【物語る映画ポスター】ゴーン・ガール
結婚記念日に、妻が失踪した。
でもそれは、
彼女の壮大な復讐劇の
幕開けにすぎない。
秘めたる悪意がうまく表れています。
目線の先は、復讐の矛先である、夫へ。
↑のポスターは
映画の始まりのワンカットから。
もうこれだけで、
その怖さを物語っています。
かつてはあれほど幸せだったのに。
すでに陰りが見えていたことに
二人は気づかない。
光の加減が抜群です。
決意の瞬間。
鏡に映る自分の姿を見ながら、断髪。
迫力のあるシーンです。
恐ろしいのは、
失踪したあと、彼女はけっこう
ご機嫌でいること。
慌てふためいている夫を想像しながら
うっすら笑顔を浮かべる。
潜伏先でも、こんな具合。
オシャレなファッション雑誌風に
仕上がってるけど、
彼女の悪事とのギャップが際立って、
なお怖く見えてくる。
背景はうっすら浮かぶ、白い封筒。
これが物語を進める動力になっていて、
この「ヒント」に夫と警察は振り回される。
どうしてこれほどまでに
イっちゃった人になったのか?
本作ではありありと描かれていますが、
それをポスターで表現されていたのは
ひとつもありませんでした。
彼女の存在感が強すぎるから?
確かにそれだけでもう
物語っている気もしてくる。
残された夫は、どんどん暗くなっていく。
ベン・アフレックの演技も絶妙です。
彼女の顔・表情は、取替え可能。
本心がどこにあるかわからない。
周りの人間は、
その「顔」の空虚さに
徐々に気づいていく。
以下、ネタバレです。
やがて再開する。
一見すると、
瀕死の妻を慈悲をもって
抱きかかえる夫の美しい絵のように見える。
それが真逆の意味であるということの
恐ろしさ、裏切り。
皮肉の効いた、秀逸なポスターです。
・・・
ご覧いただきありがとうございました。
怖いとか恐ろしいとか
連発してしまいましたが、
確かに本作の見どころではあるものの
全体はめちゃくちゃ面白いです。
イカれた女性をウィットも含んで
最高のエンタメに仕上げる
デイビッド・フィンチャー監督の手腕。
脱帽です。