隔週連載エッセイ 遠藤習作 2021/1/25 vol.1
長続きしない。
特に、この手のブログ、というようなものは、古のmixiから始まって、
アメブロなどいろいろ渡り歩いてみたんだけど、一向に長続きしない。
それこそもう15年近く前の話になるけれども、“友達”は僕にこう言った。
「金にならない文章は、林は書かないもんね~」。
寝食を忘れて音楽雑誌の営業編集ライターで日々現場、取材に飛び回っている自分に、自分のバンドの記事を書いて欲しい、という話の流れで飛び出した発言だった。
そりゃそうだよね、プロだもん。だいたい、「えーと、5千字ください。納期はこれこれで、これについて。いくらお支払いします」っていうお話でずっとオアシをいただいて生活してきた。本当にありがたいことに、自分の愛するアーティストの文章を書くことで、仕事としてやって来られている。
もちろん、他にも音楽関係の仕事はたくさんしている。事務所として所属しているライブハウスのイベント広報業務、ライブの制作、制作のお手伝い、ちょっとしたBGMの選曲(例えば、セレモニー的なことでバックで流れるような…)、そしてラジオ番組の制作、自分がラジオでお話したり、クラブやロックバーでDJしたり。レコード屋さんと一緒にレコードを運んだりもする。
そんな日々の中で、たまに思い出したように、「もう書かないんですか」という人が突然現れたりする。「よく雑誌で書かれているの、読んでたんです。よかったらこれ書いてもらえませんか」とか。本当にありがたい。
お金は大切だけど、そういう問題じゃなく、お請けしたい。そういう話。
「お金にならない文章は書かない」んじゃなくて、書かせていただきたいお相手や、書きたいストーリーや書きたい対象を書かせていただきたい、どうせなら。それ、言えばよかったな。
そうそう、そもそもはブログが長続きしねえ、って話だった。
唯一、長く続いていることがある。Instagramだ。
最初は、死ぬほど自宅を埋め尽くしていたTシャツのコレクションを写真に撮って、1日1枚づつ投稿していた。1年続いた。(でもまだたくさんある…)取材させていただいたアーティストの方のライブにお邪魔するにあたり、招待という形でライブに足を運ぶことになる。それは、ちょっと本来の自分では後ろめたい気持ちもあった。から、アーティストのTシャツをチケット代わりに購入させていただいて、集めていた。もちろん、普通にファンで購入したものもたくさんあるけれど。
Tシャツがひと段落したところで、手持ちのアナログレコードを1日1枚投稿することにした。同じようなことをやっている人のインスタを見ると、LPを投稿している人が多かったので、DJ用に持ち込む7インチのドーナツ盤を投稿することにした。まあ、最初は友達やら知り合いがいいね、をしてくれたり、コメントしてくれるような感じだったんだけど、1年やってみたら、国内や海外のレコード好きやバイヤー、なんであなたが、というようなアーティスト本人からいいねをしてもらえるようになったり、なかなか楽しくなってきた。
1年続いたところで、今度はLPも織り交ぜて投稿することにした。別に手持ちの7インチが続かなくなったわけではなく(365枚以上はあるからね)、単純に自分が飽きたからだ。どうせだったらその投稿する日にゆかりのある1枚を選びたい、とか、そういうもの理由のひとつだった。まったく関係ない日もあるけれど。
今、3年目に突入しつつある。レコ屋やいろんな場所で出会ったレコードを持ち帰るなり物撮りして、倉庫にストックする。この物撮りはなかなか意味のある作業で、「これ持ってたっけかな…」が瞬時にわかるという(笑)、副産物も生まれている。
「コツコツ長続きさせる」という事がやっと3年続いたところで、去年の年末だったか、久しぶりに「もう書かないんですか?」と言ってくる人がいた。今だったらできるかもしれない。
ということで、ハードルを下げるために隔週にして(笑)、いろいろ思ったことや起こったことを書いていこうと思う。タイトルはたまたま本棚にあった遠藤周作さんのエッセー「狐狸庵閑話」が目に入ったので。習作だからちょうどいいだろう。いつか周作になればいいですよね。文章量も決めない、ネタも決めない、ただ更新の日程は守る、だけをテーマに書いていきます。
どうぞよろしく。