手術 交通事故重傷記 12 -終
手術当日。
午前5時57分に起床し、手術前最後のお茶を飲んだ。着替えをして午前8時前、看護師に誘導されて手術室へ向かった。
手術台近くにはモニターが置かれ、床には複数のケーブルがあった。手術台付近には 4人くらいのスタッフ全員がピリッとした表情でそれぞれ割り当てられた仕事をやっている。
「コスモスでアクセルとブレーキを踏み間違ってな…」
11日前、顎間固定(がっかんこてい)の時のような牧歌的な雰囲気はなかった。
プラスチックのマスクをつけて深呼吸を3回。
「眠くなるお薬を入れますね」
左腕をさすられているうちに意識がなくなった。
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「ウエムラさーん」
手術室近くの待機部屋か。モニターの音が聞こえてきて心拍があると分かり安心した。舌で歯の裏を探り、顎間固定の金具が取り外されていることを確かめた。
手術は成功したようだ。
事故の日。緊急搬送先の病院で強いライトに照らされながら処置を受けている時は痛みと絶望しかなかった。
それから3週間。まだ目を開けられず真っ暗のままだけど、ようやく、未来や希望といった光を感じとれるようになった。