業務フロー図ではないですが、簡易的に作成するのであれば、Inputデータ、Outputデータ、そして利用されているシステムなどが分かる状態まで作れると大体の全貌が見えてくるかと思います。
⑥各担当者へヒアリングして修正
- #2を見ながら抜け漏れがある部分がないか?各部門の担当者へヒアリングしながら書き足していきます。
必ず実態と乖離している部分などがあるので、あくまでも実態に合わせるようにしましょう。
⑦すべての現状業務(As Is)が正しく描写をされているか?各部門で確認
完成したら、全体ミーティングを通して読み合わせを実施しましょう。どの業務範囲に対して課題が発生していそうか?それぞれの部署の観点から意見を出し合うと良いでしょう。
【おまけ】こんなアジェンダで振り返りミーティングすると良いのでは?
最後に、部署を横断して毎月の振り返りが実施されているか?というアンケート結果をお伝えします。
上記のように、部署間でミーティングを実施している企業は非常に少ない事が分かりました。
しかし、私たちは課題の原因は単純なコミュニケーション不足と業務の属人化ではないか?と考えております。
自分自身も、事業部側に在籍していた頃は、セールスからキャリアをスタートさせ、マーケティング、カスタマーサクセス と変わっていきました。全ての部署を横断したからこそ、見える景色は変わっていき、それぞれの部署が抱える苦痛を体感しました。
自分がバックオフィス部門で起業した事は全く強みがないと思われがちですが、部署間連携に関する課題は事業部側でも抱えていますので、自分が何かバリューを業界に提供できればなという想いです。
私たちが見つけた入社関連のタスク管理における課題、すなわち部門間での摩擦を解決するための方法をこれからも模索し続けていきたいと思います。
さて、明日はGW明けでまた入社メンバーを受け入れる準備に追われている方もいらっしゃるとは思いますが、今回のnoteが少しでもお役に立てばと思います!
最後まで、読んでくださってありがとうございました!また定期的にノウハウ発信していきますので、宜しくお願い致します!
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