彼を変えたたった一つのこと
国際協力NGO CBBでインターンをしている原です。
今日、思わず感動することがあったので、ノートを書きたいと思います。
クラウドファンディング成立
まず初めに、約2か月の間で行われてきた「カンボジアで中退した中高生の復学を。日本人学生が応援!」クラウドファンディングが先日に終了し、プロジェクトを成立させることができたことを報告させていただきます。
支援総額は、140200円。121人の方にご支援いただきました。また、それだけではなく、たくさんの方々にSNSでの拡散、ポスターの掲示などもして頂きました。
ご支援・ご協力して頂いた皆様、本当にありがとうございました。
皆様のご協力のおかげで、カンボジアの子供たちの可能性を広げることができます。
そして、11月1日には、住み込みの彼らは再び学校へと通い始めます!
読み書きができない
再び学校へ通うことが決まったのはいいことなんですが、少し不安なことがあります。
住み込みで勉強している生徒の一人に、「ソリ」という子がいるですが、彼は、小学校6年生で学校を退学しています。
学校を退学した理由は、「文字の読み書きができないため、授業についていけなくなったから」。
読み書きができないと、板書が読めなかったり、先生が言っていることをノートに書くことができません。
カンボジアでは、クメール語という言語が使われているのですが、その言語をしっかり読み書きできるようになる必要が、彼にはあるのです。
以前よりも、文字がわかるようになってきてはいるのですが、まだまだ、同じ年代の子たちには劣ってしまいます。
その劣等感があるのか、彼はクメール語を勉強することをひどく嫌います。
「クメール語勉強するよ」
「クメール語書いて」
と言っても書きません。
とはいえ、復学してから、また授業についていけなくなって退学してしまっては、同じことの繰り返しになってしまいます。
どうしたら、クメール語を勉強してくれるか悩みました。
劣等感を払拭するには
他の子よりも、クメール語の読み書きができないという劣等感を持っているとしたら、それを消してあげる方法はないかと模索しました。
ちょっとでも、「できた!」という気持ちににさせてあげるには、どうしたらいいか考えました。
また、彼の性格上、頭ごなしに何かをさせられると嫌がるのもわかっていたので、ただ「勉強しなさい」と言っても効果がないことは明らかでした。
考えた結果、私は
「クメール語わかんないから教えてよ!クメール語勉強したいんだ!」
と彼に言いました。
私は、彼にクメール語を教えてほしいとお願いしてみました。
教師と生徒の関係を完全に逆転してみようと思ったのです。
なぜ、そういったかというと、彼がクメール語において劣等感を感じない瞬間は、きっとクメール語が全く分からない私たち日本人といるときだと考えたからです。
そう言うと、彼のスイッチが完全に切り替わりました。
「OK」とドヤ顔で言うと、椅子から立ち上がり、ノート片手にホワイトボードにクメール語を書き始めたのです。
あんなに書くのを嫌がっていたのに、自ら率先して書き始めたのです。
私は、ひたすら生徒役に徹しました。
書いた後は、発音の仕方も教えてくれました。
授業の最後には、いつものインターン生の真似をして、宿題も出してきました(笑)
個性に寄り添うとは
前回の記事で、私はこんなことを書きました。
絵が上手な子もいれば、サッカーがうまい子もいる。
人を思いやる子もいれば、自分を表現するのがうまい子もいる。
ひとつのことに熱中する子もいれば、いろいろなことに興味がある子もいる。
全部、彼ら・彼女らの才能であり、個性です。それを伸ばしていってあげることで、子どもたちは、自分の生きたい人生・やりたいことを見つけ、羽ばたいていっていけると思うのです。
私は、カンボジアだけでなく、日本でも、子どもたちと関わるときは、常にこのことを意識してきました。
今回彼が、クメール語を書いてくれるようになったのは、彼の個性やクメール語に対する劣等感に寄り添ってアプローチすることが上手くできたからかなと思っています。
アプローチひとつで、子どもたちの反応は、よくも悪くも変化していきます。
子どもたちは、皆それぞれ違う個性を持っていますが、どんな個性を持っているのかをしっかり観察し、それを否定するのではなく、その子にあったアプローチを行うことが重要だと思います。
この「教える」という機会が、もしかしたら、彼が「将来は、教師になりたい!」と思うきっかけになり、才能が開花し、ものすごい先生になるかもしれません。
そんな子どもたちの未知なる可能性を考えると、わくわくが止まりません。
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