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パートナーシップにおける対立と変容の物語

あるパートナーシップ間でのコンフリクト。その一連のストーリーを一方の側からの体験として残しています。

プロローグ

コンフリクト直後。
一人カフェで、お腹を満たしつつ考える。
ことの顛末を振り返り、そして自分の中の大切なものとつながるため。

戦う。だって私は正しいのだから。

ことの起こりは前日の夕方。本当にささいなことだった。

A:洗濯物取り入れたいので、中で受け取ってもらえたりする?
B:はー(ため息と表情)。いまタイミングじゃないんだけどな。
A:え、じゃあいいよ!なんでそんな言われ方しなくちゃいけないの(怒)

ここから、お互いに家事育児の事務的なことを除いて口をきかないこと一晩。翌日の朝に、事前から設定していた家族内会話のタイミングがあったため、憂鬱な気分と共にやっと本件を取り上げる。

まず、どちらが正しいかの主張し合いが続く。闘いのモード。
負ける訳にはいかない。だって、絶対に正しいのは私だから。
自分を弁護し、相手を批判できる他の出来事も取り上げられながら状況はヒートアップ。

停戦。ため息に潜む何か。

怒りを自制しようと努力し、妥協や不本意さを含んだ謝罪がなされる。
時に相手側の言動への理解がわずかに示される。

最終的に「二人ともに閉塞感がある、変化を求めている」という状況を再確認し、繰り返すパターンを変えたいと、集中的に話し合う時間を後日設定することで一旦の会話を追える。

一人の空間で、「はー」という長いため息が言葉にならないないかを表現する。一時よりましになった、そう感じない訳でもない。
けれど、それはきっと、それ以上に残る徒労感やもやもやを含んだ何か。

沈黙。向き合うと決めている。

相手と、この件と向き合おうと心に決めている。
1時間後、一人の時間を確保する。
ただ向き合うのではなく、さっきとは全く違う形、違う場所から向き合うことが大切であり必要だという確信だけはある。

思考のみならず、心や意志でも向き合おうと、まずは深呼吸。身体をゆるませる。意識を瞑想状態とも言える形に近づけていく。

そう、改めて「やること」ではなく、意識として違うところに立たないと上手くいかない、結局は行き詰まる。

相手の靴を履いて、相手の痛みや苦しさ、願いを想像する。感じていく。
自分の靴もしっかり履いて、痛みや苦しさ、願いに入っていって感じる。
それまで触れられていなかった深い部分へと。

転換。心の震えが変化を告げる。

その内にあらわれた。
心が震えて、泣きそうになる瞬間。

数分前と全く違う意識がそこに立ち現れる。

もはや相手は敵ではない。
相手と自分と深くつながれている。
より大きい、最良の自己につながっている。
自然な形で自分がなすことも感じ取れる。

すでに現実は変わり始めている。

エピローグ

正しさのぶつかり、怒りの応酬。
その会話後の「はー」というため息。そこに潜む言葉にならない何か。

それが意味していたことは、存在するはずの大切なものが存在していなかったということかもしれない。

最後にルーミーの素晴らしい詩を。

Out beyond ideas of wrongdoing, and right-doing, there is a field.
I will meet you there.
善悪の判断を越えたところに、野原が広がっています。
そこで会いましょう。

ルーミー


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