三度目の希死念慮(短編小説)
最近また死にたいと思うようになった。
バイトのサイクルがつらすぎてどうしてもいかなければならない朝に自宅のトイレに腰掛けながら「帰りたい」とつぶやいたこと。
コロナ禍を過ぎて実家に戻って少し経ち、孤独から開放されたと思いきや、全然まだまだ死にたかったとシャワーを浴びて気づいたこと。
あの人と死にたい夜があるねと語り合った夜に自分の死にたさはまだまだぬるいと確認しあったはずなのに、今では毎日死にたいと思っています。
自分が思う死にたさとは「まだまだこんなもんじゃないよね?もっとマシな人生があるよね?できるよね?」というある種の圧のようなもので、
それは死にたいという言葉とは裏腹に「生きたい」という証だと思っていたしだから大丈夫と思っていたけどそれにしたってどうしようもなく死にたいのです。
しばらくお酒は飲まないとあなたに誓ったはずなのに、風邪を引いてどうしてもつらくて手を出して、治ってずるずる飲み続けています。
こういう時のお酒はいけないね。
また会える?と確認した朝に君が曖昧な返事をしたからそれの影響もあるかもしれません。
こうやって、人のせいにして生きながらえて自分はなにを得たいというのでしょうか?
この瞬間もあなたが生きている、それだけで十分なのではないでしょうか?
そんなことを思っていたらいつの間にか寝てまた朝が来て、全然死にたさは滅んでなくて、アップルウォッチの睡眠記録は律儀に深い睡眠を刻んでいるのです。
毎日1話ずつぼーっと見ている恋愛リアリティショーもぼーっと見ているせいでいまいち人間関係が入ってこずになにも感じることができません。
人の恋愛より自分の明日の生き死にの方がはるかに大事。
早く大丈夫になりますように。
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