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かみさまがくれた休日を過ごす島で過ごす人 vol.11
「バーベキューのお知らせ」
(登場人物)
・私・・・本島からやってきた看護師
この島にはひとつの宿泊施設がある。昔はもっとあったという話だけど、いまあるのはこのひとつだけである。
「ホテルろんぐばけーしょん」という名前なんだけど、どうみてもホテルには見えなくて民宿である。
そこには、オーナーであるオーナーさんとおかみさんが二人で切り盛りしている。そして、アオくんとアイちゃんという子どもたちがいる。
たまに、そこでバーベキューをやったりする。それは特に告知なんかはないのだけど、なぜかみんなそれを察知して村の人たちが集まってくるのである。
どうやって察知しているのかは私にはわからないのだけれども、
でも、いつの間にか私もその場にいる。
時には、道端でおじいさん、おばあさんが何人も歩いているのでそれとわかったり、
時には、一緒に行こうと近所のおばあさんに声をかけられたり、
それを知る理由はまちまちである。
でも、なんだかんだ巡り合わせで、必ず私はそこにいるのである。
そして、村の人たちもそこにいるのである。
風の便りなんていう言葉があるけれども、もしかしたら、風が教えてくれているのかもしれない。
バーベキューの美味しい匂いを誰かが嗅ぎつけるのかもしれない(笑)
もちろん、バーベキューをする時には、それなりの準備も必要になってくるので、
それで知る人がいるのかもしれない。
でも、何か決定的なもの、アナウンスがあるわけではないのである。
それがとても不思議である。
島には、各家庭に無線があったり、島中に聞こえるスピーカーで音声を発信することができる。
もちろん、わざわざ個人がやるバーベキューのためにそれが使われるわけではないが、でも、そういった方法もあるのであるが、それ以上に、村の人たちはちゃんと察知することができるのである。
私にもいつかわかるだろうか
そういう日が来るのだろうか
とそんなことを、アウトドア用の椅子に座りながら、
みんなが楽しそうにおしゃべりしたり、
バーベキューを楽しんでいる姿を見ながら思うのである。
「大丈夫よ。あなたももう村の人だから」
と誰かの声が聞こえる。
「え」と振り向くけど、
そこには自分に話しかけている人は誰もいなかった。
もしかしたら、私にはもう聞こえるようになるのかもしれない。
風の便りという名のバーベキューのお知らせが。
<短編小説「かみさまがくれた休日シリーズ」>
かみさまがくれた休日を過ごす場所 ホテルろんぐばけーしょん
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かみさまがくれた休日の過ごし方 ふつうはフツウ
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