ジレンマ
国際協力NGO CBBでインターンをしている北海道教育大学4年の原 拓真(はら たくま)です。
今日は、私がCBBスクールで授業をするときに感じているジレンマについて書きたいと思います。
興味関心旺盛な生徒たち
CBBスクールに来る生徒は、日本語にみんな興味関心が旺盛です。
様々なものやことを、日本語で何というか知りたがります。
それ自体はとても素晴らしいことだと思いますし、教えるこちらもやりがいを感じます。
生徒はどんどん色んなことを教えてほしいと言ってくるので、来た当初は一日にたくさんのことを教えるようにしていました。
しかしながら、次の日に、前日勉強したことを尋ねるとあまり覚えていない。。。
ここで、生徒の内容定着が甘いことに気づきました。
これでは、せっかく勉強しても、なかなか話せるようにはなりません。
色んな事をたくさん教えたいが、それではなかなか記憶が定着しないジレンマ。
言語を学ぶことの最終目標は、その言語をもちいてコミュニケーションをとれるようになることだと思っており、一生懸命勉強している生徒には、ぜひその目標に到達してほしいと思っているので、授業改善が必要だと感じました。
言語を話せるようになるには、目標言語が反射レベルで出力される必要があります。
そのためには、単語や文法を知ってるというだけでなく、使える必要があります。
また、思ったこと、話したいことがすぐに目標言語で言語化できるよう、感情や思考と言語のリンクが重要です。
その状態に持っていく基盤、第一段階として、定着された記憶が必要です。
私は、その定着を図るために、二つのことを行いました。
授業改善
まずは、「復習」です。
復習は、記憶定着の要だと思います。
そのため、毎時間ごとに、前時の復習の時間をしっかり確保するようにしました。
前の授業を振り返ったり、問題を出して、答えさせることに時間を使っています。
時には、二日前、三日前の授業の復習も行い、内容定着を心掛けています。
授業の半分を復習に充てることもあります。
エビングハウスの忘却曲線を緩やかにしていく作業ですね。
二つ目は、「アウトプット」です。
インプットのみでは、知識の定着が図れませんし、そもそも言語を学ぶことは、その言語を用いてコミュニケーションを図ることが目的なので、実際の使用場面を想定した学習が必要です。
また、アウトプットしようとすると「勉強したけど、意外と話せない」というギャップに気づくようになり、それを埋めるために、より努力するようになったり、
アウトプットする際に、アウトプットする内容についてより意識が向くため、言語に対する知識をより取り入れ、自分のものにしていくことができます。
(第二言語習得の専門家のメリル・スウェイン氏による第二言語習得研究の分野で最もよく知られている仮説の一つ)
なので生徒がある程度インプットを行った後は、様々な形でアウトプットをさせることを授業に組み込んでいきました。
声に出して読ませる。
ホワイトボードに書かせる。
私が話す日本語を聞き取ってもらう。
習った構文を使って生徒同士で話したり質問させたりする。
イラストを見せて、日本語で答えてもらう。
日本語⇔クメールのクイズを出す。
など、4技能(聞く、読む、話す、書く)を網羅する形でのアウトプットをさせるよう心掛けました。
こうすることで、以前よりも記憶の定着率が上がってきたように感じます。
また、ひらがなの文字と発音の一致や、単語とイメージの一致が図られてきたように感じます。
これからも、いろいろ工夫して、より良い授業をめざし、言語を学ぶ楽しさを子どもたちに提供していけたらなと思います。
クラウドファンディングのお知らせ
現在、私たちは、カンボジアで中退した中高生の復学支援プロジェクトを行っています。皆さんのできる形でのご支援・ご協力をよろしくお願いします。