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かみさまがくれた休日を過ごす島で過ごす人 vol.10

「かみさまがくれた休日を過ごす島で過ごす人 vol.10」
短編小説『かみさまがくれた休日シリーズ』の世界を舞台にした短い短い島人たちの不思議な物語。

「ドリーミンドリーミン」

(登場人物)
・僕・・・役場の職員
・おかみさん・・・ホテルろんぐばけーしょんのおかみ

時々僕は夢を見る。その夢は島にいる夢であることが多い。
出てくるのはもちろん島の人たちだ。

島の人たちはいつもやさしい。
怒られたことなんて一度もない。
どうしてこんなにもやさしいのだろう? といつも思ってしまうくらいだ。

夢では時々、突飛な出来事が起こる。
それはもちろん夢だからだ。

でも、それでも島の人たちはいつもやさしい。
目が覚めたらそのやさしさに触れて泣いてしまうこともある。
そして、目を覚ますと涙が流れていることがある。
夢の中までもやさしいのだ。

ある時、この島で唯一の宿である「ホテルろんぐばけーしょん」に用事で行った時に、そこを切り盛りしているおかみさんに夢の話をしようと思ったら、

「いい夢を見たのね」と先に言われてしまって僕は驚いた。
「どうしてわかるんですか?」と僕が尋ねると、
おかみさんはふふふと笑って、
「そんなの見ればわかるわよ」と答える。

その理由は僕にはわからない。
家に帰ってから鏡を見るけど、もちろん、わからなかった。

ある時、この島に訪れた女性とすれ違う。
その時の僕は、「あ、あの人はいい夢をみたんだ」と感じた。

そこには何も理由はなかったし、別にその人の顔にいい夢見ましたなんて書いてあるわけではなかったけど、なぜだか、そう感じたのである。

それをまた別の機会におかみさんに言うと、
「ほら、わかるでしょ」
ふふふ、とさも当たり前のことのように笑う。

そう言われると、僕もなんだかそういうものなんだって思ってしまう。
単純だ。

でも、それでいいんだと思う。
人は夢を見る。いい夢も、わるい夢も。
でも、この島ではきっといい夢が見られるのだ。

なぜなら、この島はやさしいから。
安心して寝ることができるから。
きっとそうなんだ。

<短編小説「かみさまがくれた休日シリーズ」>
かみさまがくれた休日を過ごす場所 ホテルろんぐばけーしょん
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