オリジナルのコーヒードリッパーをつくりたい。 #2
少し前に3Dプリンタでコーヒードリッパーの試作に励みました。
3DプリンタならABS(合成樹脂)やPLA(生分解性プラスティック)といった素材で、形さえモデリングしてしまえば、あとは出力するだけでドリッパーができることがわかりました。
普段は、HARIOのV60円すい形ドリッパーやフィルターレスのセラミックでできたドリッパーをつかっています。前者は王道なドリッパー感があり、後者はじっくり濃く抽出できるので好きです。
なのですが突如、シリコン製のドリッパーを試作検討してみたくなったのでやってみることにしました。
結果から述べると失敗しました。
モデリング
シリコンで何か物体をつくるには金型が必要です。
シリコンドリッパーをめざすので、中空の円錐形状のものをつくります。
下記のように、最終的につくりたいものの形状を型から引き算します。断面・構成図から紫とオレンジ色の物体の間に隙間があることがわかります。
そしてシリコンを注ぎ込む口をつけ、流し込む時に空気が同時に混入するので、空気を逃すための空気穴もつけます。
上記の初期案を金型に詳しい方にレビューしていただいたところ、初期案はイケていないので、アドバイスから下記のようになりました。
混入する空気やシリコンの流体の流れを意識して金型をつくると良いそうです。内部の円錐を約5度傾けているのは、空気を空気穴からうまく逃すための工夫です。
金型を3Dプリントする
給付金の使い道は、3Dプリンタ(Adventure3x)の購入でした。
金型のサイズは、7×10×10cmの大きさですが、プリントには全部で15時間ほどかかりました。
初期案では3パーツにわけて、丁寧に、あたかも玄人っぽく設計してみました。ネジでしっかりとめて、シリコンを流し込めば完璧やん、と考えていたのでしょう。
改良案は下記のようにプリントできました。こちらも全部で15時間ほどかかりました。この場合、2パーツだけで構成されています。
なんだかこの時点はすごく上手くいきそうな様相をでした。
食品用シリコンを用意します。混合液を1:1の比率でまぜて型に流し込みます。
さぁ、完璧につくられた注ぎ口から流し込むぞ!、と意気込んだとのは良いですがシリコンの粘度が高すぎて、まったく流し込めない(長い仕込むのに時間がかかる)ことがわかりました。
シリコンの粘度に対して、注ぎ口の大きさが小さすぎました。残念。
いちいち流れ込むの待っていたら日が暮れそうなので、金型のベースに直接、シリコンを流し込んでその上から型をはめこむことにしました。
なんだか想像していたの違う...。
手をベトベトにしながら、金型にシリコンを流し込み重しで無理やり固定します。
予想以上に硬化する前のシリコンは、べとべとしていて石鹸で洗っても半日べとべとしていたので萎えました。
そして約8時間後、シリコンが硬化しました。
あとはシリコンドリッパーを抜き出すだけ!簡単!、とたかを括っていたらシリコンが型から抜けない...まったくうんともすんとも言わない始末...
意外に抜けないものなんですね。
考察としては、3Dプリンタの積層根が滑らかではなく微小な段々になっているはずなので、シリコンが吸着部分の表面積は広くなります。なので、しっかり壁面にシリコンがくっついたのだと思います。
そうでなくても、金型自体にオイル塗ったり、上手く取り出すための工夫をしたりしないと取り出せないでしょう。
ということで、泣く泣く無理やり金型を破壊して取り出そうと試みました。
が、シリコンが見えてきたところで、力尽きてあきらめました。
改良して、なんとかシリコンドリッパーっぽいものを作りたいです。
同時に、いかに身の回りにあふれている射出成形された製品が、みえない技術のかたまりなんだと実感させられます。